第8話:黒、本気で薬草を採取
普段は意識しないようにしている『鑑定解析』を全力で使用する。
これをやると頭の中が膨大な情報で押しつぶされそうになるんだよ・・・
どれどれ?
上薬草、大薬草、ポポロ草、トゲ薬草、丸薬草、薬草、毒草、薬草、大薬草・・・
ん?今あったかな?確かこの辺に・・・
これが薬草?私が知ってるのと見た目が違う。
じゃあ、この薬草をマーキング!
これで薬草だけが輪郭が光って見える。
あとは光ってる草を採取するだけの簡単なお仕事。
ひょいひょいひょいひょい・・・
この辺のはほとんど採っちゃったかな?
少しは残しておかないと無くなっちゃうからね。
魔物も襲ってこないし、楽ちんなんだよ!
って、駆け出しの冒険者がやるような依頼だからね。
まずは数をこなしてランクを上げないとね。
せっかく『歓喜の歌』があるんだし、6大精霊の祝福だってあるんだから、当面の目標は精霊の実体化かな?
精霊の力に満ちた場所を探すとか、精霊の力を纏ったアーティファクトを探すか・・・
その代わり、錬金術系のスキルがないのよね・・・
でも、初級ポーションくらいなら作れるはず。
さすがに精霊薬以上は無理だと思うけど・・・
ただ、レシピも違うかもしれない。そして錬金術スキルが無いとレシピも見ることが出来ないはず・・・
どこかの錬金術師に弟子入りでもする?
そろそろ戻ろうかな?
1度も何も襲ってこなかったね。
呪いが無いだけでこうなるのか・・・
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」
普通にカウンターに並ぶのも新鮮な感じがする。
いつも小部屋に連行されてたからね。
「薬草の採取ですか?ってこんなに!?」
どさどさどさどさ・・・
え?そんなに驚くこと?
みんなこれくらい採ってくるもんじゃないの?
「もしかして、全部薬草ですか?」
そりゃあ、薬草の採取だもん。当たり前でしょ?
「普通は大薬草や丸薬草も含めた広い意味での『薬草』の採取ですよ?」
そうなの?
確かになんとか薬草って名前の草が色々あったわね・・・
「あ、ちなみに上薬草は別の扱いになります。トゲ薬草は上薬草と同じ仲間です」
中級ポーションの材料になるやつね。
「全部でちょうど1000束ですね・・・」
まあね、アイテムボックスでカウントしながら採取してたし。
ちなみに自分で使う用に30束ほどは確保してある。
レシピが変わってなければ、きれいな水と薬草で初級ポーションは作れるはずなんだよ!
「お支払いは金貨で大丈夫ですか?銀貨で用意いたしますか?」
買い物するときは銀貨の方が良いのかな?
銀貨でお願い。
「では、銀貨100枚になります」
受け取った銀貨をアイテムボックスにしまう。
さてと、そろそろ夕飯時だけど・・・その前に服が見たいわね・・・
元々、もうちょっとマシな服を手に入れるために街に来たんだし。
おしゃれをするつもりじゃないから、冒険者用の服が売ってる店かしら?
「冒険者用の服が売ってる店ですか?」
武器とか防具が売ってる店でもいいわよ?
「それなら、『トマス防具店』ですね。ギルドを出て右手4件目の店です」
ありがとう!
『トマス防具店』
この規模の街にしてはそこそこのお店じゃない。
結構色々取り揃えているのね。
「嬢ちゃん、どんなものを探してるんだ?」
今の服装は魔導師風のローブ。
「見たところ魔法使い系か?だいぶくたびれてるな・・・」
だから、買い替えようと思ってたのよ。
でも、欲しいのは動きやすい軽装剣士とかスカウトなんかが着るような感じの服ね。
「なるほど、動きやすさ重視ってことか?」
だから、脛当てや胸当ては要らないわ。
「ブーツはしっかりとした方が良いな。手甲や盾は?」
それも要らないわ。回避するから。
手甲や盾で受け止められる程度の攻撃なら避けることも出来るでしょ?
受け止めるために足を止めることの方が危険よ。
「なかなか尖った考え方だな・・・だが、嫌いじゃないぜ?」
ちなみに、今は買わないわよ?下見に来ただけ。
報奨金の査定待ちなのよ。受け取りが明日以降になるから、支払いはその時になるわ。
「どれくらいの依頼だったんだ?」
依頼を受けたわけじゃないけど、盗賊5人の生け捕りよ。
「それが本当なら支払いは問題なさそうだな・・・」
まだ、いくらになるかわからないのよ?
「これとこれとこれと・・・うーん、こんな感じか?」
店員さんが進めるままの装備を試着していく。
確かに動きやすいけど、これって軽装剣士じゃないわよね?
「どっちかというとアサシンだな。嬢ちゃんから聞いた感じだとそっちの方がよさそうだった」
まあ、いいか。
これでいくらくらいになるの?
「今着ている一式だと、銀貨230枚だな」
わかっていたけど、手持ちでは足りないわね。
明日また来れることを祈っているわ。
「こちらもあまり期待しないで待っているぜ!」
さて、装備が買える程度の金額になればいいんだけど・・・
まあ、最悪全力で採取すればどうにかなるかしら?
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