4日目①
「えー、白丘は風邪で休みだ。」
朝のショートホームルームで担任がそう告げる。
そんなぁ。やっぱり昨日の雨かな。傘一緒に入ったから、反対側の肩濡れてたとか……!?
だとしたら申し訳なさすぎる……。大丈夫かな!?
連絡先も交換したし、後で連絡しよっと。
「華楓っち休みだって〜。寂しいねぇ。」
「華楓っちって何。まあ寂しいっちゃ寂しいよね。」
「白丘さんと仲良くなろう計画実行中なのになぁ。」
「フジコはそんな計画立ててたの!?まあ、皆で仲良くなれるのも嬉しいよね。あのね!昨日華楓ちゃんと連絡先交換したんだ!」
「お、いいじゃん。てか、好きな人と連絡先交換したみたいに言うじゃん笑。」
ノワがからかうように言ってくる。そう言われるとなんか照れる!
「え、別にいいじゃん!本当に嬉しいんだもん!ね、フジコ!」
「そうだねぇ。本当に嬉しそう。あはは。白丘さんも嬉しいんじゃない?それにしても先生風邪って言ってたし、大丈夫かなぁ。」
「んね。昨日雨降ってて、傘の中入れてもらっちゃったし、それが原因かな!?って思ってるんだけど……。あー!なんで傘持ってかなかったんだ昨日の私!」
「あっははは。相合傘までしたのかよ!いいねぇかわいいねぇ。」
「突っ込むとこそこ!?」
そんないつも通りのやり取りをしているとすぐに予鈴が鳴ってしまう。
「うわお、予鈴。まあまだいけるっしょ。」
「私は戻りますー!」
「私も戻りまーす!」
「うぉい!真面目だなぁ。あ、やべ予習やってない。終わったー。」
そんなノワはいつものことなので放っておくとして。
会話の話題の中に、華楓ちゃんの名前が出てくるのが少し嬉しい。2人も華楓ちゃんと仲良くなりたいって思ってて……。本当にいつか皆で遊び行きたいなー!
でも、1週間か。数えてしまうともう4日目、今日を含めて4日しか残ってない。
でも、心から仲良くなれてる感じがするし、きっとその先も友だちでいてくれるさ!
でも約束なので、とか言いそうだよね、華楓ちゃん笑。
そんなことを考えているとふふっと笑いがこぼれていた。わあ、変な人だと思われちゃう。マズイマズイ。
とりあえず華楓ちゃんには後で連絡しようっと。
休み時間しかスマホは使えないから、昼までは連絡できないな……。お昼まで待つしかないかぁ。
四限までの授業を終え、やっとスマホを使える時間になった。
よし、えっと……
『風邪って聞いたけど大丈夫!?
昨日傘入れてもらっちゃってごめんね!
早く治りますように(-人-)
お大事に〜😭』
こんな感じでいいかな。連絡するの初めてだからちょっと緊張。えいっ送信っ!
「何してるのー?手、洗いにいくよ!」
「あ、うん!」
「華楓っちに連絡?」
「そうそう」
「連絡きたら教えて。白丘さん、大丈夫かどうか気になるし。」
「うん!」
そんな会話をしつつ、手を洗って皆で丸くなってご飯を食べる。会話の内容は、次の数学の授業が嫌だとか、今学期末提出の情報の課題が終わりそうにないとか、そういえばもうちょっとでテストだとか、そんなどうでもいいような話だ。
「マジでテストやべー」
「それな?今回数学ヤバそう。」
そんな2人の話を聞いてうなずく。今回は三角関数の範囲だ。関数って苦手なんだよね。
『ピロリン、ピロリン』
皆で雑談をしていると、スマホの通知音が鳴った。華楓ちゃんかな?
「お、白丘さんかな。」
「かな?見てみる。……。あっ、華楓ちゃんだ!」
「おー!華楓っちどうだって?」
「えーっと、
『風邪は大丈夫です。
熱があるので休んでいますが大したことはないので安心してください。
傘、持ってきてて良かったです。
安静にします。ありがとうございます。』
だって。」
「うわははは!文章めっちゃ硬い笑。でもめっちゃ華楓っちぽい。大したことないならよかったな。」
「そうだね!あ、返信しよう。」
『大丈夫ならよかった!
ほんとにお大事にね!』
大丈夫なら一安心。でも熱あるんだ。早く治るといいけど……。
「白丘の家知ってる奴いるかー?プリント類持ってって欲しいんだが……。」
ホームルームで担任が告げる。華楓ちゃん家!昨日商店街抜けたとことか言ってたよね……。
「はい!私行きます!」
「おお、そういえば近所だったっけか。じゃあよろしくな!」
「はーい!」
昨日聞いといてよかったぁ。でも行ったことはないから一応もう1回どこか聞いとこう。
あ、あと風邪ひいてるんだからお見舞いとしてなんか買ってこうかな。風邪のときって何がいいんだろう。果物とか……?
カットフルーツでも買っていこうかな。
「ちゃんと看病してこいよっ!うちは今日バイトだから行けないけど。あとこれ、渡しといてー。」
ホームルーム後、ノワが紙を渡してきた。
その紙を広げて見てみると、『早く元気になれよー! 小波』と書かれていた。ノワ、良い奴じゃん、なんて。
「うん!ありがとー!ちゃんと看病してくるから任しといて。」
「頼んだ!」
えーっと、華楓ちゃんにプリント類渡しにお家行くねって連絡しなきゃ。看病してくるって言ったけど、そもそもお家入れてもらえるかも分かんないしね。
メールじゃなくて電話の方が早いかな。電話しちゃおう!華楓ちゃんの電話は、これだ!登録しておいたから急にかけても私からの電話だって分かるはずだし、きっと大丈夫!
プルルルル、プルルルル
『は、はい……!えっと、もしもし!何でしょうか。』
電話の声ってなんか新鮮。いつもよりちょっと低く聞こえるかも?それはただ風邪をひいてて声が枯れてるだけなのかもしれないけど。
「あ、もしもし華楓ちゃん?風邪大丈夫?」
『大丈夫です……!電話がかかってきて、なんだか元気が出ました……!』
「あはは、よかったぁ!あのね、担任にプリントを華楓ちゃん家に持ってってほしいって頼まれたの。だから今からお家行っても大丈夫かな……?」
『もちろんです……!あ、いや、でもそんな、来ていただくなんて申し訳ないです。』
「そんなそんな!なんなら看病しに行くよ〜。」
『看病……!?そんな、大丈夫ですよ。大したこともないですし。』
そう言いながら華楓ちゃんは咳こんでいる。風邪辛いだろうな。
「大したことなくても、もし迷惑じゃなければ行かせてもらいたいな!」
『はい。全然迷惑なんかではありません……!それではお待ちしています、ね。』
「うん!あ、華楓ちゃんの好きな果物は?」
『え、果物ですか?うーん、苺とかでしょうか。あとは林檎なんかも好きですけど……。なんでですか?』
本当になんで聞いているのか分かってなさそうだ。サプライズってほどでもないけど、持っていったら喜んでもらえそう。
「んーん!なんでも!じゃあ1時間後くらいに着くと思うから!」
「はい……!分かりました。」
「じゃあねー。」
そう言って電話を切った。
近くのスーパーで苺と林檎を買って華楓ちゃんの家に向かった。
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