知らないモノが知らないモノを呼び寄せる時はこわい

 楽しませて貰っているゲームがある。


 遊戯王マスターデュエル。


 カードゲーム。


 違法改築と野放図な拡張を繰り返したキメラマンションみたいなゲーム。


 このゲームのカード一覧をみていると、まるで獣道を歩いているような気分になる。


 膨大なカードリストを前に、素人目でカードの名前と効果をよく見るとほんのりと、共通して目指している道筋みたいなものが見える、しかし、その道筋をたどって、どこにたどり着くのか全く見当がつかない。


 一枚一枚見ても埒があかないので、デッキレシピという野生の達人が作った案内図を見ても、よくわからない。


 遊戯王は『テーマ』毎に、名前や効果がデザインされている、『里中』さん家の○○君やら『岡本』さん家の○○ちゃんといった感じで、名前を見ればどこのテーマなのか分かる作りになっている。


 しかし『もなか』テーマの案内図を見てみると『もなか』に関係なさそうな『ビタミン剤』やら、どうやって出すのか分からない『カレーうどんパン』やら混ざっていて、混沌としているように見えた。

 

 とりあえず型を守って、案内図通りに組んで対戦してみるも、対戦相手の使っているカードがこれまた分からない。


 カードを読み込んで待たせるわけにはいかないので、適当に対処して絵と名前を覚えていたら、対処を間違ったのか。




 『森本』がデッキから『森元』を手札に呼び寄せて、場に出た『森元』が『森茂』をデッキから盤面に呼び出す。


 盤面の二枚を素材にして『カッワーリー』を召喚して『カッワーリー』が『ビタミン剤』をデッキから盤面に引っ張ってきて……。


 なんやかんやあって、何か強そうな絵の『リチャード』と『ロドリゲス』が盤面に並んで、こちらの持ち点を削り、伏せカードが一枚置かれてターンを渡される。



 二枚の効果を斜め読みすると、どちらも何かしらのアクションを無効化する能力を持っている。


 自分の手札ではどうにも出来ないと悟り投了した。


 とてもすごい体験だった。


 ハースストーンやMTGでは味わえないスピード感、一枚を起点に化物が飛んでくるカードゲームは初めてだった。



 この遊戯王特有の暴力の速度に魅せられてプレイしていると、デッキの毛並みと合ってない化物が出てくる時もあって、その時は声を上げて驚いた。



 可愛らしい絵柄のコンビがテーマの『イビル★ツインズ』というテーマを初めて相手にした時の事。


 ピンクと青のポップな絵柄のカードがくるくる召喚される光景を見て、癒されていた。


 遊戯王の絵柄の幅は広いなぁ、次の召喚もあの可愛いヤツが出てくるのかなぁと見ていたら。


『Evil★Twin』の側に『破械雙王神ライゴウ』が添えられていた。


 カラフルな美少女怪盗の隣に、力!力!力!と主張する漆黒の化物が立っていた。


 面食らった、マスコットと呼ぶには牙やら角やら筋肉やら盛りすぎている。


 ガールズバーの奥からムキムキの無頼漢がヌッと出てきたような印象だった。

 

 ゴリゴリの字面に見合った凶悪な効果で盤面を制圧していき、ムキムキな絵面に見合った攻撃力で持ち点をもっていかれた。


 そういう、驚く事も色々ありつつ。


 今日も今日とて、マスターデュエルのすみっこで『鉄獣戦線』をコネる。


 確実に一枚を除去する鳥男と、それを支えるインチキ罠は今日もたのしいデュエルをもたらしてくれている。

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