4話 謎の青年
「あ、別に良いですよ。」と言うと物珍しそうに私を見る彼が話そうとすると。
「おい、どこ座ってんだ??」と別の方から声をかけられ、すぐさま反応しようとすると宙を浮いた。
_____________________ふっ飛ばされたのだろうか、
それとも背良い投げをされたのだろうか、
気づく頃には背中と尻が痛い。
立とうとしても混乱で立ち上がれない自分。
相手はまあ、見るからにガラの悪いやつだと一見して分かる。
いや大体、良い年した男性が初対面で投げるやつがどこにいるんだよ。過激派か??
「ここはお子様が来るところじゃねーんだよ、
大体無能力《ノーアビ》のが席に座るなんてねーんだよ。」と
多分、私を馬鹿にしているんだろうと、勘で分かった。
確かに私は童顔の方に入るが別に普通は子供に見えるか??と自分の短所に少し、堪忍袋の緒が切れそうになったがさっき相席で座っていた彼が言った。
「君さ、
じっくり時間をかけて口説こうとしたのにほろ酔い気分も興冷めだよ…一体お前、何様のつもり??」くどっ!?!?え?!と勝手に赤くなる私に彼が下がってと言われ素直にその場から少し離れる。
「あ??何だこのやるっていうのか??」と
ガラの悪い不良を彼は人差し指で相手に指して横に振った。すると……
ガラガラガッシャーン
…とそこにあったイートインスペースの椅子とテーブルが不良と一緒に倒れた。
彼が腕を地面に向かって振ると地面と接吻をするかのように宙に上げては降ろしを繰り返して、不良は動けなくなった。死なない程度に。これには周りのお客さんも凍えた空気になり、無音になった。それを悟った彼は「ああ、ごめんね!!彼女に暴力をしていたから、ムカついちゃってやっちゃった!!
ギルドのお姉さん!!こいつを王立のサツにぶち込んどいて。」
と擦り付けにも程があると言うばかり、
反応に困るお姉さんに少し同情してしまった。と思っていると
「咲玖ちゃん!!こっちこっち!!」と手を引っ張り何処かへ向かう。
______________
「しっかし、君も君でさ、そんな装備ないどころか武器もないなんて、
チンピラや自分みたいなナンパ師狙われるもの当然だと思うよ。」
「ナンパ?!」
まあ、嘘だけどと彼が言ったが
私にとって心臓に悪すぎる冗談だ。
またもや良い大人が、謎の男性(容姿的年齢10代半ば)を部屋に入れてしまった。
ベッドは二つ。ツインがここしかないとはいえ、
隣には寝起きの悪い日宇が寝ている、良いのか悪いのか。
「随分、無防備すぎる友人だね。」
「すいません、近くの遺跡からここまで、休憩無しで走ってきたものですから。」
と言うと彼は驚いた、
少しブツブツとなにか独り言を言っていたが私の耳には入ってこなかった。
「……そりゃ、疲れたでしょうね。ここからノンストップって……」
そうだ。と言って彼は私の隣に座って話してきた。
「……突然の提案だけど、僕とパーティを組まない??勿論、そこの彼女も一緒に。」
は??と私は豆鉄砲を食らった気分になった。初めて出会った相手にパーティを組まないとか言われて困惑する人間が何処にいる。パーティとは言わば仲間にならないかという意味だ。「私たちにとってはありがたい提案ですけど、その……貴方に対してメリットはあるんですか??こんな得体のしれない私達を相手に。」
あまりにも失礼な疑問だった。
しかし、このことに対しての裏切りや詐欺に対しての防犯なのだ。今みたいに悪い奴がわんさか居る世界だ。
だからこそ、少なからず、相手にも目的があるということを私は知りたい。
すると、彼の口から「…やっぱりそうだよね。」という言葉を聞いてしまう。
「やっぱり??」「そう、だって会ってばかりの相手にさ、
こんなこと言うのは普通でも常識でも何でもないって、僕でも分かる。」
でも、と言って彼は自分の目付近を触って説明をしてきた。
「僕はこの通り、フリーの冒険者でありながら、ちょっとした研究者でね。
考古学者に近いことをしている。今の遺跡に行ったって言う話で少し効率が良いと思ってね。数日後に行こうと思っていたんだ。」と考古学者である彼はこう言った。
「正直言って、メリットと言えば、興味があるからと助手が欲しかったこととある人手が欲しかった。ただそれだけのことだ。」と言って、君たちに危害を加えることも無ければやましいこともないという理由も提示した。
「それじゃ、もう遅いし。僕は自分の部屋に戻るよ。」と
彼が部屋から出ようとする所で私は呼び止めた。_____________________
_____________________「待ってそういえば、名前はなんて言うの??」と
考古学者に問いかける。名前がないと呼ぶのに困るし…………。
「ハジメ。ハジメ=ファースト。よろしく咲玖ちゃん。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます