第21話「決着の日」

芝原から『ブーストキー』を渡された赤木はこの力で必ず勝つ事を誓った。


-翌日-

直樹の事務所に新たな依頼者がやって来た。

この日やって来たのはまたも中年の女性。

「すみません……ご連絡した杉下ですが……」

「あっ、どうぞー」

早速話を聞く。


この女性は杉下 雅恵(すぎした まさえ)(53歳)

依頼内容は失踪した娘を探して欲しいと言う物だった。

またも人探しの依頼をされた直樹は既にヴィラン犯罪による物だろうと推理していた。

失踪したのは杉下 真弓(すぎした まゆみ)(24歳)

都内でOLをしている普通の会社員だと言う。

失踪したのは一昨日の夜で母親の雅恵と仕事終わりに食事をする約束をしていたが、約束の時間になっても一向に現れず電話も出ずLINEも既読にならないと言う。

一晩経っても連絡の付かない娘を心配し、警察にも相談に行き、捜索願いは出したと言う。


「なるほど……分かりました。真弓さんの捜索我々がお引き受けしましょう」

「ありがとうございます!宜しくお願い致します」

そして、直樹は真弓さんの職場を教えて貰い驚愕した。

なんと、真弓さんの勤め先は黒沢のグループ会社だった。

ヴィラン犯罪の可能性が高くなった。


依頼を引き受け母親が帰ると早速井上さんから受けた浮気調査から開始する。

「浮気調査からでいいんですか?優先順位を考えると失踪の方が……」

「ああ……確かに失踪の方が重要かも知れない……でも、依頼者にはもっと重要な問題だ……引き受けた方からやるよ」


そして、直樹と美紀は対象の井上忠の行動観察を始める。

忠の職場に行き、会社から出てくるのを待ち伏せする。

時間的にもお昼休みに入り出てくる頃だろう。

しばらく待っていると忠が会社から出てきた。

「あっ、出てきた!」

早速直樹と美紀は忠の尾行を開始。

だが、今回は普通にお昼を食べ会社に戻るだけの様だ。

「とりあえずは何も無かったな……よし、今の内に俺は真弓さんの捜索の方に行く。美紀はここで忠さんを見張っててくれ」

「分かりました……気を付けて下さい」

「ああ、こっちも何かあったら連絡しろ」


そう言って直樹は真弓の捜索に向かった。

真弓の職場は黒沢のグループ会社。

黒沢が関わる事件に巻き込まれてる可能性も捨てきれない。


直樹が真弓の会社に着く。

「ここか……」

会社名は黒沢食品。

食品会社だった。

早速中に入り受付で話を聞くとやはり真弓は出社しておらず、真弓の所属する部署でも心配している様で調査に協力的だった。


真弓の上司の島田課長がやって来て直樹と話をする。

やはり一昨日の退社後から姿を見ては居ないが、昨日も出社しておらず島田も心配していた。

真弓は真面目な性格で無断欠勤など、今まで1度も無かったと言う。

一応島田課長に真弓と仲の良かった女子社員を紹介して貰い話を聞ける事になった。


だが、彼女も真弓とは連絡が取れずどこに行ったのかも分からないと言う。


直樹が調査をしていると近くでヴィランが人を襲い始め騒ぎになった。

「クソッ……こんな時に……」

直樹は直ぐにヴィランの元へ向かった。


暴れていたのはジュエルヴィラン。

人々を宝石に変えていた。

「ハッハッハッ!いいわぁ……醜い人間など辞めて美しい宝石になりなさい……」

「やめろ!!」

直樹がジュエルヴィランの前に立ち塞がる。

「あらっ?あなたも宝石になりたいの?」

「冗談じゃねぇ!宝石にした人達を元に戻しやがれ!!」

「あら残念……あなた……美しくないわね……」

ジュエルヴィランが襲い掛かって来る。

「変身!!」

直樹はエクスカイザーに変身し応戦する。


「おりゃあ!!」

エクスカイザーのパンチがジュエルヴィランにヒット。

しかし……ジュエルヴィランの硬い体には全くダメージが無かった。

「いってぇ~!?何だコイツ……かてぇ……」

エクスカイザーはその硬さに拳を傷めた。


ジュエルヴィランがエクスカイザーに反撃。

エクスカイザーは一方的に攻撃を喰らう。


「クソッ……打撃がダメなら……」

エクスカイザーは『EXキー』でエクストラフォームにチェンジ。


『エクストラブレード』で攻撃。

しかし、その攻撃さえもジュエルヴィランには通用しない。

「クソッ……全然効かねぇ……」


エクスカイザーはそれでもジュエルヴィランに攻撃を続ける。


「ハッハッハッ!美しい宝石は傷付かない!」


エクスカイザーが戦っているとファイヤーヴィランまで現れエクスカイザーに攻撃を仕掛けて来た。

「うわぁぁぁ!?」

ファイヤーヴィランの火炎がエクスカイザーを襲った。

「くっ……お……お前は……」

「エクスカイザー……この前は殺し損ねたが今度は逃がさん……」

「チッ……流石にヤバいな……」


エクスカイザーは2体のヴィランを相手に大ピンチ。

「死ね……」

ファイヤーヴィランがエクスカイザーに迫る。

だがそこに、誰かがファイヤーヴィランを銃撃。

「ぐわぁっ!?」

振り向くとそこに居たのはエクスライザーだった。

「怪盗エクスライザー参上……」

エクスライザーが『ライザーショット』でファイヤーヴィランを攻撃したのだ。


「貴様……」

「お前……何で?」

「この前の借りを返しに来ただけだ。それより、ここは一旦引くぞ」

エクスライザーはそう言って『ライザーショット』をファイヤーヴィランに向ける。

「さよならファイヤーヴィラン」

エクスライザーはファイヤーヴィランを撃って怯んでる間にエクスカイザーを連れて姿を消した。

「何っ!?クソッ……逃げられたか……」


ファイヤーヴィランから少し離れた所で2人は変身を解除していた。

「助かったぜ……まさかお前に助けられるとはな」

「僕はただ借りを返したかっただけだ」

「借り?」

「この前奴らに捕まって脱出した後……体力を消耗した僕なら捕まえられただろ?」

「フッ……さぁな……泥棒はどんな手を使うか分からないからな……」

「おやおや……名探偵はお見通しか……それよりあの宝石のヴィランだが……」

「何だ?お前も奴に何かあるのか?」

大東は直樹にジュエルヴィランについて話始めた。

この所、直樹が依頼を受けた以外にも連続して行方不明者が出ていた。

若い人から年配まで男女問わず幅広い年齢層の人達が行方不明になっていた。

大東もヴィランの仕業と睨み調べていた。

そして、とあるヴィランの存在が浮かび上がった。

それがジュエルヴィランだ。

ジュエルヴィランは人間を宝石に変えてしまう能力を持っている為、行方不明者は宝石にされたと思われる。

そして大東はジュエルヴィランの正体を一人の男性と疑っていた。

大東がその男の写真を直樹に見せる。

直樹が写真を見せて貰うとどこかで見覚えのある顔だった。

「あれ?この人……あっ!井上忠さんじゃないか!」

「知ってるのか?」

「ああ、と言ってもまだ会ったことはないけどな……今受けてる依頼の調査対象だ」

直樹は急いで美紀に電話をする。

美紀は直ぐに電話に出た。

忠の動向を聞くが忠は昼休みを終えてから1度も会社を出て居ないと言う。


つまりさっき暴れていたジュエルヴィランは井上忠ではないと言う事になる。

「この人……単なる浮気調査の対象だと思ってたけど……何か訳ありみたいだな……」


その頃、芝原の元で赤木は『ブーストキー』を使いこなす特訓をし完全に使いこなせる様になっていた。

「よし……これで勝てる!」

赤木の元に芝原が近付いて来た。

「使いこなせる様になったな……赤木君……頼む!親友を止めてくれ!アイツは……人間が踏み込んではならない領域にまで足を踏み入れようとしている……それだけは……何としても……」

「ああ……必ず!」


赤木は東京に戻る。


その頃、ファイヤーヴィランはエクスカイザーとエクスライザーを誘き出す為に無差別に人を襲い暴れ始めた。

「出てこい!エクスカイザー!エクスライザー!お前達が出てこないと街が火の海になるぞ!!」


その被害の大きさは少し離れた直樹達の居場所からでも分かった。

「クソッ!ファイヤーヴィランめ……無茶苦茶するな……」

「僕達が行かないと街が……」

直樹はファイヤーヴィランとの戦いに向かう。

「待て探偵……勝算はあるのか?」

「別にねぇよ……でもこのまま放っておけないだろ!」

「フッ……分かった……今回は手を貸すよ……僕の狙うお宝まで燃えちゃ敵わないからね……」

大東も協力してくれる事に……。


直樹と大東はファイヤーヴィランの元へ向かう。

「チッ……まだ出てこないのか……」

「俺達はここだ!!」

ファイヤーヴィランの前に直樹と大東が並び立つ。

「来たか……今日こそ貴様らを殺してやる……」

「そうは行くか!!」

直樹と大東は『変身』


エクスカイザーとエクスライザーが並び立ち構える。

「フンッ……地獄へ堕ちろー!!」

ファイヤーヴィランが攻撃を仕掛けて来る。


エクスカイザーとエクスライザーはファイヤーヴィランと戦う。

エクスライザーは『ミラージュキー』を使ったトリックでファイヤーヴィランを翻弄する。

そして、エクスカイザーはファイヤーヴィランに攻撃を叩き込む。

しかし、先程のジュエルヴィランとの戦いで拳を傷めたエクスカイザーの攻撃は威力に欠ける。

ファイヤーヴィランに大したダメージを与えられない。

「そんなもんかー!!」

ファイヤーヴィランは自身を激しく燃え上がらせて突進して来る。

この攻撃を喰らったエクスカイザーとエクスライザーは大ダメージを受け変身が解除されてしまう。


「ぐあっ!?」

「くっ……」


「さぁ……トドメだ……今度こそ死ね」

ファイヤーヴィランはトドメを刺そうと2人に迫る。


だがそこに近付いて来るバイクの音が聞こえる。

「ん?この音は?まさか……」


直樹達とファイヤーヴィランの間にバイクが入り込む。

赤木だった。

「なっ!?貴様は!?」

「赤木……」

「ファイヤーヴィラン……貴様だけは……許さん!!」

赤木は『変身』

ダッシュライザー登場。

「フンッ……丁度良い……3人纏めて殺してやるよ……」

「そうはさせん!」

ダッシュライザーは更に『ブーストキー』を『ダッシュチェンジャー』の左側の鍵穴に差した。

そしてキーを回すとダッシュライザーは新たな姿『ブーストフォーム』にチェンジした。


ダッシュライザーのブーストフォームは青いボディーをした普段のダッシュライザーとは対称的な色をしていた。


「赤木!?」

ダッシュライザーのパワーアップに直樹も驚く。


「フンッ!そんなもん……燃やし尽くしてやる!!」

ファイヤーヴィランは構える。


「10秒でケリを着けてやる……」

そう言うとダッシュライザーの左腕に装着されたカウンターが10秒からカウントダウンを始めた。

ダッシュライザーは超スピードでファイヤーヴィランに接近し、そのままの超スピードで連続攻撃を叩き込む。

ここまで2秒しか経っていない。

8秒前……。

ダッシュライザーは威力の上がったキックでファイヤーヴィランを蹴り飛ばす。

「ぐわぁっ!?」

7秒前……。

「そろそろタイムアップだ」

ダッシュライザーは左腕のカウンターの別のスイッチを押す。

6秒前……。

ダッシュライザーの右手にエネルギーが集まる。

5秒前……。

「ぐっ……」

ファイヤーヴィランが立ち上がるがかなりのダメージを受けていてフラつく。

4秒前……。

ダッシュライザーは再びファイヤーヴィランに急接近。

3秒前……。

「これで終わりだー!!」

2秒前……。

ダッシュライザーは必殺技を発動。

1秒前……。

ダッシュライザーの『ブーストクラッシュ』がファイヤーヴィランに炸裂。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

カウント0……。

ファイヤーヴィランの『火のエレメントキー』は破壊された。


ダッシュライザーは元の姿に戻る。

変身が解除された神坂は気絶している。


ダッシュライザーは変身を解除。

「勝った……」

赤木は神坂に近付く。

「神坂修吾……ヴィランキー所持及び使用の現行犯並びにヴィランキー製造、販売、並びに殺人の容疑で逮捕する」

赤木は神坂に手錠を掛けた。

赤木は遂に家族の仇であるファイヤーヴィランを倒し神坂を逮捕した。


「赤木……」

直樹が近付いて来る。

「工藤……」

「やったな……」

「ああ!」


-翌日-

赤木、三浦、山本の3人は岡本探偵事務所を訪れていた。

「いや~それにしても、赤木が来てくれなかったらやばかったぜ……」

「はぁ……ホンマやで」

「え……?」

「ん?」

「赤木……今関西弁喋った?」

「えっ……いや……ちゃうちゃう!あっ……」

「赤木は根っからの大阪人だからな。普段標準語しか喋らない様にしてるのに関西弁が出るって事はコイツが直樹君達に気を許した証拠だよ」

「へぇ~……赤木~」

直樹はニヤニヤしながら赤木の方を見る。

「うるさい!!」

赤木は照れくさそうに怒る。


直樹は本当の意味で仲間になれた気がしていた。


続く……。

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