12話 偽の心臓の正体 その1
リリーの転送魔法により、リリーさんの部屋もとい実験室に来た我々は
事の経緯をリリーさんとサノさんに話す。
「なるほど、偽の心臓を使って彼を召喚したというわけですか。
なんというか……危険知らずというか好奇心が高い人と言うか、ハジメさんが怒るのも無理がない話です。」訓練無しで精霊を呼び出すのもありえない話ですが……
とサノさんは驚いたような、呆れたような何とも言えない表情でセイカを見る。
まあ、あの人によりマシか……となにかを言い出した。が咲玖
「まあ、偽の心臓で精霊を呼び出せる彼女も彼女でありんすが、とすると
血の通ってござりんせんもの説はなさそうでありんすわね。」
とふーむと言いそうな仕草でリリーはセイカとハジメを見る。
「ハジメさん、確かセイカさんと古い付き合いでありんしたわよね??
何か偽の心臓で心当たりがあるのでは??」
「……悪いけど、偽の心臓を見たのは一度きりだし、
それでこそ抉らないと分からない。」と一瞬私の方を見た。
「え??一度きり??」「そうだよ、言ってなかったけ??自分、考古学者で遺跡の調査に行くからチームに入らないかって。」「でも、遺跡に行ったことあるとは言ってなかった。」「行っていなかったら、あんな危ない場所に調査に行くのに誘わない。」
「……セイカさんはハジメさんとはどういう関係で??」
とハジメに聞くと苦虫を噛み潰しような顔をしてきて、サノが代わりに答えてきた。
「……彼らは魔王幹部時代のときの知り合い…らしいです。咲玖様。」 !?……え??待って魔王??専属??と私の脳は一瞬バグった。 そういえば、ここファンタジー風の世界観なのにモンスターとか魔王とかの話題とか聞かないし、
え??待って。ハジメさんって??なに??と考えていると
「言う必要が無いだろ??」と疑問しか浮かばない私にハジメさんに答えた。
「ハジメさんって魔王に仕えていたんですか??」
と聞くとため息をつき、ハジメは言いづらそうに質問を答えた。
「……昔の話だよ。今から20年くらい前……だけどね??」
言い終えるとサノさんが話をした。
「一昔前まではそれでこそ、魔王がいる時にはモンスターがわんさかいて、今では不気味なほど、数が少ない状態。静かに身を潜めている。これも、魔王がいなくなった影響なんだろうね。」「まあ、統治しているやつがいなくなれば。そりゃ勢力は分散するわな」
え??じゃなんでギルドがあるんだ??とふと思っているとサノさんは
話を続けた。
「ギルドは言わば万が一を備えるためにある機関だ。モンスターの集団に襲われるのは稀だが、いつどこで起きてもおかしくない状況にだ。」
この世界ではモンスター=災害のようなものだと説明してくれた。
「しかし、びっくりしました。ハジメさんが魔王に仕えていたこと自体が。」
「まあね??俺が代わって魔王になろうとかそういう野望なんて考えなかったし、
それに……」とハジメさんは言葉をつまらせた。
魔王とかの話で少し嫌なことを思い出したかのように、悲しい目が一瞬宿った。
私は追求はしなかった。その代わりに私は三人にとある質問をした。
「偽の心臓って一体どういう代物なんですか。」と言うとリリーは口を開いた。
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