9日目②
「ウチもきた!メッチャ長いんだけど!」
「あ、私もきてる。」
華楓ちゃんは全員に返事をくれたみたいだ。
「え、ヤバなんか泣けてくる。」
ノワは涙は流していなかったが、華楓ちゃんの文章が琴線に触れたようだ。
「それは大袈裟だけどね。でもこの文章を書けるくらいには元気ってことだよね。よかった。」
「ほんとに!安心したぁ。入院してるとか言ってたからやっぱり大ごとかと思っちゃうじゃん!?」
「ね。とりあえず安心。」
「戻ってきたら退院おめでとうパーティでもやろーぜ!」
「やろうやろう!それ、華楓ちゃんに伝えるね。」
退院パーティーなにが喜ぶかな、とノワとフジコで話している。その中、私は華楓ちゃんのメールに返信をした。
『大丈夫ならよかったぁ!
まだこれから先も仲良くしてくれるならすっっっごい嬉しい🫶
また色んなとこ行こう!
会えそうなら嬉しい!
でも治ったら学校でもいっぱい会えるし、無理しないでねっ
戻ってきたらまた退院おめでとうパーティーしようって今ノワとフジコと話してたんだ
美術館とか博物館は学校の遠足でしか行ったことないから行ってみたいし、回転寿司は大好きだから行きたい!
とりあえずお大事に〜😌💗』
「あ、華楓ちゃん、また友だちでいてくれるって!」
「お、よかったやん!まあここまでマブになって友だちやめるって方が意味分からんけどな。」
「まあね。でもよかったよかった。あとは華楓ちゃんの帰りを待つだけだね。」
「うん!早くよくなりますように!」
「そうだな!んで、どうする?華楓っちどんくらいで退院するんだろ。もう楽しみすぎるからパーティーの準備、ってかプレゼントの用意したいんよな。」
「いいじゃん!食べ物系じゃなければ早めに買っておいても大丈夫だろうし。今日皆で行く?バイトある?」
「ウチバイトない!行こうぜ!フジコは?」
「私もないから行こうかな。」
「よっしゃ決まりー!じゃあ近くのショッピングセンターな。てか次自習じゃん!ラッキー!このまま喋ってよーぜ。」
「ノワ、テスト前なんだけど。」
「あー、そういえばそうだな。あはは。」
「てか、ノワ前回の数学のテスト、赤点だ〜ヤベ〜って言ってなかった!?」
「いや、言ってたけど!それとこれとは別じゃん!?」
「いや、ちゃんと勉強してもらわなきゃ。ほんとに赤点取ったら、友だちとして困るんだから。わかんないところ教えるから、一緒に勉強しよう?」
「フジコ様〜!今日華楓っちのプレゼント買うときにまたなんかあげるわ。」
「いいよいいよ。さっきポテトもらったし。」
「フ、フジコ様〜!赤点回避、頑張ります〜!」
「ほんとに頑張ってね!?今回の単元割と難しいし!」
「頑張るよアヤチ。アヤチも教えてな。」
「もちろん。」
私はノワにもらったプリンを開ける。
口いっぱいに甘さが広がった。ん〜、美味しい!
「プリン美味しい!ノワありがとう!」
「はいよ!」
プリンはあっという間になくなってしまった。
「じゃあ、勉強会始めようか。」
「え、まだ5時間目じゃなくね!?」
「そういう問題じゃないでしょ。そもそもこの1時間で間に合うと思ってるの?」
「え……間に合わないんですか……。」
ノワが恐る恐る私に目配せしてくる。
「まあ、間に合わないだろうね。」
「えー!?ガチ!?今回ムズすぎん!?」
「だから難しいって言ってるでしょ。」
「ほんとに分かんないもん。私もわかんないとこフジコに教えてもらお。」
「私も全部教えられるかは分かんないけどね。」
「みんなで解決しようぜ。この難問を!」
「カッコつけても無駄だからね。はい、教科書出して。練習問題のページ。153ページかな。」
「うう。頑張ります。。教科書ロッカーなので持ってきますぅ。」
「はーい。ついでにワークとノートも持ってきてね。」
「はいせんせー!」
フジコもノワも意外とやる気満々だ。テスト前って嫌だけど、こうやって勉強会できるのはちょっと楽しいよね。勉強は嫌だけど……。
「持ってきた!ついでに糖分も持ってきた!」
「お、ナイスノワ!」
「糖分は必要だね。それ食べながらやろうか。」
「はいノワせんせー!」
そんなことをしていると予鈴が鳴った。重い数学の教科書を開き、問題とにらめっこを始めた。
「あー!やっと授業終わったー!」
「お疲れさま。自習でかなり数学もできるようになってたし、さっきの日本史も当てられて答えてたじゃん。」
「そう!ウチスゴくね?自分でもビビったわ。」
「すごいすごい!やっぱノワはやればできるんだよ〜。やらないから赤点取るんだから。」
「やっぱやればできちゃうんだよな〜。」
「お、じゃあ今日出てた現文の宿題は完璧かぁ。明日現文あったよね。朝、フジコ様〜って言ってくる人はいないんだね。」
「うっ。毎日やろうとは思ってるんだって!忘れちゃうだけなんだよ〜!」
「そうなの?でもやればできる子だし。」
「なんか言いくるめられてるような気がするけど。ま、いっか!早く華楓っちのプレゼント買いに行こーぜ!」
「行こう行こう!」
喋りながら歩いたショッピングセンターまでの道はあっという間だった。
「おっしゃ!じゃ、プレゼントどうするか!」
「どうしようね。華楓ちゃんって何が好きなんだろう。意外と知らないかも。アヤチ知ってる?」
「うーん。そんなに知らないけど……。本読むのは好きそうだなって思う。いつも本持ってた気がする。あとは〜、ピアノやってるみたいなこと言ってたかな。だから音楽は好きそう?」
「おー、めちゃ華楓っちぽい!本好きなら栞とか?ブックカバーとか?」
「いいんじゃない?使えるし、見る度に思い出してくれそうじゃない?」
「確かに!じゃあ本屋さん行く?」
「だな!」
そうして私たちは本屋さんに向かった。道中でノワが、
「あれ飲みたい!」
と言い出した。前に華楓ちゃんとここに来た時に飲んだキャラメルラテだ。
「あれおいしそうだよね。とりあえず今はカエちゃんのプレゼント買うとして、帰りに飲んで帰る?今混んでそうだし。」
「よっしゃ。そうしようぜ!2人も飲む?」
「私、先週華楓ちゃんと行ったんだよね。美味しかったよ!」
「え、ズルー!ウチも一緒に行きたかったー!まあ、しゃーないか。フジコは?」
「私は飲んでないから飲もうかな。」
「いいねいいね。私は定番のやつでも飲もうかな。せっかくだし。」
「そうしよーう!先に本屋だ本屋!」
本屋は私たちが入ってきた入口から1番遠い場所にあるのだ。たまに寄り道をしながら本屋までの道を歩く。すると、可愛らしい髪飾りを見つけた。
「ねぇ、見て!これかわいくない?」
「え、めっっっちゃかわいいやん!」
かわいらしいリボンの髪飾り。絶対に華楓ちゃんに似合う!と思ってしまった。
「これカエちゃん似合いそう。」
「え、やっぱそう思う!?」
「ウチも思った!本屋にピンとくる栞があるかも分からんし、これにしちゃうのもアリじゃね!?」
「ありだね。しかもこれ、ご丁寧に4種類あるよ。全員色違いでおそろいできるけど、どうする?」
「するに決まってんじゃん!華楓っちは白かなぁ。フジコはこの薄紫?アヤチはこの緑っぽいやつ似合いそうじゃね?となるとウチは黄色か。」
「いいじゃんいいじゃん。それにしよー!」
「おけ!じゃ、ウチまとめて買ってきちゃうわ。」
「ありがと!」
「ありがとう。」
華楓ちゃんの退院パーティーのプレゼントも決まり、あとは華楓ちゃんの退院を待つだけ。いつ退院できるのかは分かんないけど、今からとっても楽しみ!
このお揃いの髪飾り付けてみんなで遊びに行きたいな〜!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます