7日目①
「お誕生日おめでと〜!」
「うわぁ。あ、ありがとうございます……!」
華楓ちゃんが玄関の扉を開けると、私たちは投げテープを投げた。クラッカーだとビックリしちゃうんじゃない?っていうフジコの配慮だ。
今日は華楓ちゃんのお誕生日パーティー当日。
私たちは華楓ちゃんに教えた集合時間の1時間前に集まって、誕生日パーティーの準備をしていた。
前日に言って来てくれるかなって心配ではあったんだけど、2人ともノリノリで来てくれたからよかった。
華楓ちゃんを驚かせて喜ばせるぞー!って、3人で張り切ってたんだ。私たち3人のうち誰かが誕生日のときは他の2人で準備してたから、3人でわちゃわちゃっていうのは初めてで、準備からもう楽しかった!
「華楓っち早く入って入って!本日の主役のお出ましだ〜!」
ノワがノリノリで華楓ちゃんを案内する。ここ私の家だけどね……!笑
「お邪魔します……!」
周りをぐるっと見回して、なんだか不思議そうな顔をしている。そりゃあそうだよね!庶民の家なんて来たことないよね!掃除だけはしっかりしたから!
「なんだか素敵なお家だね。」
「え!本当!?そんなこと言ったらお母さん喜んじゃうなぁ。えへへ。」
「喜んでるのはお母さんだけじゃなさそうだけどね。ふふふ。」
フジコが茶々を入れてくる。なんかいいな、この空間。昔からずっと一緒って訳ではないけど、幼なじみみたいな空気感がある。暖かくていい空気だ。
「ここがパーティー会場!さあ入りたまえ〜!」
ノワが私の部屋のドアを開ける。そんな大層なパーティー会場ではないけど、いろいろ装飾したりしてキラキラにしたから、私たちなりには立派な会場なんだ。
「わぁ、すごい。これ、準備してくれたんですか……?」
「うん!3人で華楓ちゃんのために準備したんだよー!」
「そんな……!ありがとうございます……!」
華楓ちゃんは勢いよく頭を下げた。
それと同時に私たち3人は爆笑した。
「あっはははは!そんなかしこまらなくていいんだよ!ウチらも準備楽しかったし!」
「そうそう。白丘さんも全然気使わなくていいからね。っていうか、私ずっと白丘さんって呼んでたけど、もうそろそろさん付けどうにかしたいよね。」
「確かにフジコはずっと白丘さん呼びだったし……。いいねいいね、もっと仲良くなーれ!」
「なにそれ笑。じゃあカエちゃんとでも呼ぼうかな。」
「カエちゃん……!是非……!」
「ふふふ。やったね。お友だちランク上がっちゃった。」
「えーズルい〜!ウチもお友だちランク上げたい〜!」
「ノワはもう十分ランク高いから!それ以上コミ力上げないで!」
「なんだか楽しいです。ありがとう。」
華楓ちゃんは楽しそうに微笑んでいた。もう準備してよかった〜って思ってる。ノワもフジコも華楓ちゃんも、皆いて皆楽しそうなのが何よりも嬉しい!
「それよりも、1番大事なものがあるんじゃないの?」
と、フジコが肩をつつく。あれのことだ!
「1番大事なもの……?なんでしょう。」
「それはね、じゃーん!開けてみて!」
「うん……。わぁ、楓の葉のキーホルダー……?」
「そう!プレゼントっ!」
「え、い、いいの……?こんなにたくさんやってもらっちゃって……。」
「もちろん!」
華楓ちゃんの誕生日プレゼント、何がいいかなってすっごく迷って、でもどうせ今日で終わっちゃうなら残るものがいいなと思ってキーホルダーにしたんだ。華楓だから楓っていう安直な理由だけど、赤みがかった金色の楓の葉で華楓ちゃんに似合いそうと思ってこれにした。
見つけた時ビビッときたもん。これだ!って笑。
「ありがとう。大切にするね。」
「うん!ありがとう!」
ノワとフジコもニコニコと私たちを見ていた。
「2人からもあるんでしょ?ほらほら〜!」
私は2人も華楓ちゃんへのプレゼントを用意していることを知っていた。素敵なプレゼントだから、早く渡して喜んでる華楓ちゃんが見たい!
「はいはい急ぐな急ぐな。でもウチからもとっておきのプレゼントあるから華楓っち!それ開けて!」
「小波さんも、本当にいいんですか……?」
「あっはは!ビビんなくていいから!」
「あ、ありがとうございます……!えっと……、コームだ……!嬉しいです。」
ノワがあげたのは大きめの櫛。家にもっといいやつありそうだけど持ち運びできるちっちゃいやつは持ってないんじゃね?って言って選んでた。ノワって意外と気が利くよね。
「私もこれ。」
「クッキーですか……?おいしそう。」
「手作りだからお口に合うか分かんないけど。愛情は人一倍だよ笑。」
「手作り……!?すごい。かわいいです。ありがとうございます……!後でいただきます……!」
ノワはお菓子作りが得意だから、なんか作ってくって言ってて、プレゼントにアイシングクッキーを作ってきた。すごい難しそうなのに綺麗にできていてまるで売り物みたい。
「パーティーで食べる用にシフォンケーキとアップルパイも作ってきたからみんな食べてね。」
「ガチ天才!店開けるレベル!フジコ様!」
「はいはいノワは大袈裟なんだから。カエちゃんも好きに食べてね。」
「はい……!ありがとうございます……!」
「じゃあプレゼント交換も終わったところだし、いただきますしよっ!紅茶か緑茶かぶどうジュースあるから自由に飲んでね〜!じゃあいただきますは華楓ちゃんがどうぞ。」
パーティーだからって言ってピザとかプリンとかも買ってきたんだ!華楓ちゃん好きだといいけど。
ずらっと並んだ食べ物たちは圧巻だ。
「え……。私、ですか……?」
「あ、うん!嫌だったら大丈夫だけど!主役だからどうかなって……。」
「や、やります……。えっと、この度はこのような会を開いていただき、誠にありがとうございます。」
「ふっはははは!固すぎ!いただきますだけでいいんだよ!」
「あ、そうなんですね。それでは、いただきます。」
「「「いただきます!」」」
私たちはノワ特製アップルパイとかシフォンケーキとか市販のピザとかを雑談しながら頬張った。
ノワとフジコは最近仲良くなったと思えないくらい華楓ちゃんに話しかけてるけど華楓ちゃんは全然嫌そうにしていない。
なんだか不思議な感じだなぁと思っていた。
あーこの時間がずっと続けばいいのに、なんて。
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