ショートショートスプリント

紅葉魚

第1話 はじめの一歩に何を書こう

文章を作ることを言葉を紡ぐと表現することがある。

文章とは言わずもがな、幾多の言葉の組み合わせで作られるものである。様々な要素を持つ単語を選び、繋ぐことで意味を持った文となる。言葉を紡ぐことは、雑多な語彙の繭から、好ましい言葉を選び撚り合わせる、糸紡ぎのようだ。だからこそ「紡ぐ」という言葉が使われるのだろう。

そんな糸である文もそれ単体では意味の薄いものである。寿限無の名前を読み上げてもそれだけでは名前とはならないし、知恵の実をただ食べるだけでは罪にならない。文はひとつでなく複数を束ね、一つの大きな塊にして初めて文章として意味を持つのである。お寺で名前の意味を聞いて初めて縁起のいい名前になり、食べてはいけないと感じられたからこそ知恵の実を食べることは罪となったのだ。幾多の糸は織りあげ、一枚の布となることで初めてその紋様の美しさを魅せることができるのだ。

では、美しい紋様の布、つまりは上手い文章を書き上げるにはどうすれば良いのだろうか。

答えは単純である。練習をすれば良いのだ。数をこなすことで、文章を構成し、書き上げるということに対して慣れることで、どのようなところに言葉を挟むべきか、どのように表現するかなど、技術向上を図ることが上手い文章を作る上で重要だと考えられる。

もちろんただ漫然と数をこなすだけで上手くなったら苦労はないのだろう。そもそもこの理屈は文章を汲み上げる素材となる語彙やそれをどのように表現するかのセンスといった点を無視している。

だが、それらは長い時間をかけて身につけるものであり、それと同様に文章構成の技術も時間をかけて身につけるものである。語彙やセンスは日頃読書を行なっていれば自ずと育てられるものであることに対して、文章を書き上げることは日常において、そう多いものではない。

というわけで、この作品では「文章を書く」こと自体を目的として日頃の様々なことを綴っていきたいと思う。

いつか美しい紋様が織れるようにこうじょうしていきたい。

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