第3話 初登校

 俺はサラさんから与えられた部屋のベッドで仰向けに寝転がっていた。


 あれから数日が経過して、この世界の常識などを教えて貰い終わったので明日から登校だと急にいわれたのである。なんせ、明日は普通に新入生入学式なのだと。


 そして、俺を無理矢理明日入学できるようにしたのだということだ。言わずもがな、女王の権力というやつだ。


 しかし、そう悪いことばかりではない。数年学校に行ってない俺にとっては苦難でしかない。しかし、学校に行くことになったため、武器を作ることになった。


 一応俺は厨二ーーー武器などに興味があるので、武器を作ってくれるというサラさんの申し出はとても嬉しいものだった。


 武器屋に行くと思っていたよりちゃんと武器が置いてあった。僕が買うのはもちろん、刀だ。日本の宝と言っても過言ではない武器。


 中にいたのはマフィアみたいなおっさんだった。しかし、その正体はなんとめっちゃ優しいおっさん。見た目で勘違いされやすいらしいが、俺はそのおっさん、デイビッドさんとめっちゃ仲良くなった。


 「デビさんおすすめの武器は?」

 「そうだなハル坊。この槍とかは結構おすすめだけど、ハル坊はどんなのが欲しいんだ?」

 「槍かー。タイプじゃないね。刀とかない?」

 「あるよ。何色がいい?」

 「赤色でしょ、やっぱり!」

 「そっか。それなら今渡せるよ」


 デビさんが在庫を取りに行っている間、周りの武器を見回した。トンファーとかクロスボウなどが置いてあった。この世界にもたくさんの武器があるようだ。

 しかし、一番俺の目に止まったのは銃だ。俺が手に取ったレボルバーは魔力銃という武器らしい。そのリボルバーを持ったまま手に魔力を多く送れば送るほど、威力が上がるという。


 「デビさん。このリボルバーも頂戴!」

 「いいよ。じゃあ、魔力弾もいる? 結構有能だよ」

 「どんな能力? 推測だけど、魔力を込めると永遠と弾を撃ち続けられる的な感じだろ?」

 「正解! やっぱハル坊はすごいね」

 「まあ、お世辞はいいから。じゃあまあ、魔力銃と魔力弾一個ずつと刀をよろしく」

 「はい。じゃあ9300pね」

 「はい。カードで」


 ちなみに、こちらの文化は発展している。この国、エルメニア王国は技術大国と呼ばれている国だ。実際にはとても小規模のエルフを中心とする国だが、技術力だけはピカイチだ。まあ、カードがある時点で分かってもらえるだろう。


 ちなみにポイントは1ポイント大体日本円で百円ほどだ。要するに俺はだいたい九十万円分の買い物を下というわけだ。もちろんエルさんのお金で、だ。この後みっちり絞られたのは言うまでもないだろう。


 そんな日々も急に終わりを告げる。明日からは学校だ。





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 「ディオスちゃーん! あーさーだーよーーー!」


 朝から近所迷惑になりそうな大声でそんなことを言いながらエルさんが入ってきた。まあ、毎朝これだから慣れてきてはいるがまだまだ耐性が足りない。


 「そんなに大声を出さないでほしいよ、エルさん。誰だって気持ちよく朝起きたいだろ?」

 「そんな事言わないの! 朝ごはん作ったよー」


 いつもの事なので文句は言わない。だが、女王にこのように接されると周りから本当に白い目で見られるから勘弁してほしいものだ。まあ、言わないけどね?


 「はいはい。すぐ行くからちょっと待っててくれ」


 その後、俺は朝食をとり、武器と生徒証らしきカードを渡されて出掛けた。

 城の扉を開けると目の前に牛車ぎっしゃが並んでいた。まあ、それを引いているのは牛ではない牛もどきだけど。


 それはさておき、俺は学校に向かった。正確に言うと、サラさんもつい来ているので俺たちだ。サラさんの話によると、俺が行く学校は学年に二クラスだけの所らしい。小規模なのではなく、ただ入れるだけの技量や地位を持っている人が少ないだけだが。


 学校に着くと案内役の人が校門で待っていた。もうこの場所は学校ではなく、どちらかというと大金持ちの集い場所みたいな感じだ。


 中に入ると俺をあわせて8名の生徒がいた。


 一番目立っていたのが緑色の髪をした美少女ヴァンパイアだ。名前はリンダ・ヴォーンで、彼女はオーラを抑えるつもりがないらしく、ダダ漏れで少し押されそうである。そして、周りの男達がガン見していることから、オーラが漏れているのは俺の錯覚ではない事がわかる。

 しかし、それだけが理由ではなく、彼女は美人なのだ。だから他の男子が見入ってしまうわけだ。


 そして、二人目は彼女を見つめる男、ゴツいおっさんだ。失礼、彼の名は井向新志で、一応召喚者らしい。如何にも力が全てと思っていそうな筋骨隆々な見た目で、且つ肌は鱗でできている。その見た目から分かる通り、彼は竜人なのだろう。そしてなんと魔力量だけでは余裕でこのクラス一位だ。


 次はその竜人と喋っている巨人族の人だな。巨人族と言ってもサイズの調整ができるらしいがそれでも俺の三倍ぐらいのデカさだ。そいつの名前は遠藤儀一で彼も召喚者らしい。

 しかし、俺と新志は最近の二十一世紀出身なのに対して、儀一は昔の戦国時代からの召喚者らしく、戦いが大好きだそうだ。どおりで俺と同じく刀を持っているわけだ。


 次は妖精族の子だ。年齢は結構らしいが、妖精族は成長が極度に遅いため千歳ほどでやっと人間サイズになるらしい。それで、今目の前にいる妖精、ニナ・ギルモアは七十センチ程度だった。ニナは光属性らしく、黄色い髪や体から光が伝わってくる。


 次は幽霊とでも言うべきなのだろうか。顔が結構青みがかっているが生きているっぽい。エルさんによると彼らの種族は霊人族で、死んだ者の魂が別の依代を見つけて生まれた種族だそうだ。見た目は黒髪イケメンでとても学生とは思えない貫禄もある。イケメンは本当にずるい―――おっとつい本音が。


 次はすごく華奢で小さなかわいい女の子だ。桃色の髪が可愛さを引き立てている。だが、彼女を見誤ってはいけないとディオスが教えてくれた。ちなみにディオスはエルさんがくれた名前だ。俺は引き続き晴人を名乗ることにしたのでディオスという名前を第二人格につけたのだ。

 話がそれてしまったが、その女の子、クララ・ボナパルトはオーガの時期騎士団長なのだ。見た目に反して強いので、相手を油断させられるとか。


 そして最後が鳥人族と天狗族を足して二で割ったような見た目をしている男の人だ。名前はルイ・ベンシェトリーで実際に俺が言ったようにハーフらしい。そのため空という優位性と、他の種族の中でも上位の強さを誇る天狗が混ざって、危険極まりない人物だ。


 そんなクラスの中で多分俺が一番普通だろうと考えていた。実際には、俺の第二人格が一番このクラスで強く、気性が荒いということにまだ晴人は気づいていないのだ。


 そんな感じな玉石混交なクラスでの波乱万丈な生活が幕を開けた。

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