3日目③

何曲か歌って、飲み物がなくなった。

「あ、飲み物取り行く?」

「あ、うん。」

そうして、もう一度ドリンクバーに向かう。次は何飲もうかなーなんて考えながら。

「私、次はミルクティーにしよう、かな。」

「ミルクティーいいね!じゃあ私はオレンジジュースにしよーっと。あとアイス持ってく?寒いけど笑。」

「アイス……!食べたいです。寒いかもしれないけど。」

今は11月の下旬。結構寒いけど、結局アイスって年中食べちゃうよね。

「じゃあ食べよ!この容器下に持って、レバー引いてっと……。」

「わぁ、おいしそう。私もやります。」

華楓ちゃんは私を真似て、ソフトクリームメーカーのレバーを引く。ウィーンと音を立ててアイスクリームが出てくるが、レバーを戻すタイミングが合わず、ツンとたったアイスの先がだらんと容器からはみ出してしまった。アイスに元気がないみたいだ。

「ああ……。」

「あはは!はみ出しちゃったね。はいこれスプーン。スプーンで直せば問題なし!」

「ありがとう。」

自分の分もスプーンを持って部屋に戻ろうと思ったが、よくアイスバーのエリアを見てみるとトッピングがつけられるようになっていた。

「なんかトッピング出来るみたいだよ!チョコソースとかかけられるみたい。やろうよ!」

「いいですね。やりたい。」

そうして最強アイスパフェ作りが始まった。

チョコソースの上に苺ソースかけたら美味しいんじゃないかとか、いやでもイチゴソースの上に練乳も美味しいんじゃないかとか。

上にコーンフレークのせたら美味しいんじゃないかとか、いやでもドライフルーツでも美味しいんじゃないかとか。

あーだこーだ言いながら、2人で最強のアイスパフェを作った。

私のはチョコソースに苺ソース、その上にチョコフレークを乗せたチョコ増し増しのアイスパフェだ。

華楓ちゃんのは、苺ソースに練乳、その上にコーンフレークを乗せた甘党アイスパフェ。

「美味しそうなのできたね!溶けないうちに部屋戻って食べよ!」

「うん……!」

今度こそは道を間違えずに部屋に戻り、ソファに座る。待ちきれないという心持ちでパフェを机の上に置いた。

「じゃあ、いただきまーす!」

「いただきます。」

そう言って2人で最強アイスパフェを頬張る。

「んー!美味しい!」

「お、おいしい……!」

チョコ増し増しで甘くて……最高すぎる!

「チョコも美味しそう。」

「うん!めっちゃ美味しい。1口食べる?」

「えっ、いいんですか……?」

「うん!その代わり、私にも1口ちょうだい!」

「もちろんです……!」

そう言ってアイスパフェを交換する。華楓ちゃんの苺ソースがかかった甘党アイスパフェもとっても美味しかった。カラオケでこんなことできるなんて最高だよね。

「こっちも美味しいね!」

「どっちも美味しい。」

目が合って笑い合う。華楓ちゃんも楽しそうで私も嬉しい!よーし!たくさん歌っちゃうぞー!

「じゃあ次、何入れる?」

「あ、えっと次は……」

そんなこんなで私たちはカラオケを満喫していた。


ピロロロロ、ピロロロロ

「あ、電話だ。10分前かな?」

電話機が鳴ったので受話器を取る。

「終了10分前となります。」

「はーい。ありがとうございます!」

「失礼します。」

2時間があっという間にすぎ、もう終了10分前だ。

「10分前だって。次の曲で最後にするか!」

「そうですね。なんか、思ったより2時間って短い……。」

「んね!歌ってるとあっという間だよね!じゃあ最後に2人で歌って帰ろ!」

「うん。」

そうして歌った曲は男女のデュエットの曲。優しくて綺麗でいい曲なんだ。


「歌い終わっちゃいました、、、」

「あはは!そうだね。まだここにいたいよねー!」

「はい。2時間って長いと思ってたのにこんなに短いとは。びっくりです。」

「んふふ。楽しんでくれたみたいでよかった。」

「カラオケ行きたいってわがまま、聞いてくれてありがとう。」

「んーん。私も楽しかったから!誘ってくれてありがとね!」

「いえ。こちらこそです。」

2時間の余韻に浸りつつ会計を済ませる。

そうして外に出ると、カラオケに入る前とは明らかに違う空気が広がっていた。

「雨、ですね。」

「ほんとだ……。そんなぁ。今日の天気予報曇りだったじゃん!私傘持ってない……。どうしよ。」

「あ、私折りたたみ傘なら持ってる。入る……?」

「え、いいの……!?」

「はい。よければ。」

助かったー!こういうときに折りたたみ傘って持っておくべきだよね。明日からカバンに入れていこう。

華楓ちゃんが取り出した折りたたみ傘は白がメインで、広げると綺麗な黒い花の刺繍がバッと咲いた。

こういうの見ると思うけど、やっぱりお嬢様だよね?

「どうぞ。」

「あ、失礼します!」

「えっと、お家は……?」

「えっ!お家はあっちだけど途中まで入れてくれれば全然ありがとうだよ!華楓ちゃんの家は、あっちだったよね。どの辺だっけ。」

「家は、東口の商店街抜けたところすぐです。ですけど、流石にこの雨の中傘が無いのは……。」

「あ、じゃあコンビニまで行ってもらってもいいかな?そこで傘買うから。」

「あ、それなら安心です。コンビニは……。」

「こっち!」

「あ、うん。じゃあコンビニ、だね。」

「うん!ありがとね!」

私は華楓ちゃんが差してくれる折りたたみ傘に入る。傘持とうか?って言おうかとも思ったけど、華楓ちゃんの方が背が高いから私が持つよりいいのかも。華楓ちゃんが中腰になっちゃう可能性があるし笑。

私がそんなに身長低いわけではないんだけどね。華楓ちゃんがすごく高くて、私がどちらかと言えば低いだけ。

真隣で華楓ちゃんの顔を見ると、やっぱり可愛いなって思う。湿気で少しくるっとした髪もものにしている。今度ショッピングとか行きたいな。

「ねぇねぇ、今度ショッピングとか行かない?」

「ショッピング……!楽しそう。行きたいな。」

「ほんとに!?やったぁ。じゃあ、その時に華楓ちゃんの服とか選んでみたいなぁ。華楓ちゃんに私のも選んでもらったりしたいし。」

「わあ、いいですね。是非、行きましょう。」

「うん!また楽しみ増えちゃった。」

「私も……!」

そんなこんなしているとコンビニに着いた。

「傘ありがとう!私はコンビニで傘買って帰るね。」

「はい。今日もありがとう。それでは、また明日。」

「あ、ごめんちょっと待って。」

「はい……?」

華楓ちゃんをコンビニの雨の当たらないところに連れてくる。

「連絡先、交換しようよ。なんかやってる?」

「連絡先……!確かにあると便利かも。えっと、これならやってます。」

そう言ってアプリのアイコンを見せてくれる。

「私もそれやってる!じゃあ、交換しよ!」

「うん。」

そうして連絡先を交換した。なんか、高校で初めて友だちができた時みたいに嬉しい。

「ありがとう!」

「こちらこそ……!」

「それじゃあね。気をつけて帰ってね!」

「うん。今日は、ありがとう。」

「うん!また明日!」

そうして私は青色の折りたたみ傘を買って帰路についた。ぽつぽつと降り注ぐ雨は、じめじめするけどどこか綺麗だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る