5日目①
「おはよう……!」
「華楓ちゃん!おはよう!風邪治ったんだね!よかったぁ。」
「持ってきてもらった苺と林檎のおかげだね。それで、なんですけど。昨日いきなり連絡してしまってごめんなさい。」
「んーん!全然全然。嬉しかったし。」
昨日の夜、華楓ちゃんから連絡がきたのだ。内容は、風邪が治ったので明日ショッピングに行かないかということ!病み上がりだから大丈夫かなと思ったのと、妹さんが気がかりだったのもあって1回は断ったんだけど、華楓ちゃんが行きたそうにしてたから行こ!って言っちゃったんだよね。どうせあと3日しか一緒にいない訳だし、あと3日は妹さんにバレない程度に遊びまくろう!って決めたんだ。
気がかりなことはあるけど、華楓ちゃんと遊ぶのは普通に楽しみ!
これを糧に今日は授業頑張るぞー!
っとその前に、今日は生徒会の仕事がある。
だからいつもより20分くらい早く学校に来てるんだ。
今日やる活動はあいさつ運動。校門に並んで生徒みんなに挨拶をする。
全員の顔が見えるから、あいさつ運動好きなんだよね。朝早く起きるのはキツイけど。
「今日あいさつ運動だねー!朝起きるのめっちゃキツかった笑。」
「だね。私、あいさつ運動って苦手なんですよね。大声出すとかできないですし、生徒の模範になんてなれるはずもないし……。」
「大丈夫大丈夫!挨拶は気持ちとか言うじゃん?会釈だけでも立派な挨拶だし、大きい声を出すことが目的じゃないから。ってそんなこと話してたらもうそろそろ時間じゃない!?早く行かなきゃ!」
「わ、本当だ。あの、ありがとう。頑張ろう、ね。」
「うん!」
「おはようございます!」
登校してくる生徒たちに挨拶をする。見向きもしてくれない人もいるけど、挨拶してくれる人がいるとやっぱり嬉しい。
華楓ちゃんも、声自体はそんなに大きくないけど、一生懸命挨拶をしていた。生徒会長や役員も一丸となって頑張っている。
「お、華楓っちじゃん!おはよ!生徒会のあいさつ運動?お疲れー。華楓っち元気になったん?」
駅の方から歩いてくるノワが話しかけてきた。
相変わらずのマシンガントークだ。
「はい……!あ、昨日お手紙ありがとうございました。」
「あはは!お手紙どういたしましてー。」
2人が前よりもちょっと仲良くなっている感じがして嬉しかった。
「白丘さんおはよー。」
「おはようございます……!」
ノワと華楓ちゃんも、めちゃくちゃ喋るって訳でもないけど簡単な会話くらいならするようになっていた。本当にこのメンバーで仲良くなれるんじゃない?って思えてくる。
でも1週間って言われてるんだよね……。今日入れてあと3日か。でも1週間経って本当に縁を切れるかって言われたら無理な気もする。妹さんのこともあるし、あんまり関われなくはなるかもだけど。
ああもう!マイナスなこと考えるの一旦やめよう!とりあえず今日のショッピング楽しもう!うんうん、それがいい!
ショッピングの場所は学校の近くのショッピングセンターだ。前に行ったカフェがあるところ。
服屋もフードコートもゲーセンもあるから、とりあえずここに来れば遊べちゃう。
「ショッピングセンターって何でもあるんだね。」
「そうだね!大体のものは揃ってるから助かる。」
「私、お洋服を見たいです……!あと、前みたいに何か食べたい。」
「いいねいいね!じゃあとりあえず洋服見に行くか!」
「うん。」
そう言ってショッピングセンターをふらつく。
今日はショッピングをする予定だったから、貯めてたお金を結構しっかり持ってきたんだ。もうそろそろ冬服も買わないといけない頃だし、ちょうど良かったのかも。
「あ、かわいい……。」
「ん?どれどれー?」
華楓ちゃんの視線の先には、ふわふわ可愛い系統のワンピースがあった。可愛すぎずシンプルだけどふわっとしていて華楓ちゃんに似合いそうだ。私は絶対に着ないような系統のお店だけど、華楓ちゃんに似合う服がたくさんあるだろうから、入ってみよう。
「あのお店?入ってみようよ!」
「あ、うん。」
お店に入ると、可愛らしい服がずらっと並んでいた。大体の服にフリルやレースが付いているが、それらの主張は激しすぎない。
華楓ちゃんの見つめていた服もレースが付いていて、薄緑色のふわっとしたワンピースだ。
「これ?かわいいね。」
「うん。かわいい。」
「体にあててみようよ!あっちに鏡あるし、こっち来て!」
そう言って華楓ちゃんを鏡の前へと連れていく。ワンピースを華楓ちゃんにあててみると、やっぱりピッタリお似合いだった。
「めっちゃ似合うじゃん!」
「え、そうかな……?えへへ。でも本当に可愛いし、買っちゃおうかな。」
「うんうん!華楓ちゃんが着てるの見るのちょっと楽しみ!」
「本当……?なんだか緊張しちゃいますね。」
「あ、そんなつもりで言ったわけじゃなくて!本当に似合ってたからさ。」
「うん。ありがとう……。あ、これ。」
華楓ちゃんがまた何か服を見つけたみたいだ。
「どれどれ?」
「これ。似合いそう……。」
華楓ちゃんの手にはギンガムチェックのワンピースがあった。細めの主張の激しくない黒リボンがあり、白い襟がまたかわいらしい。
これも華楓ちゃんに似合いそうと思ったそのワンピースは、私の体にあてられていた。
「やっぱり似合うね、かわいい……!」
「え!いやいや!こういうのあんまり着ないし!私には可愛すぎるよ!華楓ちゃんの方が絶対似合うって!」
私が普段着る服はカジュアル系が多くて、元々スカートも履く方じゃない。こんな可愛い服、私には似合わない!
「そんなことないです……!すごく似合う。かわいい。あ、もちろん嫌ならやめます……!ごめんなさい、でも似合うと思って。」
「嫌とかじゃなくて!全然、嬉しいんだけどさ!こういうの着たことないから……笑」
「あ、そうだったんですね。気に入ったら是非……!着てるとこ見てみたいので。」
うーん、そう言われると気に入ってきちゃうなこの服。可愛いし、こういうの着てみるのもアリなのかな……?うーん。
「なんかすごい迷ってきちゃった。ちょっと欲しくなってきた……。でもこれ着るのかぁ。いやでも可愛い!」
「迷ってるんですか?似合いそうって思ったので迷ってくれてるの嬉しい。迷ってるなら買っちゃってもいいと思う……!」
「そうだよね!じゃあ買っちゃおう!華楓ちゃんもその服買う?」
「うん……!」
可愛い服買っちゃった!この服いつ着ようかな、なんて、ルンルンした気持ちで洋服屋を後にした。
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