第23話「黒沢の野望」

ジュエルヴィランにより美紀は宝石に変えられてしまった。

「美紀ー!?」

直樹は叫ぶ。


「ホッホッホッ!次はあなたの番よ……」

「テメェ!!」

直樹は『変身』

エクスカイザー登場。

ジュエルヴィランに殴り掛かる。

だが、ジュエルヴィランの硬い体にはエクスカイザーの攻撃は全く通用しない。


狭い応接室の中では満足に戦えない。

エクスカイザーは店の外にジュエルヴィランを誘い出す。


店の外に出ると突然街に現れたヴィランとエクスカイザーに周りの人々は大パニックとなった。


だが、直樹は怒りで周りが見えていなかった。

所構わずエクスカイザーはジュエルヴィランに攻撃を続ける。


ジュエルヴィランの反撃でエクスカイザーが吹き飛ばされるとそこに居る人々を巻き込んでしまう可能性もある。


ジュエルヴィランは『宝石化光線』を放つ。

エクスカイザーはそれをかわすとエクスカイザーの後ろにいたマダムがその光線を浴び宝石となってしまった。

「あっ……」

エクスカイザーはここでようやく気付いた。

自分達の戦いが周りの人々を巻き込んでいる事に。


だが、既に遅かった。

この戦い方は周りの人々の反感を買ってしまった。

「何やってんだ!エクスカイザー!俺達は関係ないだろー!!」

一人の男性の叫び声が聞こえた。

更に周りの人々もエクスカイザーやジュエルヴィランに対しての怒りの声を上げる。

「いや……俺は……」

エクスカイザーにも罵声が浴びせられる。


更に多くの人々がその様子を動画や写真で撮り、SNSで拡散されて行った。


Mもその様子をいち早く察知した。

「黒沢会長、面白い事が起こりましたよ……エクスカイザーが民衆の怒りを買ったようです」

黒沢会長も拡散された動画を見る。


「ほぉ……これは丁度良い機会だ……今出来てる分だけでもヴィランキーを売りさばく準備を始めろ!これを利用すればもっと早く私の計画が動き出すぞ……」

「はい、では直ぐに……」


「皆……違うんだ……俺は……」

戸惑うエクスカイザーの前にウォーターヴィランが現れる。

「無様ねエクスカイザー……これまで平和を守って来たあなたが今は民衆の敵……」

「お前は!」

「目障りなのよ……ヒーローってのはねぇ!!」

ウォーターヴィランはエクスカイザーに向けて放水。

「うわっ!?」

それは周りの人々も巻き込み流して行く。


「今よジュエルヴィラン……やりなさい」

ジュエルヴィランは『宝石化光線』を繰り出す。

だが、その瞬間誰かに攻撃を受けた。

「ぐっ!?」

「何だ!?」


そこに居たのはダッシュライザーだった。

「お前達……纏めて逮捕する!」


「ダッシュライザー……面倒な……」

ウォーターヴィランとジュエルヴィランは姿を消した。


現場には直ぐに救急車が集まり怪我をした人々の救護が行われた。


直樹はびしょ濡れで塞ぎ込んでいた。

「おい!」

赤木が直樹にタオルを被せる。

「うっ……赤木……」

「何があったんや?ちゃーんと話してみぃ」

「ああ……」

直樹は赤木に事の経緯を話した。

それは三浦と山本も聞いていた。


「そうか……美紀ちゃん宝石に……」

「ああ……俺、美紀を守れ無かった……おやっさんに顔向け出来ねぇ……」

「はぁ……お前な……」

赤木はいきなり直樹の胸ぐらを掴んだ。

「落ちこんどる場合ちゃうやろ!!周りをよぅ見てみぃ!!お前が怒りに身を任せたせいで周りの罪の無い人達にも被害が出とるんじゃボケェ!!」

「あっ!そ……そうだよな……」

「赤木、まぁ落ち着けよ……直樹君、周りの人達を巻き込む様な事をしちゃそれこそ総司に怒られると思うぞ」

「そう……ですよね……」


体勢を立て直す為、直樹は一度事務所に戻り、赤木達も警視庁に戻った。


赤木達は早速三条美奈保を逮捕する為の作戦を練る。

三条美奈保とジュエルヴィランに変身している人物が繋がっている事は間違いない。

そしてジュエルヴィランを倒し宝石にされた人々を救出する為の作戦も練る。


直樹は事務所に戻りジュエルヴィランを倒す方法を考えていた。

そこに杉下雅恵から電話が掛かって来る。

もちろん娘の真弓の調査状況を聞く為だ。

直樹は流石に娘は宝石にされているとは言えず、まだ情報を掴みきれてないと説明した。


その時、直樹はある疑問に気付いた。

井上忠に宝石にされた人々の情報は警察も手に入れている。

だが、真弓の情報が母親に届いてないのはおかしいと……。

普通なら行方不明者が犯罪に巻き込まれてる事が分かれば警察は直ぐに家族に連絡を入れるはずだからだ。


直樹は嫌な予感がし直ぐに警視庁に向かった。



その頃、警視庁では赤木達刑事が会議を行っていた。

そこに一人の男が入って来た。

その男は警察庁副長官の和泉 康平(いずみ こうへい)(52歳)だった。

「和泉警察庁副長官!何故ここに?」

そう尋ねたのは赤木達の上司に当たる松田警視。


「君達がヴィラン犯罪関連の捜査会議を開いてると聞いてね……被害者の情報を他に漏らさぬよう釘を打ちに来たのさ」

「それは勿論重々承知しております」

「言っておくがこれは被害者家族にも漏らしてはならない……極秘事項だ」

「家族にまで!?何故です!?」

「ヴィラン犯罪は国家をも揺るがしかねない重大な事件だからだ」

「しかし……被害者の家族は被害者を心配して……」

「黙れ!これは上からの命令だ。君達は上の者の言う事を聞いて動いていればいい!」

そう言って和泉副長官は会議室を出て行った。

会議室から離れ誰も居ない事を確認すると和泉は誰かに電話を掛けた。

「もしもし?圧力は掛けておいた。まぁ、これで警察も迂闊な行動はせんと思うが……一応このまま監視を続ける」

電話の向こうの人物の声が聞こえる。

「ご苦労だったホワイト……」

「ああ、じゃあそっちは頼むよスカー……」


そしてそのスカーは黒沢会長と会っていた。

「こちらは終わった。それじゃあ会長、約束の物を……」

「ああ……注文の品は出来てる。これがヴィランキーの古代生物シリーズだ」

「ほぉ……ありがたく使わせて貰う」

スカーは黒沢から『ヴィランキー』を受け取った。

「行くぞブラウ」

「ヘイ……フフッ……会長さんよまた何かあったら宜しく頼むぜ」

スカーとブラウは去って行く。


直樹は警視庁に到着。

赤木を尋ねた。

しかし、赤木は捜査会議中の為待つしかなかった。


しばらく待って居ると会議を終えた赤木が直樹の元へやって来た。

「すまん待たせたな」

「いや、こっちこそ悪かった。少し気になる事があってな」

直樹は赤木に行方不明者の家族に連絡を入れてない事を確認した。

「それは……上からの圧力が掛かって……だが、和泉副長官の様子がいつもと違う様だ……」

「どういう事だ?」

「俺も直接会ったのは今日が初めてだが、松田警視によると和泉副長官は普段はとても温厚な人で部下達に圧力を掛ける様な人間じゃないと言うそれに被害者家族にまで連絡しないのは明らかに変だ……」

「一体……何がどうなってんだよ?」

「分からない……だが、まるで警察組織全体に大きな力が降り掛かってる……そんな気がするんだ……」


そこへ山本が大慌てでやって来た。

「赤木さん!三浦さんが直ぐに来てくれって!大変な事に!?」

「何っ!?」

「あっ!探偵!お前も来い!」

「えっ?俺も?」

直樹と赤木が急いで行くと呼ばれたのは捜査一課の部屋。

「三浦さん!」

「おう、来たか!これ見ろ」

三浦が指差したのはテレビの画面。

そこには黒沢が映りテレビ放送を通して人々に呼び掛けていた。

エクスカイザーとジュエルヴィランの戦闘の映像を流し人々に呼び掛ける。

「皆さん、映像をご覧になって頂けたと思います。この映像を見てどう思われましたか?ヒーローとヴィランの戦い……それはあなた達の身の回りで起こっています。あなたが巻き込まれるのは明日かも知れない。あなたやあなたの家族、大切な人達を守る為に是非、我が社が開発したキーをお買い求め下さい」


「コイツ……何言ってんだ?そんなんで皆がヴィランキーを買う訳ねぇだろ」

三浦はそう言うが……。


画面の中の黒沢の目が赤く光る。

「何だ?皆、奴の目を見るな!」

いち早く気付いた赤木が叫ぶ。

しかし、それを見てしまった山本は……。

「買いに……行かなきゃ……」

山本は突然走り出して行ってしまった。

「おい!山本!!」


「どうゆう事だ……?」


「人の心を惑わし操る……なるほど……それがデビルキーの力ですか……」

M はそう推測する。


今の黒沢の放送を見た人々はヴィランキーを求めに黒沢グループの本社に殺到。


その様子を三条美奈子が見ていた。

「黒沢会長とうとう始めたわね……それじゃ私達も好きにさせて貰いましょうか……吉川さん行くわよ?」

「はい……店長……」

吉川は『ジュエルキー』で変身。


ジュエルヴィランが現れ街の人々を無差別に宝石に変えて行った。


黒沢が起こした騒ぎを止める為に赤木と直樹は黒沢の本社ビルに急ぐ。

だが、その途中で人々を宝石に変えているジュエルヴィランに遭遇した。

「ジュエルヴィラン……あいつまた……」

直樹と赤木はパトカーを降りジュエルヴィランの元へ向かう。


「工藤、冷静になれよ」

「ああ!」

2人は揃って『変身』

エクスカイザーとダッシュライザーが登場。


「あらっ、こんな状況でも来たのねエクスカイザー……」

「ジュエルヴィラン……テメェ!!」

だが、周りの人々はエクスカイザーが現れた事で自分達も戦いに巻き込まれるのではないかと騒ぎ出した。


だが、エクスカイザーとダッシュライザーはジュエルヴィランと戦う。

この世界に平和を取り戻す為に。


2人がかりでジュエルヴィランに攻め立てる。

しかし、やはりジュエルヴィランの防御力は高い。

「クソッ傷もつかねぇ……」

「ダイヤモンドは1ヵ所に掛かる圧力には弱いはずだ……一点に集中攻撃だ!」

「え?おっ、おう!」

ダッシュライザーは『ブーストキー』でブーストフォームにチェンジ。

エクスカイザーも『EXキー』でエクストラフォームにチェンジ。

「10秒でケリを着けてやる」

ダッシュライザーはカウントダウンを開始し超スピードでジュエルヴィランに攻撃を仕掛ける。

ダッシュライザーの攻撃は一点に集中しジュエルヴィランにも確実にダメージを与えていた。


「ぐあっ!?くっ……」

そして10秒間の攻撃が終わりダッシュライザーは元の姿に戻る。

「工藤、今だ!」

「おう!」

エクスカイザーは『エクストラブレード』でダッシュライザーが攻撃し続けジュエルヴィランもボディーのヒビの入った箇所を攻撃する。

必殺技『エクストラブレイク』が炸裂。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

ジュエルヴィランを倒した。


『ジュエルキー』が壊れジュエルヴィランから元の姿に戻った吉川。

「ハァ……ハァ……わ……私は一体……?」

「この人がジュエルヴィランの正体!?」

「おい、お前は一体何者だ?」

「え……?わっ……私は……吉川明里です……」

「詳しい話は署で聞く。ヴィランキー所持及び使用の現行犯で逮捕する」

ダッシュライザーは吉川を連行しようとする。


だが、そこに……。


「待ちたまえ……」

誰かが声を掛けて来た。

「ん?」

振り向くとそこに居たのは……


黒沢だった。


「黒沢!?な……なんでここに!?」

「彼女を連行した所で意味はない……いずれ全ての人類が彼女の様に超人になるのだからね……君達以外は……」

「何っ!?お前、何を企んでるんだ!?」

エクスカイザーが黒沢を問い詰める。

「答える必要はない……何故なら君達はここで死ぬんだから……」

黒沢は『デビルキー』で変身。

史上最強のヴィラン、デビルヴィランが現れた。

「これが……黒沢の正体なのか……」

「フッ……流石、裏社会の大物……とんでもない力を感じるぜ……」


遂にエクスカイザーとダッシュライザーの前に現れた黒沢会長。


黒沢会長が変身したデビルヴィランの力とは……?


続く……。

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