第15話:黒、犯罪奴隷量産人

「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


さてと、依頼書は・・・

とうとう盗賊討伐の依頼がまったくなくなった件について!

「盗賊討伐の依頼ですか?無いですよ?」

なんで?

「誰かが片っ端から討伐しちゃったからです」

盗賊が絶滅するってこともないと思うけど、この近辺には居ないのか・・・

「魔物の討伐とかはどうですか?」

悪くは無いんだけどね・・・


よし、王都行こう!

そして王都までの道のりのすべての街で盗賊を討伐しよう!

「それも悪くないけど、ランクアップのためには護衛の依頼も受けないとダメなのよ?」

護衛か。確かに一度もやっていない。

「あとはお貴族様なんかからの指名依頼ね」

それもやってない。

むしろ、盗賊の討伐しかやってない。

正確に言えば採取依頼もやった。盗賊が居なかった日に・・・

確かに偏りすぎかな?


「そんなあなたにちょうどいい依頼があるのよ!」

護衛の指名依頼ってこと?

「領主様が王都に出かける護衛としてリーゼちゃんを指名したのよ!」

何で領主様が私の名前を知ってるの?

「知らないわよ?ただ、最近巷で話題の『犯罪奴隷量産人』を指名したのよ」

何よそれ、私ってそんな風に呼ばれてるの!?

「だって、普通は殺しちゃうような盗賊を全員生け捕りじゃない?」

その方が買い取ってくれるからお得じゃない。

「で、買い取った結果が犯罪奴隷の大量発生という事なのよ」

まあ、何十人も犯罪奴隷として買い取ってもらったしね。

「鉱山で人手が余ったっていう噂よ?」

まあ、盗賊が居なくなっちゃったわけだもんね。しかも全員を犯罪奴隷にしたんだし・・・

それにしても、犯罪奴隷だって全員が鉱山に送られるわけじゃないでしょ?


「奴隷と言えば、奴隷商人さんも今度お礼をしたいって言ってたわよ?」

何かしら?一度顔を出してみるかな?


ここね?実際に来るのは初めてだけど・・・

何とも非合法の店って感じね・・・

「一応この国じゃ合法なんですがねぇ?」

あら?もしかして店長さん?

「あなたが『犯罪奴隷量産人』さんですね?いつもお世話になってますよ」

でも、盗賊を狩り尽くしちゃったみたいなのよ。

「そりゃあ、あれだけうちに入荷したわけですからね・・・」

相当儲けたんでしょ?

「ええまあ、それでお礼をしようかと思いましてね・・・」

お礼ねぇ・・・まさかこの店の商品?


これから王都へ出かけるからダメよ?受け取れない。

「領主様の護衛ですよね?」

まさか、あなた・・・

「領主様もお得意様ですからね。気にしないと思いますよ?」

まあ、見るだけ見てみようかしら?


「こちらなどどうでしょう?」

イケメン風のお兄さん・・・うーん、好みじゃないんだよ・・・

「ガチムチ系の方が好みですか?」

それはもっといやかな?

「はあ、そっちの趣味の人でしたか・・・」

そう言ってかわいい女の子の奴隷を紹介される。

うーん、結構多いのね・・・

この娘達もみんな犯罪奴隷ってわけじゃないでしょ?

「一部犯罪奴隷もいますけど、基本的には借金奴隷ですね。あとは親に売られたってのも半分以下ですが居ます」

貧しい農村なんかだと口減らしのために売られることも少なくない。

大体がエロ貴族の慰み者になるか娼婦として買われていくらしい。

うーん、お値段は・・・決して安いとは言えないけどバカ高いというほどでもない。


そして、これまで紹介されて奴隷以外にも奴隷が居ると思う。

向こうの一角は案内されていない。

「こっちは、その・・・」

何か言い淀んでいるので勝手にずんずん進んでいく。


なるほど、こういう事か・・・

「このような状態でして・・・言い方は乱暴ですが不良品と言いますか・・・」

病気だったりケガだったり、健康状態が良好じゃない奴隷が数人・・・

これはこのまま放置するとそう長くはないと思う。見てしまった以上そんなのは嫌だ!

「ささすがに一般的な用途には使用出来ないんで、捨て値で販売してそれでも売れなければ・・・」


よし、このままは放っておけない。

試したいこともある。そのためには材料や機材が必要。

急いで揃えてこよう!


材料は三つ。薬草ときれいな水と水あめ。

薬草は持ってる、きれいな水は作れる。だから残るは水あめ、これは無くても代用品でどうにかなるかも・・・

市場を探す。水あめを発見、これで材料はそろった。次は機材!

乳鉢と片手鍋とお玉と布巾。最低限これだけは必要。あとは樽とひしゃくも用意しよう。

全部調理器具の店でそろう。買うものを買ったら奴隷商へ!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る