365日のおつかれさま

○ おつかれさまに感謝をこめて ○

　時計の針が真上を指したとき

　元気な声が分娩室に響いた。

『生まれてきてくれてありがとう』

　ほやほやの小さな命を

　助産師は大切に腕に抱く。

　その家族は母親不在で新年を迎えた。

　○

　うす暗く凍える寒さの中

　郵便配達員は年始のあいさつを配る。

『あけましておめでとう』

『今年もよろしくね』

　自分はまだ言えていないその言葉を

　確実に届けていく。

　○

　娯楽を封印して

　受験生は机に向かう。

　楽しいイベントは別世界。

『合格』

　欲しい未来を追い求める。

　○

　コンビニは常に扉を開ける。

　品揃えも豊富。

『いらっしゃいませ』

　この場所に休みは来ない。

　たくさんの人の手を経て

　絶え間なく品物は並べられる。

　○

　分別が雑なゴミの処理

　いらないものにも次がある。

『リサイクル』

　材料はまざっていてはならない。

　誰かが省いたひと手間に

　一体何人が関わるのだろう。

　○

　赤ちゃんが泣くのは

　何かを伝えるためだ。

『？？？？？？』

　何を求めているのかわからない。

　対応に時間がかかることもある。

　泣く元気のある子がいない社会は

　どんな結末を迎えるのか。

　○

　子どもは思い通りにはならない。

　予測不能な事態の連続に

　心配事や悩みは尽きない。

『命を守り育てる』

　責任は重く　

　この仕事に休みはない。

　○

　出来ないことが増えた親の世話をする。

『ごはんまだ？』

　先ほど食べさせたばかり。

　言葉であらわせない感情が

　胸の中をぐるぐる荒らす。

　それでも問いかけは止まらない。

　○

　あなたが読んだ物語は

　心を持った人間が

　大事に紡いだお話だ。

『面白い！』

『つまらん』

　贈るコメントには思いやりを。

　筆が乗るのか、折れるのか。

　言葉はそれだけの力を持っている。

　○

　社会は多くの人に支えられている。

　あなたの周りのものは

　知らない誰かが作っている。

　こどもは

　無限大の可能性を持っている。

　子育ては

　この国の未来をになっている。

　あなたがのんびりしているときに

　頑張っている人がいる。

　あなたが楽しんでいるものは

　悩みながら生み出されている。

　当たり前に感じるこの生活は

　『誰か』が欠けたら成り立たない。

　不便？

　こんなにも支えられているのに。

　やりたくない仕事？

　なくなったら困るのに。

　誰にも感謝されない？

　いいえ、気持ちが届いてないだけですよ。

　365日分のこの想い

　頑張るあなたに届くことを願って――

　『いつもありがとうございます。

　　本当におつかれさまです。

　　どうか心身ともにご自愛ください』

　○（まぁるく平和に支え合う 温かな一年になりますようにヽ(´・ω・)ﾉヽ(・ε・*)ﾉ♪）