最終話
椅子に座っている竹下さんはしっくりくるポーズが決まらないのか、何度も足を組み替えては角度を変えたりしていた。その度に短いスカートの中が見えそうになってはいたのだけれど、ギリギリのところでうまく隠れていたのだ。上手く隠せて履いたのだけれど、なぜか竹下さんは椅子に膝を乗せて後ろにあるぬいぐるみに手を伸ばしていた。後ろを向いてぬいぐるみに手を伸ばしている時に完全にパンツが見えてしまったのだ。竹下さんの身に付けている白とピンクの可愛らしいパンツを見てしまった俺は録画したままだったという事に気付いていなかった。
「あ、もしかして、見えちゃいました?」
「え、何が?」
「いつもと違って短いスカート履いてるのを忘れてて、中が見えちゃったかなって思って」
「ああ、見えたと思うけど見てないよ。うん、俺は見てないよ」
「俺は見てないって事は、撮影はしてたって事ですよね」
「もしかしたらそうかも。ずっと録画したままだったし。映ってたとしたら消しとくから安心していいよ」
「別に消さなくてもいいですよ。見えちゃったものは仕方ないですし」
「でも、消した方が竹下さん的にもいいんじゃないかな?」
「そんな事ないですって。部長だから変な事には使わないって信じてますし」
「変な事って」
俺は竹下さんの顔を見ることが出来ずにいた。この空間に竹下さんと一緒にいることに慣れてきたと思っていると、また新しい出来事が発生して常に緊張の連続だったりする。正直に言えばパンツは見えていたし録画もされたままだと思うのだが、こういう時は見えていないと言った方が優しいのではないかと思ったのだ。
「見えていないなかったなら見せてあげてもいいですよ。見えそうで見えないのってストレスたまるみたいですし、見せるだけだったら私も平気ですから」
固まっている俺を見つめたまま竹下さんは椅子の上に立つと、俺に見えるようにスカートの裾を持ち上げていた。椅子に立っただけでもパンツは見えていたのだけれど、スカートの裾を持ち上げてくれたことでよりハッキリと見えるようになってしまったのだ。
妹の下着姿は何度も見ているのでこんな感じだとはわかっていたのだが、俺の妹ではなく竹下さんの下着姿だという事は同じようなパンツを見たことがある俺を混乱させていたのだ。
「部長、撮影の練習なんだからスマホで撮ってくれてもいいんですよ。それとも、私の事は撮りたくないって事ですか?」
「撮りたくないなんてことは無いけどさ、良いのかな?」
「良いんですよ。練習ですから」
「練習なら撮らないとね」
「でも、誰にも見せちゃダメですからね」
画面越しに見える竹下さんの顔は先ほどの俺のように緊張しているようだった。少しだけ紅潮したその顔は恥ずかしいという感情だけではないようにも見えたのだが、今の俺にそれを読み取るだけの余裕はなかったのだ。
「部長って妹がいるみたいですけど、こんな風に見せたりしてくるんですか?」
「こんな風ではないけど、風呂上りに下着姿でウロウロしてる時はあるかも。意識してみたりはしてないけど」
「じゃあ、今は意識してみてるって事ですか?」
「まあ、そうなるよね」
「もっと見ていいですけど、見るだけですからね。触ったりしたらダメですよ」
もう少し近くで見たいという思いはあるのだけれど、これ以上近付いてしまうと手を伸ばして触れてしまいそうだった。そんな事をしたらどうなるのだろうか。二人の関係は今までとは違うものになってしまうように思えたし、良い方に転がるのか悪い方に転がるのかわからない。
「椅子の上に立ってるのって疲れたんでちょっと座ってもいいですか?」
「ああ、竹下さんの楽な感じにしていいよ」
「はい、楽な感じにしますね」
竹下さんはゆっくりと椅子から降りると、椅子ではなく俺の目の前に移動してきた。
俺はスマホを竹下さんに向けたままその様子を見ていたのだが、手を伸ばしても届かないくらいの距離にいる竹下さんがそのまま床に腰を下ろしたのだ。
普通に座ればパンツも見えないと思うのだが、竹下さんは何故か片ひざをたてて俺に見えやすいように角度を付けてくれていたのだ。
「こうしたら床に座っていても見えますか?」
「見えてるけど、竹下さんって俺に見せたいの?」
「どうなんでしょうね。部長が見たいって思ってくれるなら見せてもいいかなって思う感じですかね。でも、焦っている部長が見れるのって楽しいなって思うかもです」
竹下さんは立てている方の足をゆっくりと左右に揺らしながら俺を挑発していた。そんな事をしなくても短いスカートなので完全に捲れあがっているのだが、俺を挑発することをやめる様子はなかったのだった。
俺の目をじっと見つめてくる竹下さんは相変わらず触れられない距離を保っているのだが、俺が少し後ろに下がると同じ距離だけ詰めてきたりもしていた。
「そろそろちゃんと撮影した方がいいんじゃないかな。今の感じだと動きがわからないままで終わっちゃいそうだし」
「そうですね。せっかく可愛いスカートも履いたんで撮った方がいいですよね。でも、これだけ短いとちょっと動いただけでも見えちゃいそうです。さすがにそれは恥ずかしいですから動きは考えなくちゃですよね」
「でも、俺は見ちゃってるけど」
「部長は見てもいいんですよ。変なことに使わないって言ってくれましたから。ね、部長」
変な事には使わないとは言ったものの、俺はこの映像を何度も見てしまうような気がしていた。もちろん、竹下さんもそれは理解しているとは思う。だが、お互いに口では何とも思っていないという事なだけだとわかってはいるはずだ。
「撮影する時はあんまり下を映さないでくださいね。上は簡単に見えないと思うんで大丈夫ですよ」
「さすがにスカートみたいにめくりあがることも無いと思うよ」
「ですよね。でも、上も可愛いのつけてるんですよ。部長はパンツだけじゃなくて、ブラも見たいって思いますか?」
突然の質問に俺は答えることが出来なかった。見たいと言えば竹下さんは見せてくれるような気もするのだが、スカートの時のように何もしなくても見えるというわけでもないので竹下さんに見せてもらわないといけないという事なのだろう。
「変なことに使わないって言うんだったら見せてあげてもいいですよ」
「変な事には使わないよ」
「部長って、本当に可愛いですね」
竹下さんはそう言いながら片肘をついて俺の方へと近付いてきた。
肘をついていない右手で襟元を下に少しだけ広げて出来た空間を俺に見せると、そこには先ほど見たパンツと同じ柄のブラがちらりと見えていた。
妹よりも少し大きいのかもと思いながら見ていたのだが、俺は見ているだけで動くことは出来なかった。
「変なことに使わないって言うんだったら、こっちも撮っていいですよ。変な事には使わないでくださいね」
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