第18話「決死の脱出作戦」

エクスカイザー、エクスライザー、ダッシュライザーはそれぞれ大ピンチを迎えていた。


美術館の近くでファイヤーヴィランによる火災が発生した。


美紀の通報により消防隊が駆け付けた。


「赤木さん……」

美紀は心配そうに消防隊の消火活動を見守る。


そして、炎の中から消防隊員により赤木が救出されて来た。

「赤木さん!赤木さん!」

美紀は必死に呼び掛けるが、赤木は担架に乗せられ救急車に向かう。

救急隊員が美紀を制止する。


赤木を乗せた救急車が走り去って行く。


その頃、直樹と大東は……。

「クソッ!何とか脱出する方法は無いのか!」

直樹はなんとか脱出しようと考える。

「無駄だ……俺達の力が使えない以上脱出は無理だ……」

「だからって諦められるかよ!俺達は絶対ここから脱出するんだ!」

「……フッ……探偵の癖に熱い奴だな」

「悪りぃかよ……」

「いや……」

直樹と大東は檻の中で脱出を試みる。


Mと六ツ木は美術館内のカフェスペースで談笑している。

「明日が楽しみですね」

「ああ、あんたのお陰であの気に入らねぇコソ泥野郎をぶっ殺せるからな……」

そこに神坂がやって来た。

「こんな所でのんびりしてていいんですか?そろそろ警察がやって来ますよ」

「警察か……ついでに遊んで来るかな……」

そう言って六ツ木は立ち上がる。

「まぁ、待って下さいよ……折角だからよりゲームを面白くしましょう」

Mが止めに立ち上がる。

「どうするんです?」

Mは不敵に笑う。


直樹はまだ脱出の方法を考えていた。

「あ~クソッ!思い付かねぇ!!」

「だから……無理だって……」

「お前は何かないのかよ?怪盗なんだからむしろ得意だろ?」

「う~ん……そう言われてもねぇ……」

2人は脱出の手立てがないまま時間だけが過ぎていく。


赤木は病院に搬送され処置を受けている。

病院には美紀から連絡を受けた三浦と山本がやって来た。


美術館は中の様子がわからず美紀は心配そうに見守っている。

花森警部達が美術館内に捜査に入っている。

「クソッ……エクスライザーめ……どこ行きやがった……」

その警察の捜査の様子を監視カメラからモニタリングしているM達。

「ようやく来ましたね……じゃあ手筈通りに頼みますよ」

Mがそう言うと六ツ木がウィンドヴィランに変身。

「はいよ」

そして、ウィンドヴィランは部屋を出ていく。


警察の前にウインドヴィランが現れる。

「何っ!?ヴィランだと!?」

「サツ共!コイツをくれてやる!!」

ウインドヴィランは花森警部に一枚のカードを渡した。

「何だ?」

「それと、この美術館は、間もなく崩壊するさっさと出ていった方がいいぜぇ……」

「何っ!?」


そして、別室でMがスイッチを押すと地鳴りがしだし、美術館の崩壊が始まった。

「なっ!?これは!?」

「なぁ?嘘じゃないだろ?」

「ぐっ……全員退避!!」

花森警部の命令で警察官達はその場から急いで離れる。


警察官達が脱出すると、直ぐに美術館は崩壊。

M、神坂、六ツ木はトラックを走らせ逃走。

そのトラックの荷台には直樹と大東が入れられた檻があった。


美術館の崩壊に見物に来ていた野次馬達も逃げる。

美紀も避難させられるがその途中檻に入れられた直樹達を発見する。

「直樹さん!?」


「クソッ……」

花森警部は美術館の崩壊を見届けて先程ウインドヴィランから渡されたカードを見てみる。

それには明日の正午、エクスライザーとエクスカイザーを公開処刑すると書かれその場所を表した地図が記載されていた。


その頃、病院では処置を終えた赤木が目を覚ました。

「ん……こ、ここは……?」

「気が付いたか!」

赤木が目を覚ますとそこには三浦と山本の姿があった。

「俺は……どうしてここに?」

「赤木さん、ファイヤーヴィランとの戦いで火災に巻き込まれたんです……それで、病院に……」

「そうか……俺は……負けたのか……」

「まぁ、そう気を落とすな。今、先生を呼んで来るからな」

そう言って三浦は席を立ち、先生を呼びに病室を出て行った。


そして、山本のスマホにも電話がかかって来た。

「あっ、ちょっとすみません……」

山本も電話に出る為に病室を出て行く。


電話を掛けて来たのは美紀だった。

美紀は直樹が拐われた事を連絡してきた。


病室に残った赤木は考えていた。

今のままではファイヤーヴィランを倒せないと……。

何か手を打たなければならないと。

だが、ファイヤーヴィランを倒す手段は直ぐには思い付かなかった。

しばらくして先生が赤木の様子を見に来た。


一方、直樹達を乗せたトラックは人目に付かない道を進む。

「そろそろ、一度止めて目隠しをした方がちいだろ……」

Mが提案する。

「そうですね……警察もそろそろ検問を張ってるでしょうし……」

神坂はそう言って運転席から降り荷台の方へ。

「あっ!テメェ!ここから出しやがれ!!」

「申し訳ないが、そうも行かない……ここから先は君達の自由も奪わせて貰う」

神坂はファイヤーヴィランに変身し、檻の中へ入る。

直樹は『エクスチェンジャー』を取り出すが、後ろからウインドヴィランの攻撃で変身を妨害される。

「クソッ!?」

そして、ファイヤーヴィランが直樹と大東を捕らえ拘束する。

直樹と大東は後ろで両手を縛られ更に『エクスチェンジャー』と『キー』をそれぞれ奪われた。


ファイヤーヴィランは檻から出ていき檻に布を被せた。

「明日の処刑の時間までそのまま大人しくしていて貰おう」

そう言ってファイヤーヴィランは変身を解除。

神坂は運転席に戻る。


しかし、それを偶然目撃していた人物が居た。

それは近所に住む主婦だった。

「大変……」

神坂はトラックを走らせた。

主婦は直ぐに警察に通報。

その連絡を受け、三浦と山本が主婦の元へ聞き込みに行った。


主婦の名前は杉本直子(すぎもと なおこ)(46歳)

時刻は10時を回っていたが買い忘れを思い出し近所のスーパーに買い物に行った帰りだった。

その帰り道で人通りの少ない住宅街に珍しく大きめのトラックが通った為、何気なく見てみたら、荷台に檻が積まれていた為、不審に思い見ていたら、運転席から降りた男がヴィランに変身し、檻の中の2人を襲っている所を目撃。

最後に檻に布を被せて走り去った所を目撃し、警察に通報したと言う。

杉本の証言から、犯人は黒の4トントラックに乗り、荷台にベージュ色の布を被せて行った事が判明。

車のナンバーもしっかりと覚えていて、<練馬·は·418·12-05>だと判明した。

そこまでしっかり覚えている事に三浦は感心した。

「いや~これはかなり有力な情報ですよ!良くそこまでしっかりと覚えてましたね」

すると杉本は得意気に答えた。

「私、サスペンス物って大好きなんです」

「は……はぁ……」

三浦は刑事としては返答に困った。


杉本の証言により直ぐに検問が張られる。


「チッ……やっぱサツの検問がもう始まってるぜ……」

六ツ木は苛立ちを見せていた。

「いえ、これも計算の内です」

Mは至って冷静だった。

「何っ!?」

「神坂さん、そろそろですかね?」

「ええ、間もなく迎えが来ますよ」

すると、別のトラックが合流した。

トラックに乗っていたのは土門恭介。

土のエレメントキーを持つ男だ。

「よっ!迎えに来たぜ」

「頼みますよ、土門さん」

土門はグランドヴィランに変身。

グランドヴィランはパワーに長けたヴィランだ。

そのパワーで檻を持ち上げる。

「うわぁぁ!?」

中の2人は当然突然の揺れにビックリ。

グランドヴィランはそのまま檻を別のトラックの方に移動する。

「よし、いいぜ」

グランドヴィランは変身を解除。

土門が乗って来たのは白いトラック。

そっちに土門とMが乗り神坂と六ツ木はそのまま黒いトラックに乗った。

そして、そのまま走り出す。


その頃、警察は杉本の証言から車のナンバーで検索をしていた。

しかし、すぐにそれは盗難車のナンバーだと判明し、捜査は振り出しに戻ってしまった。


警察の検問は黒いトラックで証言通りのナンバーを探すしかない。

神坂と六ツ木はその黒いトラックで検問場の近くまでやってきた。

「さて、いよいよだな……」

前の車から順番に警察官が調べる。

そして、2人のトラックに警察官がやって来る。

「あっ!このナンバーは!?」

警察官は遂に目的のトラックを発見した。

「ちょっと、荷物を調べさせて貰いますよ」

警察官が荷台を調べに行くが……。

当然中は空。

「ナンバーはぴったりだけど……まさか、乗り換えられたのか!?じゃあ、あの2人は一体……」

そんな事を呟きながら中を調べる警察官にウインドヴィランが襲い掛かった。

「うわぁぁ!?」

警察官の悲鳴を聞き、他の警察官も駆け付ける。

すると、ウインドヴィランは屋根を突き破り警察官達の前に現れた。

「フフッ……さぁ、どうするかな……」

警察官の1人が神坂の方にも向かう。

「お前達!何者だ!」

神坂はファイヤーヴィランに変身。

こちらも警察官を襲う。


その頃、白いトラックの荷台では大東が拘束を外そうと踠いていた。

「おい、何やってるんだ?」

「フッ……変身出来なくても人間が作った拘束具なんて、簡単に外せる」

そうして、大東は腕の拘束を解いた。

「やったな!」

「ああ……後はチェンジャーを取り戻せれば……」

「おい、俺のも外してくれ!」

「……」

大東は何も答えない。

「おい、嘘だろ!?この状況で協力しないなんて事はないよな!?」

「……はぁ、仕方ないな……」

大東は直樹の拘束も解く。

「いやぁ、助かったぜ」

「まったく……一つ貸しだ。この借りはチェンジャーを取り戻す事で返せ」

「ああ!……お前、実はいい奴なのか?」

「バカ言ってるんじゃない!」


その頃、ウインドヴィランとファイヤーヴィランが暴れ警察官は検問どころではなくなっていた。


その間に土門のトラックは処刑場にどんどん近付いて行く。

「もうすぐだぜ……」


赤木も騒ぎを聞き、病院を抜け出し現場に向かう。


白いトラックが港に到着。

土門が2人を入れた檻をクレーンで吊り上げる。

「うわぁぁ!?何だ!?また揺れて……」

土門がクレーンを操作し、檻を海の上に移動させる。

「海……?」

「そうか……あいつら、檻ごと俺達を海に沈める気だ」

「何だって!?ヤバいだろそれは……」


赤木は2体のヴィランが暴れる現場に向かっている。


2人はピンチから脱する事が出来るのか!?


続く……。

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