第7話「子供達との新生活」

 奴隷になった少女を救い出してから数週間が経った。


 安心してくれ。


 毎日三食欠かさず食べている。


 そのお陰でだいぶ肉付きも良くなってきた。


 最初は警戒していた彼女達も、今ではすっかりゆるゆるだ。


 一番最初に助けたセミロング金髪の少女"ラン"は、人。


 長い銀髪の耳が尖った少女"アイ"は、ハーフエルフ。


 ショートカット赤毛で犬耳と尻尾フリフリの少女"リサ"は、獣人。


 ボブ黒髪の頭にちょんと生えた可愛い角を持つ少女"ヤナ"は、鬼人。


 それぞれバラバラの種族。


 正確な歳は分からないと言っていた。


 恐らく9~11歳ぐらいの見た目だ。


 みんな違った個性が合って面白い。


 そんな子供達とは、みんなで共同生活をしている。


 さすがに平屋の1LDKでは狭いので新築した。


 最初に地上部のダンジョンを更に拡張。


 100×100の正方形。


 かなり広くなったので、子供達も快適に遊べる。


 平屋はそのままにして俺だけそこに住もうと思ったのだが、子供達からの非難が凄かった。


 みんな女の子だし、配慮しただけなんだ。


 という訳で、全員が快適に住める二階建てで白い外壁の一軒家を木造平屋の横に建てた。


 お値段なんと100000DY!


 木造平屋が1000DYだったので高く感じるが、普通に考えれば10万円で二階建て一軒家とか安すぎるよ。


 神様、素直にありがとう。


 まずは、一階から紹介する。


 トイレが洋式に進化。


 ウォシュレットも付いている。


 俺はウォシュレットが少し苦手。


 まあ清潔になるのでやるが。


 子供達は最初こそビックリしていたが、今ではウォシュレットがないのは考えられないと、熱弁していた。


 お風呂も広くなった。


 シャワーも付いたし。


 基本二人一組で入浴。


 俺が一人で入ろうとすると必ず誰か付いてくる。


 子供達の中で順番も決まっているようだ。


 体は自分で洗うが、頭は俺が洗ってやる。


 体を洗った後、俺をジッと見つめるのだ。


 ただいま洗わせていただきます。


 そう思わせるのがみんな上手い。


 頭を洗われて気持ち良さそうな子供達を見ると、幸せだ。


 脱衣所には洗面台とドラム式で乾燥も出来る洗濯機。


 リビングも広くなった。


 システムキッチン付き。


 コンロはIH。


 オーブンも下に付いてる。


 シンクにはシャワーホースになった蛇口。


 冷蔵庫は両扉開閉の四層式。


 木造平屋からの進化が凄くてビビる。


 前世の最新設備に触れた事がない子供達の方が、慣れるのが早かったぐらいだ。


 子供の順応力には舌を巻く。


「ラクト様! そこのボタンじゃありません!」


 はい、すいません。


 リビングにはソファと炬燵にもなるテーブル。


 それとは別に食事用のテーブルも設置してある。


 テレビはないが、棚を置いてみんなで撮った写真などを飾っている。


 リビングの隣は客間を挟み俺の寝室。


 八畳の和室だ。


 二畳ぐらいの物置部屋も付いている。


 まあ、俺が一人で寝る事はない。


 最初は全員俺の部屋で寝ようとしていたので、一人ずつの順番制になった。


 横を取り合って喧嘩するから。


 でも、取り合いされてちょっと嬉しい。


 寝る時もそれぞれの子供達で甘え方に個性が出るから面白い。


 ランはもじもじしながら少しずつくっついてくる。


 アイは最初から堂々と横に寝て腕枕まで所望してくる。


 リサは上に乗ってくるので退かすのがデフォだが、頭を撫でると安心して秒で寝る。


 ヤナは俺がこっちに来いと言うまでジーと睨むが、しょうがないみたいな表情で隣に来るツンデレだ。


 因みにミャルは俺の隣を必ずキープしている。


 だがら子供達は一人ずつしか来れない。


 先住のミャルに逆らったら怖いのだ。


 番猫だし魔法の師匠だから余計だ。


 二階は子供達の部屋。


 五畳の洋室が四部屋。


 ごちゃごちゃ物を置く必要もないので、十分な広さだ。


 全部クローゼット付き。


 服も個性が出る。


 ランはシンプル清純系。


 アイはフリフリお嬢様系。


 リサはカッコいいボーイシュ系。


 ヤナは系統に拘り無しだが、黒を好む。


 子供って、面白い。


 性格も服の好みと似ている気がする。


 食事もそうだ。


「ラクト様! お腹減った!」


 皿を持ったリサが現れた。


 ますます犬っぽい。


 食事の好みで言うと、


 ランは麺類が好き。


 アイはベジタリアン。


 リサは肉食。


 ヤナはなんでも食べるが変な拘りを発揮する。


 メニューを考えるのが大変だが、子供達の笑顔が見れるので苦ではない。


 次に外だ。


 子供達が安全に過ごせるようダンジョン内を壁で囲った。


 お屋敷みたいな頑丈な壁。


 入り口も鉄格子にした。


 これで魔物が侵入して来る事もない。


 アイが土弄りが好きなので畑も増やした。


 我が家の農林大臣だ。


 果実の木も植えてお世話を任せてある。


 ランは俺のキャンピングチェアで読書をするのが好きだ。


 DYで小説を買って渡している。


 俺が読むと日本語にしか見えないが、子供達が読むとそれぞれが知っている文字に変換されているみたいだ。


 相変わらずの神設計に感謝。


 好きな系統は恋愛小説。


 やっぱり女の子だね。


 漫画はみんな好き。


 リビングに本棚を設置して、それぞれが好きな漫画を納めている。


 続刊は、なにか褒められるような事をした時に買い与えている。


 あんまりなんでも買い与えるのは良くないと考えた結果だ。


 でも可愛いからつい甘やかしてしまう。


 教育系の本を読んで日々勉強だ。


 あ、子供達に勉強もさせている。


 と言っても、教えられるのは異世界でも通じる筈の数学とかだけだが。


 勉強はおやつを食べる前にする。


 頑張った人にはオヤツ増量。


 みんな頑張って課題と向き合っている。


 リサは獣人だけあって活発だ。


 外でボール投げやフリスビーで遊んでやると喜ぶ。


 一人で遊ぶ時はバスケットをしている。


 バスケットゴールも設置済みだ。


 ドリブルやダンクもお手の物。


 1on1ではもう勝てなくなった。


 ちょっと悔しい。


 ヤナは、一人で木刀を素振りをしている事が多い。


 戦闘狂なのか、色んな武器で鍛練している。


 戦いが好きなのは種族の特徴なのかもしれん。


 たまに相手になるが手も足も出なくなった。


 ヤナが奴隷だったのが不思議なぐらい強い。


 聞くと、薬を飲まされ弱体化させられていたらしい。


 彼女は戦闘奴隷にする予定だったのかも。


 ミャルに続く二人目の用心棒が出来て心強い。


 そんな感じで子供達との新生活を楽しんでいる。


 子供達と日々成長していく姿を見ると、なんかジーンと来るものがある。


「「ラクト様!」」


 子供達が呼んでいる。


 もう夕方か。


「家に入ろう」


「「はーい!」」


「ミャア!」


 大丈夫。


 ミャルも忘れてないよ。

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