第19話「水のキーを持つ女」
直樹と大東が入れられた檻はクレーンに吊るされ海の上に移動された。
そして、土門がクレーン車から降りてくる。
「お前達はそこで明日の処刑を待つんだな!!」
「誰だアイツ?」
「奴は土門恭介……土のキーを持つヴィランで昔強盗で捕まった事もあるらしい」
「強盗?何でそんな奴が?」
「奴はその時、保釈金を払った黒沢に恩義を感じていて、黒沢に協力してるって所だろう」
「黒沢?まさか、黒沢東吾か?」
「!知ってたのか?」
「まぁな……奴とはちょっと因縁があってな……じゃあ、奴らは黒沢の組織のメンバーって事か?」
「そんな所だ……」
赤木はファイヤーヴィランとウインドヴィランが暴れる現場に到着した。
「くっ……公務執行妨害だな……変身!!」
ダッシュライザー登場。
『ダッシュスナイパー』でヴィラン達を攻撃。
ファイヤーヴィランにもウインドヴィランにも見事命中。
「くっ……アイツか……」
ファイヤーヴィランがダッシュライザーに襲い掛かる。
ダッシュライザーも応戦。
接近戦に持ち込み激しい攻防を始める。
しかし、ウインドヴィランも地上に降りて来て2人掛かりで襲って来た。
流石に2人相手ではダッシュライザーも分が悪い。
(くっ……こんな奴に……俺は…何故勝てない……何故何だ……)
ダッシュライザーはウインドヴィランに蹴り飛ばされる。
「ぐあっ!?」
「さぁて……ぶっ殺してやる!!」
「まぁ、待て今日はこの位でいいだろう……そろそろ行くぞ」
「え?あ、ああ……」
ファイヤーヴィランとウインドヴィランは去って行く。
「くっ……待て……」
港では直樹と大東に体を貫く様な寒さが襲い掛かっていた。
「う~……寒っ……」
直樹は寒さで膝を抱えている。
「まずいな……このままでは……」
大東は脱出の手立てを考えていた。
そして、ファイヤーヴィランとウィンドヴィランが港にやって来てM達と合流。
「お待たせ」
ファイヤーヴィランは変身を解除し神坂の姿に戻った。
ウィンドヴィランも変身を解除。
六ツ木の姿に戻る。
「やぁ、ご苦労様……奴らの処刑は明日だ。それまで全員交代であいつらを見張ろう。神坂さんと六ツ木さんは先に休んで下さい」
「そうですか……じゃあそうします」
「2時間後に交代で」
「はい」
神坂と六ツ木は去って行った。
「クソッ~あいつら余裕かましやがって……」
「フッ……」
大東が笑った。
「なんだよ?どうした?」
「いや……ここから脱出する手をようやく思い付いてね……」
「本当か!?」
「ああ……泥棒ってのは万が一の時に備えて準備をしておくものさ……」
「え?」
「変身が出来なくても泥棒に必要なスキル位は持ち合わせてるんでね……」
「お前な……んな事ドヤ顔で言うなよな……」
「まっ、どの道この状況じゃ君の力も必要だ……手を貸してくれよな?探偵」
「仕方ねぇな……おう!」
大東と直樹は遂に脱出に向けて行動を開始する。
その頃、赤木はファイヤーヴィラン達の後を追っていた。
まだ先程のダメージが残っているが、バイクで夜の街を疾走する。
赤木はファイヤーヴィランに取り付けた発信器を頼りに港へ向かっていた。
赤木はファイヤーヴィランやウィンドヴィランとの戦いの中でファイヤーヴィランに発信器を取り付けていたのだった。
「工藤……待ってろ」
更に赤木の連絡を受け三浦や山本も現場に急行する。
港にサイレンの音が聞こえてくる。
「ん?警察か?」
Mが気付く。
「おい……こっちに近付いてるぞ!」
「まさかここがバレたのか!?」
「そんなバカな!?」
「ん?」
その時、Mが神坂に付けられた発信器を見付けた。
Mは神坂を起こして尋ねた。
「神坂さん、それはなんだ?」
「え?なんだこれは?」
Mは発信器を外す。
「これは……発信器だ!」
「何だと!?これで居場所がバレたんだ……クソッ!あの刑事だな……」
「仕方ない……奴らの処刑を明日まで待ってられないな……」
Mは直樹と大東の処刑を直ぐに始めようとする。
だが、直樹と大東の脱出準備を進んでいた。
「ん?どうやら警察も来たみたいだね……」
「やっと場所を突き止めてくれたか……」
「おい!お前達!処刑の時間が早まったぞ!」
そう言って来たのは土門だった。
「何っ!?」
「やつらめ……警察が来たから計画を早めるつもりだな……」
「M……私達が警察の足止めをしておきます」
「いえ、その必要はありません……招待しましょう」
「え……?」
そして、赤木が港に到着した。
「見付けたぞ!」
神坂は『変身』
ファイヤーヴィランが登場。
「お前も仲間と共に殺してやる」
「残念だが……そうはいかん」
赤木も『変身』
ダッシュライザーが登場。
ダッシュライザーとファイヤーヴィランが戦う。
そして、M、六ツ木、土門は直樹達の檻へやって来た。
「さぁ、処刑を始めますよ!」
Mが指を鳴らし合図をすると土門がクレーンを操作し、檻を海に向かって降ろす。
「今だ!」
大東は数本のワイヤーを伸ばし『エクスチェンジャー』と『エクスキー』を回収する。
そして一気に引っ張り引き寄せる。
「何っ!?」
そして大東は檻の隙間から見事に取り戻した。
『変身』
エクスライザーに変身し檻を破壊。
「バカな!?」
そして直樹を連れて脱出。
「怪盗は準備を怠らないものさ……」
そして、直樹の『エクスチェンジャー』と『エクスキー』を回収。
「はいよ」
それを直樹に渡す。
「サンキュー……でももう少し早くやっても良かったんじゃないか?」
「いや、あの高さじゃワイヤーが届かなかったからな……降ろされる瞬間しかチャンスは無かったと思うよ」
「なるほどな……」
そして直樹も『変身』
エクスカイザー登場。
「工藤!よしっ!」
ダッシュライザーはファイヤーヴィランを蹴り飛ばしエクスカイザー達の元へ。
「大丈夫か?」
「ああ、何とか……」
「くっ……これはまずいですね……」
「お前達……覚悟はいいか?」
「くっ……ここは撤退しますよ」
六ツ木がウィンドヴィランに変身し突風を巻き起こす。
「うわっ!?」
3人が怯んだ好きにM達は姿を消していた。
「クソッ!逃げられたか……」
エクスライザーは去って行く。
「待て!貴様も逮捕する!」
ダッシュライザーがエクスライザーを呼び止める。
「残念だけど、そうは行かないよ?じゃあね」
エクスライザーはそう言って姿を消す。
「チッ……」
「まぁ、いいじゃねぇか……生きてればアイツを捕まえるチャンスも来るよ」
「はぁ……それもそうか……お前も疲れたろ?今日は帰るとしよう」
2人は変身を解除し帰って行く。
この事件の翌日。
黒沢はMやヴィラン達を呼び出していた。
「やぁ、昨日はご苦労さん……残念ながら大東君の始末には失敗したみたいだけどね……」
「申し訳ありません……次は必ず」
M達は頭を下げる。
「いやいや、別に怒ってないよ……楽しみが先に延びただけさ……それより……ようやく彼女がここに来る事になったよ。皆で出迎えようじゃないか」
「彼女って……まさかあの女!?」
「ああ……君達と同じくエレメントキーを持つあの女さ……」
そう話してる内に1人の女が黒沢の部屋に入って来た。
「お久しぶり会長さん」
その女の名は三条 美奈保(さんじょう みなほ)(34歳)
黒沢が待っていた『水のエレメントキー』を持つ女だ。
「わざわざすまなかったね……そろそろ例の計画を始めようと思ってね」
「まったく……フランスから日本に来るのも楽じゃないのよ?例の計画を進めるのは良いけど少し休ませて頂戴」
「ああ、計画を進めるのは後日でもいい。君が日本にさえ居てくれればね……ホテルを取ってある。そこで休むといい。神坂君、彼女を送ってくれ」
「かしこまりました」
神坂が三条を都内のホテルまで送る。
ホテルに向かう車内で三条が神坂に問い掛ける。
「ところで店は順調?」
「はい。経営状態は良好のようです」
「そう……。明日顔を出すって連絡しておいて」
「かしこまりました」
その頃、直樹は……。
「おかしいなぁ~この辺にしまってあったはずなんだけど~」
事務所で何か探し物をしていた。
「本当にこの中にあるんですか?」
「間違いないはずだ……」
何を探しているのかと言うと直樹は改めて黒沢の事を調査しようと思い総司の調査資料を探していた。
「お父さんの調査資料なら確かにここにあるかも知れないけど……全然無いじゃないですか!」
「変だなぁ……」
そこへ赤木達が事務所にやって来た。
「邪魔するぞ」
「ん?赤木……」
「あっ、三浦さんに山本さんも……どうぞ。今お茶入れますね」
「美紀ちゃんお構い無く」
「体調は大丈夫なのか?」
「ああ、何でもない。それで今日はどうしたんだ?」
「ああ、昨日お前が言っていた黒沢の件でな……」
「そうか……悪いな今散らかってるけど……」
「その様子だとお前も探していたみたいだな」
「ああ、なのに全然見つからなくてな」
美紀がお茶を入れ5人は事務所のテーブルで話合いを始めた。
半年前、岡本総司が黒沢の調査を始めた事は恐らく現在までに起こっている『ヴィランキー』による犯罪と関わっている事は確かだ。
しかし、半年前の調査の段階ではその事実を知る者は総司と直樹以外は知らなかった。
黒沢がヴィランキーの製造を行っている証拠さえ掴めれば警察も動き出す事が出来る。
そこで、5人は作戦を立てた。
まず、誰かが黒沢グループ本社ビルに潜入し、ヴィランキー製造の物的証拠を掴む。
その証拠を元に警察による捜査を開始し、黒沢会長含むヴィランキーの所有者を一網打尽にすると言う物。
だが、潜入と言っても直樹はM達に接触している為顔が割れてしまっている。
同じく赤木もファイヤーヴィランやウィンドヴィランに接触して顔が割れてしまっている。
そこで……。
「私が行きます」
手を上げたのは美紀だった。
「美紀ちゃん……しかし、それはいくらなんでも危険過ぎる……」
「私も探偵見習いです。危険は覚悟の上……でも、その危険から逃げてたらいつまでもお父さんに追い付けません!」
「美紀……分かった。潜入調査の件は美紀に任せる。でも、危険な時は直ぐに連絡しろよ?」
「はい!」
「よし……潜入はお前達に任せる……必ず証拠を掴んで来てくれ俺達はいつでも出動出来る体制を整えておく」
「ああ、頼んだぜ赤木」
こうして改めて黒沢グループへの調査が始まった。
しかし、それは彼らにとって最大の試練の始まりに過ぎなかった……。
続く……。
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