第14話 始動(6)
アミの声には、堂々としながらも凛とした美しさがあった。洸は思わずそれに聴き入ってしまって、そういうものなのか、などと感心してしまう。
「文句の付けどころがない。完璧な解説をありがとう」
先生は手を叩きながらアミを
「そんな褒められることじゃないです」
「いや、今のは本当に100点の回答だよ。俺の中のアミちゃんの評価が、またワンランク上がったくらいさ」
それで、と先生は続ける。
「そんなエリート新入生アミちゃんと、駆け出しの洸。この2人を同時に育てる素晴らしいプランを、たったいま思いついた」
「なんです?」
洸が尋ねると、先生は「俺はちゃんと教育の最新情報をキャッチアップしてるのさ」と得意げに笑った。
「これから一週間。生徒である洸の基礎訓練を指導するために、アミちゃんには講師役をやってもらう。洸は基礎の勉強ができて、アミちゃんは教えるために自分の知識をまとめないといけない」
つまり、アクティブラーニング! と先生は叫んだ。……それって、少し前に流行ったやつじゃなかったっけ。
「アミちゃん、どう」
先生に問われたアミは、しばらく考え込んでからゆっくりとうなずいた。
「……わかりました。一週間だけでいいなら」
それには先生も、ありがとう、と顔をほころばせる。
「アミちゃんの実力なら信用できるし、やり方は任せるよ」
「先生は?」
「悪いけど、プライベートの方が忙しくてね」
そういうことで、これから一週間アミに魔術を教えてもらうことになった。日曜日である明日は休みにして、翌日月曜日から金曜日まで5日間のスケジュールだ。来週の土曜日から先生の講義が始まるので、それまでに魔術師として大きくレベルアップすることが目標となる。
「じゃあ、早いけど今日はこれでおしまいにしよう。2人でいろいろ相談することあるだろうし、ここは自由に使っていいよ」
それじゃ、と言って先生の姿が消えた。智下に帰ったのだろう。
「それで、これからのことだけど」
と早速アミがこちらに向く。
「時間と場所だけ、簡単に決めておきましょう」
「放課後なら、時間は16時半とか?」
「そうね。なら場所は——」
「ちょうどいいし、ここを使おうよ。僕の学校からは少し遠いけど、十分間に合うから」
「……じゃあ決まりね。ところで貴方、何か隠したいことでもあるの」
どきりとした。やっぱり、気づかれるか。待ち合わせの話をするなら、洸は自分が陽凪西高校の生徒であることを伝えるべきだった。けれど、なんとなく言い出せずに、無理やり話を終わらせるようなことをしてしまった。
否定しても無駄だろうから、話題をすり替えることにする。
「そりゃ、ちょっと申し訳ないなとは思ってるよ」
「授業の話?」
その通りだ。
「僕がいなかったら、こんなことにはならなかっただろうし」
「別にいいわよ、一週間くらい」
「そう言ってもらえると助かるけど」
話を変えるためだったとはいえ、これは嘘ではない。申し訳なく思ったのは洸の本心だ。だが洸が本当に気になっていることは、もうひとつ別にある。
「授業なくなったし、私も帰ろうかな」
そう言って立ち上がったアミが「一応確認だけど」と振り向きざまに言う。
「
「らしいね。自分でもよくわからないけど」
「……そう」
「すごく珍しいっていうのだけ教えてもらってさ。こういう人、他に知ってたりする?」
「実際に会ったのは、貴方が初めてね。でも
「へえ、どんな?」
「天然の魔術師には、特に優れた魔術師が多い」
そう答えた時、アミはもう前を向いていて、その表情はよく見えなかった。それでも、その声音から伝わってくることもあった。
ほとんど直感で、理解してしまう。
——きっと。
アミは、天才を探している。
だからこそ先生に教えを
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