第三話 紫陽花が意味したモノは
私が覚えている最後の記憶…視界いっぱいに見える、自分の涙でできた紫陽花の花畑…
私の中の細胞という“根”から再度血液という名の花弁が流れ出した…
私の頬に水に似た液体がこぼれてすぐ消えたそれを数回繰り返すうち
脳に命令文が唱えられる『記憶を塗りかえし‘彼’の〜を咲かせよ』…
この一文に疑問があった〈咲かせるとは何を咲かせればいいの?肝心の〜の部分を知らないと咲かせることは無理だ〉
私は慣れるように口に出してこう言った。
「また記憶…ナくしちゃった」
そして目を開けた…
見て最初に見たのは、驚いた顔でこちらを見る人
その人に私は尋ねた
「はじめまして、貴方はどなた?」
人間は一気に絶望顔に変わった
「四葩?…冗談だよな…僕のこと覚えてないの?」
「四葩とは私のことです?私に名前はないはずですよ」
「…四葩…僕が名前をつけた名前だよ」
「ちなみに僕の名前は野月青嵐だ僕のことは男として見てくれて構わないから改めてよろしくな」
「よろしくお願いします青嵐さん」
私はまたやってしまった…
“これらは二回に一回の記憶に刻まれる事”
・紫陽花の涙が一輪分流れると記憶がリセットされる。
・1ヶ月経てば自然に記憶はリセットされる。
・普通の人のように怪我したら痛いし紫陽花でも体に限界というものはある。
・この世には私と似た人=彼がいる
・彼の〜を咲かせることができれば私の紫陽花としての試練は終わり私は願いを叶えられる。
・咲かせることができなければ殺されるまで生き続ける…
・彼が死ねば私も死ぬ…
・その人も私と一緒で涙が少し特殊だけど気づく人はそういない。
この10個の情報で大半は私のこと…
何回目の記憶の自分かは知らないが私は見つけた…“彼”を
頬に彼の涙が垂れた時三秒たたず消えた。
普通の涙は乾くまでに数分かかるはず…
涙は透明だし垂れてもそう目立つことがないから気づく人はそういない…
前回の記憶の自分…一体どうやって力尽きたのか…
「青嵐、私は倒れるまでの記憶はほとんどないですが、私の身に何があったんですか?」
「四葩は、机に置き手紙を残していって紫陽花になる涙を病院で診てもらうから三十分して帰ってこなかったら迎えに来てって…それで帰ってこなかったから探してたんだ…そしたら…君の紫陽花の涙がとんでもない数、目の横に散りばめられて気をを失ってたんだよ…そして目覚めた四葩は記憶を無くしてた」
「………」私は目を瞑り何かを考えた。
「四葩?…」
「単刀直入に言う…青嵐の中に何か失いかけているモノはないか!」
「う、失いかけてるモノ!?あぁー…なっないよ」
私は確信した。〈うん、この人だ〉
「青嵐、私に何故四葩と言う名をつけたんだい?どう言う意味の名だい」
「…四葩とは紫陽花の花の部分なんだよ、君が四葩のように咲けばいいなって思いからつけたんだよ。」
「それなら…私を咲かせてよ!何にでもなる…貴方のためなら私は何にでもなれるの…」
いつもの記憶の私なら、こんなこと言わなかったと思う…
初めてだ…いったい私は何を考えているのだろうか…
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