第2話 能力
俺の意識が戻った。
目を開けると底には王冠をかぶる女性が居た。長い金髪を三編みにしていて、長い耳から推測するにエルフなのだろう。多分というか、絶対、この人は女王なのだろう。だって、大袈裟なほど警備が厳重だもん。
俺とその女性を囲むように何十人もの兵隊が並んでいる。その中には獣人や人間もいる。
場所は王城のようだ。女王さんの後ろには大きな椅子がある赤い椅子が金で飾られている。女王は俺が起きたと分かると椅子に掛けた。
「ようやく目覚めたようね。私はサラ・ディ・ブラン。よろしくね。先ず貴方に名前を授けるわね」
「俺には如月晴人っていう名前があるんだよ! 名前なんて―――」
「じゃあ、ディオス・ディ・ブランなんてどう?」
「俺はお前みたいなやろうと同じ名前には断じてならん!」
「おい! 召喚者だからって調子に乗るなよ! 陛下に対して偉そうに!」
そう言って狼の獣人の人が襲いかかってきた。俺は何も反応できず死ぬ―――はずだった。次の瞬間、俺の体は支配権を奪われた。
「あん? 舐めんなよクソ雑魚」
そう言って、第二人格は獣人の剣を軽く受け止めた。そして、腹を貫く魔法弾を放った。ちなみに何故か俺の意識はちゃんとしていて、戦う風景を一部始終見ていた。と言っても、一瞬だったが。
「ガハッ! 小汚い真似を、許さん! 王城戦士団を怒らせるとどうなるか―――」
「やめなさい!私に恥をかかせる気?」
「ですが、ブラン様。あの者は陛下の事を―――」
「黙れと言っている。次はないぞ。下がれ」
「……はい、陛下」
という感じで鎮められた。その陛下とやらに怒られるとは思わなかったのだろう。戦いが終わると、体の主導権が再び戻ってきた。
「私の配下の不敬、謝罪する」
「そんなのはいいんで。俺は名前を変える気はない」
「えー。それなら処罰しちゃうよ?」
「ッ! もういいよ。じゃあ俺は如月・ディオス・晴人と名乗る。それで文句は無いな?」
「分かったわ!」
「はぁー。まあそれは良いとして、俺が寝てた時に話してきたのはお前だろ?」
「ああ、あれは私だ。君は私達が十日間の儀式を経て呼び出した召喚者というやつだ」
「へー。で、なんで俺を呼び出したの? それと俺ってなんか特殊スキルとかあるの?」
「それを今から確かめる必要がある。お前は如何にも戦闘とか不向きだと思ったが私の思い違いだったようだな」
「いや。あれは違うんだよ。俺であって俺でない、みたいな? なんかね。いわゆる第二人格ってやつだよ」
「そうか。第二人格が自我を持っている、と。そんな特殊能力を持っているか。面白い!」
「いや。でもそれは無効の世界でもう持っていた能力と言うか、人格だよ。だから、こっちでは新しい特殊能力をゲットできてほしいなー、なんて」
「……まあ、確かめようか」
「あ、はい」
そう言って俺は怪しい部屋に連れて行かれた。その部屋の真ん中に星が描かれている。俺はブランさんに促されるまま星の真ん中にたった。そうすると目の前に画面が現れた。
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如月晴人 17歳
スキル : 超再生
剛力
以心伝心
脳内翻訳
超記憶
ギフテッド:
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という感じで表示された。サラさん曰く、スキルというのがこの世界で生きるための基本能力見たいな感じらしい。9割以上が一つは持っているらしいく、転生者や召喚者は必ず《超再生》、《以心伝心》、《脳内翻訳》を持って生まれるらしい。
そして、この世界で1割未満の上位者しか獲得できないギフテッドスキル、略してギフテッドも転生者や召喚者は必ず持っているらしい。しかし、今まで初めから二個も持っている人は初めてらしい。
《
想像:頭の中で想像したものを最適化して脳内に表示する。
具現:想像したものを自分が欲しい様な形やサイズで作り出す。物の精密さや大きさによってかかる時間は異なる。
保管:自分が持っている持ち物を保管する。再度想像すれば取り出し可能。
複製:目で見た物や見たことのある物を完璧に再現する。
まあ、俺には絶対使いこなせそうにないほど最強なスキルが手に入ったというわけだ。でも、有用性だけはピカイチって感じだな。
そしてもう一つのギフテッドは《
交代 : 第二人格に体の主導権を譲る。
身体強化: 第二人格時の身体強度を引き出し、主導権は第一人格が持つ。
睡眠不可: どちらかが常に休憩しているため、睡眠は不要。
という具合だ。これもこれで結構強いスキルである。サラさん達も喜んでる引き攣ってるので大丈夫だろう。
「ディオスちゃんすごいわ。こんな強いギフテッドを二つも持ってるなんてチートとしか言えないじゃない」
「ですね。これは召喚大成功と言って良いですね」
「我も同感です。これはかなり、なんというか、凶暴ですね」
先程ぶっ飛ばした獣人の奴も感心した様に画面を見入っていることから見てこれは本当にすごい能力なんだろう。
「ディオスちゃん! これからは学校に通って、能力を使いこなせる様に頑張ろうね!」
(…………え? 嘘だろ……学校って、なんでそうなるんだよ)
正直嫌としか思わないが、サラさんは何を言っても聞く耳を持ってくれなさそうなので、諦めて学校に行くことにした。この数日後、俺の学校生活が始まるのであった。
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