第5話:黒、初めての依頼

だから、この刀は盗むことも出来ない。

「そうだよな、こんな無茶苦茶な性能の武器欲しがるやつはいくらでもいるぜ・・・」


名前:封神刀・歓喜の歌

品質:神話級

説明:神の力を封じ込めた刀。自動高速MP回復。自動高速HP回復。魔力大幅増幅。身体大幅強化。マナ変換。破壊不能。成長中。


「冗談みたいな性能だよな・・・」

しかもこれは私が手に持ってる必要すらないのよ。

だから、頑張って私から奪って逃げたところで無駄なの。

刀に見えるけど、実は魔法の杖でもあるのよ。

まあ、所有権を得る条件がリーゼロッテであることだから、どだい他人には無理な話なのよ。

私のためだけに作られた刀だからね。


で、それは置いといて・・・

この辺ってダンジョンか強い魔物が居る場所ってない?

「討伐するのか?しかし、ランク不足で依頼は受けられないぞ?」

討伐ではなく調伏しようと思うのよ。

「なぜだ?」

仲間にしたいのよ。

「テイムのスキルはなかったはずだが?」

力でねじ伏せてわからせるのよ!

高位の魔物は人の姿になれるのが多いからね、そう言ったのを仲間にしたいんだよ!

「無茶苦茶だな。しかしテイムなしだと使い魔登録出来ないぞ?」

冒険者登録するから問題ないわ。

とりあえず、古龍とかどっかに居ない?真龍でもいいんだよ?


「さすがにそんなものはこの辺には居ない。というか、報告を聞いたことはない」

そうか。

まあ、仕方ない。

そう簡単に見つかるとは思ってないからね。

しかし、そうするとほかには誰がいいかな?

精霊繋がりでエルフの隠れ里を探そうかな?

「エルフ?隠れ里ってのは知らないが、エルフならうちのギルドにも何人か居るぞ?」

じゃあ、それは後で紹介してもらうとして・・・


レプラコーンはさすがに居ないわよね?

「それは知らん。伝説の種族だろ?」

なるほど、ここでもそういう存在なんだよ・・・

「魔道具を作ってほしいのか?とは言え、さっきの刀みたいなもんを作れる奴なんかいないぞ?」

今はとにかく出来ることを探すのと人材を集めるって感じかしら?

種族は問わない。優秀であればよい。人でなくても良い。

単純に暴力的な強さだけじゃない。軍師や文官といった直接戦力でなくともよい。

とにかく強さって言うのはそういう見えない部分での支えなんかも重要なんだよ!


すぐに何か出来そうもないから、まずは宿屋かな?

買い物とかは報奨金を受け取ってからね。

護送用の馬車で向かったけど戻ってくるのはどうせ明日でしょ?

そこから確認作業とか色々な手続きがあるだろうし・・・

実際にお金を受け取れるのは明後日かもしれないわね?

どこかおすすめの宿屋はないかしら?出来れば安いところ。

「安い宿なら『ヤドリギ亭』だな。この建物を出て右に少し行けばある」

ありがとう。


さてと、ここね?

『ヤドリギ亭』

すみません、部屋は空いてるかしら?

「いらっしゃい泊りかい?一人部屋なら1泊銀貨3枚だ」

じゃあ、それでお願い。とりあえず2泊で。

「ほらよ、これが鍵だ。ちなみに飯は別料金だ」

鍵を受け取り部屋の中を確認。

ベッドに小さな机があるだけ。まさしく必要最低限ね。

とくにやることもないし・・・

そうだ、門衛の人に連絡先を教えないとダメね。


えーと、さっきの人はどこかしら?

「おう、嬢ちゃん。盗賊の確認ならまだだぞ?」

それはわかってるわ。連絡先を伝えに来たのよ。

冒険者ギルドか、その先の『ヤドリギ亭』に泊まってるから、結果が出たらそこに連絡して。

ああ、そうそうまだ名乗ってなかったわね、私はリーゼロッテ。

これが先ほど登録したギルドカードよ。

「わかった、もろもろの手続きなんかが済んだらギルドか宿屋に連絡する」

じゃあ、お願いね。


どうしようかしら?

まだ昼前だし、ギルドの依頼でも確認しようかしら?ろくに残ってないと思うけど・・・


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


あんまり残ってないわね。

そもそもまだランクが最低だから受けられる依頼も少ないんだけど・・・

受付で何か見繕ってもらおうかしら?


「今回はどのような御用でしょうか?」

何か私に出来る依頼ってないかしら?

「ギルドカードをお預かりします」

受付にギルドカードを渡す。

「登録したばかりですよね?」

そうよ?

「お一人なんですよね?」

見てのとおりよ。

「無難なのは薬草の採取とかですけど・・・」

じゃあ、それでもいいわ。

「東門を出て左手にある森で採取出来ます。薬草はわかります?」

鑑定があるから大丈夫よ。東門を出て左ね?

「はい、頑張ってください。薬草は10束で銀貨1枚です」

あら?思ったよりも悪くない金額じゃない?数が採れないのかしら?


で、森に来たんだけど・・・

そこら中にあちこちあるように見えるけど?

まずは鑑定無しで記憶にある薬草だと思う草を採取。

この形の葉っぱが薬草だったと思うんだけど?

さて、鑑定結果は?


名前:上薬草

品質:最高品質

説明:中級ポーションの材料


どういうこと?これが薬草じゃないの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る