第2話-2
「なんだ、あれ。地下に続く階段か?」
地面の一部がぽっかり空いて、下へと階段が続いている。もともとなにかがかぶせてあったようだが、天井が落ちてきた衝撃でそれが吹っ飛んだようだ。
ここが王城なら地下牢に通じる入り口っぽいなと思いながら、リオネルはさっそく階段を降りていく。目が暗闇になれる頃、ようやく階段が終わったようだ。
「っとと、危うく転ぶところだ。しっかしカビ臭いな」
思わず顔をしかめて
「……もしかして、そこに誰かいますか?」
という弱々しい声が奥から響いてきて、リオネルはハッとそちらに近寄った。
「ああ、いる。王国騎士だ。そっちにいるのは誰だ?」
「……ああ、騎士様……! どうぞお助けください! 聖女が三人、閉じ込められております!」
ガシャン、と耳障りな音が響く。手を突き出して前に歩いたリオネルは、すぐに
「もしかして本当に牢屋があった感じか? なんで閉じ込められているんだ」
「わたしたちもさっぱり……! とにかく出してください! 食事の差し入れのとき以外はずっと明かりもないままで……もう三日は経っているんです!」
悲鳴じみた聖女の声は涙でかすれている。リオネルは急いで鉄格子の鍵部分を探し、
「ちょっと下がっていろ。鍵を壊す」
剣を構えたリオネルは、何度か剣を突き刺して蝶番を壊した。扉を大きく開け、一人の聖女を引っぱり出す。
「階段のところまで連れて行くから、あとは自力で登ってくれ。――よし、次の奴、こっちに手を!」
こうしてリオネルは三人の聖女をなんとか引っぱり出す。皆、十代の後半から二十代くらいの、ミーティアと変わらぬ年の少女だ。
明かりもない暗闇に閉じ込められて限界だったのだろう。外に出るなり全員がへたり込み、一人は気絶してしまった。
「あ、ああ、まぶしい……!」
「い、癒やしの力を……っ」
光に目が慣れない聖女たちは手探りでお互いに癒やしの力をかけあって、なんとか目の機能を取り戻した。
「大丈夫か? 悪い、光に目がやられることまで考えていなかった」
「いいえ、いいえ、助けていただいてありがとうございます……! 神殿は今、どうなっているのですか?」
「おれもそれが知りたくて侵入したところだ」
聖女たちが閉じ込められたのは三日前だという。
中央神殿の四つの門が閉ざされたのも三日前ということだから、この三日のあいだに大きな異変があったのは間違いないようだ。
(三日前と言えば、おれたちは二つ目の街に入ったところだな。ミーティアがまた体調を崩していて……。その翌日に、あの巨大魔物の襲撃があったわけだが)
こちらも大変な三日間だったが、どうやら中央神殿もそこから本格的におかしくなったようだ。
「どうして三人は閉じ込められていたんだ?」
「わたしたちもわからないのです。ただ、聖女の勤めを
「罰だと?」
驚くリオネルに対し、聖女はもどかしそうに首を横に振った。
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