第22話「謎に迫れ」
赤木は遂にファイヤーヴィランを倒し神坂を捕まえた。
神坂から黒沢の情報を掴めればヴィラン犯罪の捜査は大きく進展する。
警察は神坂への取り調べを開始した。
しかし、神坂は無言を貫き全く口を割ろうとしなかった。
神坂の取り調べをしていた三浦が取り調べ室から出て来る。
「あ~……参った……全く口を割らんよ……」
「そうですか……まぁ、じっくりやるしか無いですね……」
そしてその頃、直樹と美紀は井上忠の浮気調査と杉田真弓の捜索を平行して再開していた。
警察も真弓の捜索をしている為、三浦の協力で真弓が最後に確認された防犯カメラの映像を見せて貰う事が出来た。
日時は真弓と母親の連絡が取れなかった日の午後7時40分。
カメラの前を通る真弓の姿が確認出来た。
防犯カメラの位置と真弓の向かう方向から考えると真弓は母親との待ち合わせ場所の駅に向かっている事が分かる。
「ん~……この時までは確かに駅に向かってるんだよなぁ……」
その時、美紀から電話が入った。
「もしもし?」
「あっ、直樹さん!今、井上忠が会社から出て来ました。尾行を始めます」
「そうか……気を付けろよ?」
「はい」
美紀は井上忠の方の調査をしていた。
現在の時刻は12時。
丁度お昼時の為、普通に休憩だろうと美紀も思っていた。
美紀が尾行を始め忠の後を付けると、忠は繁華街からは外れた人気の無い所に向かっていた。
「こんな所で何を……」
忠はそこである人物と密会していた。
「あっ……遂に浮気の決定的証拠!?」
美紀はカメラを用意。
美紀が確認すると……。
美紀はそのまま写真を撮る。
そこには一人の女が、しかしその女とは……。
三条美奈保だった。
「たっ……頼む……もうこれで勘弁してくれ……」
忠は美奈保にお金を差し出していた。
「そんな金で私が納得すると思ってるの?」
「これ以上は無理だ……勘弁してくれよ……」
「あなたじゃ大した生産性も無いのよ……私は利益にならない人間は嫌いなの……消えなさい」
美奈保は『水のキー』を使って変身。
ウォーターヴィランとなった。
「うわっ!?」
「あっ!」
思わず美紀が飛び出す。
「誰だ!?」
ウォーターヴィランに気付かれてしまった。
「あっ……いや……私は……その……」
「チッ……見られたか……あなたも消えなさい!!」
「忠さんこっち!!」
美紀は忠を呼ぶ。
「は……はい!」
忠は急いで美紀の方に逃げる。
美紀は忠を保護しウォーターヴィランから逃げる。
「待ちなさい!!」
ウォーターヴィランは追いかける。
美紀は逃げながら急いで直樹に電話をする。
美紀からの電話を受けた直樹は直ぐに美紀の元へ向かう。
直樹は修理から戻ってきた車に乗り出発。
その様子を三浦達が丁度見かける。
山本が直樹の車に横付けする。
「おい、直樹君、そんなに急いでどうした?」
「あっ、三浦さん!美紀が危ないんだ!ヴィランに!」
「何っ!?分かった。先導してやる!」
三浦はサイレンを車の屋根に取り付けサイレンを鳴らして直樹の車を先導して現場に向かう。
更に赤木にも連絡を入れた。
パトカーの先導で現場に急行する直樹。
美紀と忠は必死に逃げていた。
2人にウォーターヴィランの攻撃が容赦無く襲い掛かる。
忠はもう息が上がりヘトヘトだった。
「忠さん頑張って!」
「ごめん……もう……限界……」
ウォーターヴィランが2人を追い詰める。
「もう……ダメだ……」
「くっ……」
「2人揃って消えなさい!」
だが、そこに誰かがウォーターヴィランを攻撃した。
「ぐはっ!?……誰だ!?」
ウォーターヴィランと美紀達の間に割って入ったのはエクスライザーだった。
「エクスライザー!?」
「ここは手を貸すよ……さっ、早く逃げて」
「あ……ありがとう……忠さん行きましょう」
美紀が忠を連れて逃げる。
「貴様~!邪魔だ!!」
「悪いね……こっちにも事情があってね」
エクスライザーとウォーターヴィランが戦う。
美紀達が逃げた先にパトカーと直樹の車が到着し合流。
「美紀!」
直樹が車から降りて来る。
「直樹さん!」
「大丈夫か?」
「エクスライザーが……助けてくれたんです」
「何っ!?で奴らは?」
「この先!」
美紀はウォーターヴィランの居る方を指差す。
「よし……三浦さん達と居ろ。ちょっと行って来る」
直樹はウォーターヴィランとの戦いに向かう。
エクスライザーとウォーターヴィランは激しい戦闘を繰り広げていた。
「クソッ……中々やるわね……」
「まぁね……」
そこに直樹が加わる。
「エクスライザー!」
「ん?やぁ探偵。来たか」
「待ってろ!今手伝う」
直樹は『変身』
エクスカイザー登場。
エクスカイザーもウォーターヴィランを攻撃。
「ぐっ……流石に分が悪いか……」
ウォーターヴィランは撤退。
「あっ待て!」
「はぁ……逃げられたか……」
「エクスライザー、美紀が助けられたみたいだな礼を言うぜ」
「別に構わないよ……たまたまだし。じゃあね……」
エクスライザーは去って行く。
それから少し遅れて赤木が合流。
「すまん、遅くなった」
「赤木……大丈夫だ」
そして、直樹は忠から話を聞く。
何故ウォーターヴィランに襲われたのか。
そして何故金を渡していたのかを……。
忠は直樹達に素直に話した。
忠は宝石の卸売り業をしていて三条美奈保との面識があった。
美奈保から『ジュエルキー』を渡されジュエルヴィランとなって人々を宝石に変えていたが、忠は『ジュエルキー』との適合率が低くく、美奈保が納得する様な宝石を作り出せず『ジュエルキー』を返却させられた。
だが、その途端、美奈保は『ジュエルキー』の使用料を払えと要求して来た。
当然高額で忠はその支払いの為に仕事の後も日雇いのアルバイトを妻に内緒で行い少しずつその使用料を払っていた。
ヴィランキー所持の後ろめたさがあった忠は誰にも相談出来ずにいた。
「なるほど~……日雇いのアルバイトを内緒でしてたから奥さんが浮気を疑ったのね……」
「浮気!?そんな……とんでもない!!」
「はぁ……忠さん奥さんには俺の方から浮気は無いと報告しておきますが、ヴィランキー所持は立派な犯罪です。その辺りは警察に任せますが、それなりの事は覚悟しておいて下さい」
「はい……申し訳ありませんでした……」
「それじゃあ署までご同行願います」
忠は三浦達に連行される。
「奥さんに何て説明すれば……」
「どの道警察から連絡は行く。俺達は俺達の仕事の範囲で説明すればいい」
直樹と美紀は事務所に戻り忠の妻、井上弘美に連絡した。
直樹の連絡で事務所にやって来た弘美は事の経緯を直樹から聞き泣き崩れてしまった。
浮気こそ無かったものの、夫が犯罪者として警察に捕まってしまったとなればショックも大きいだろう。
直樹は弘美に掛ける言葉も見付からなかった。
弘美が帰った後、直樹と美紀はそのまま警視庁に向かった。
赤木は2人を迎える。
忠は素直に自供し三条美奈保の事も少しずつ分かって来た。
忠の会社は美奈保のジュエリーショップと取引をしていた為、直ぐにジュエリーショップは分かった。
警察は直ぐにでも捜査を開始するだろう。
「工藤、井上が宝石に変えた人々の身分証を所持していた。奴なりに罪悪感はあったんだろう……ジュエルヴィランを倒せば宝石に変えられた人々も元に戻るそうだ」
そう言って赤木は宝石にされた人々の免許証や保険証を直樹に見せる。
直樹はその中から見覚えのある名前を見つけた。
「ん?この人は!」
「どうした?」
”杉下 真弓”
その免許証にはそう書かれていた。
「この人……俺が行方不明の調査を依頼されてる人だ……忠に宝石にされてたのか……」
「何っ!?」
「じゃあ、ジュエルヴィランを倒せば真弓さんも見付かって一気に事件解決って事?」
美紀が直樹に聞く。
「ああ……」
「後は今誰がジュエルヴィランかって事だな……三条美奈保ならそれを知ってるんだろうが……」
「まずは三条美奈保を捕まえる必要があるって事だな」
「よし……急いで令状と取る。それと同時に俺達は捜査の準備をしておく、工藤お前はどうする?」
「そのジュエリーショップを教えてくれ三条美奈保を見張っとく」
「分かった」
直樹は赤木に美奈保のジュエリーショップを教えて貰い一足先に美奈保の調査を開始する。
「ここか……」
早速直樹と美紀は美奈保のジュエリーショップにやって来た。
その頃、黒沢は……。
完成した『デビルキー』を見つめていた。
「素晴らしい出来だ!」
そこにMがやって来る。
「やれやれ……神坂さんが捕まったと言うのにそんなに呑気で居て良いんですか?」
「やぁ、Mか……確かに神坂君が捕まったのは痛い……だが、私にはこの力がある……デビルキーの力がね……」
そう言って黒沢は不敵に微笑む。
「ところで、私の計画の準備の方はどうかね?」
Mが答える。
「はい。そちらも徐々に進んでおります。しかし……人類その物を超人化しようなんて会長も大胆な事を考えますね」
「私は人間の限界を越えた進化が見たい……その為のヴィランキーだ……そして誰もがヴィランキーを持つ世の中になれば人間の内に秘めた欲望が暴走し素晴らしい世の中になるだろう」
黒沢はこの時、M達にヴィランキーの大量生産をさせていた。
一方、直樹と美紀はジュエリーショップの店内へ……。
「うわ~綺麗~」
美紀は店内のショウウィンドウに飾られていた宝石を眺めていた。
「おい、美紀!浮かれてる場合じゃないぜ!」
「分かってますよ~」
そこへ美奈保がやって来る。
「お待たせ致しました」
美奈保は美紀を見て直ぐに勘づいた。
「あなたは……」
美奈保は小声で呟いた。
「三条美奈保さんですね?少しお話を伺いたいんですが」
「分かりました。ではこちらへ……」
美奈保は直樹達を店の奥へ案内した。
応接室に通された。
「今、お茶をお持ちしますから少々お待ち下さい」
そう言って美奈保は応接室を出ていく。
「逃げないですかね?」
「大丈夫、あの女には発信器を着けた」
「え?いつの間に!?」
直樹は美奈保に案内されてる間に美奈保の背中に発信器を取り付けていた。
だが、美奈保が店から出ていく様子はなかった。
しばらく待って居ると……。
「遅いなぁ……店からは出てないみたいだし……お茶を入れるのに何分掛かってるんだ?」
すると突然応接室にジュエルヴィランが現れた。
「ヴィラン!?クソッ……変身して来たのか……」
ジュエルヴィランが直樹に襲い掛かる。
「うわっ!?」
ジュエルヴィランは直樹を攻め立て変身の隙を与えない。
「ぐわっ!?……クソッ」
「このー!!」
美紀がジュエルヴィランに掴み掛かる。
「おい、よせ!」
だが、ジュエルヴィランは美紀を容赦無く突き飛ばした。
「きゃっ!?」
「美紀ー!?」
「あなた……美しくないわね……永遠に美しい宝石に変えてあげるわ」
ジュエルヴィランは美紀に『宝石化光線』を浴びせた。
「きゃーっ!?」
美紀は宝石にされてしまった……。
「美紀ー!?」
直樹は叫ぶ。
果たして美紀は元の姿に戻れるのか?
続く……。
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