第17話「狙われたエクスライザー」

この日、前回の依頼者の春香と夏海姉妹が警察での事情聴取後に岡本探偵事務所を訪れていた。


「夏海ちゃんすっかり元気になって良かったね」

「うん!」

「探偵さん、本当にありがとうございました」

「いえいえ、無事で何よりでした」

「それで……依頼料の件ですが……」

「それは良いですよ」

「でも……」

そんな会話をしていると、美紀が夏海の持っているぬいぐるみに気が付く。

「あれ?夏海ちゃん、そのぬいぐるみどうしたの?」

「刑事さんがくれたの!」

「へぇ~」


「ああ、夏海のお見舞いにってあの赤木って刑事さんが……」

「へぇ~アイツ、良いところあるじゃねぇか」


その頃、赤木は……。

「ハーックション!?……風邪かな?」

「赤木、昼飯行こうぜ」

三浦が話し掛けて来た。

「え?あっ、はい」

三浦、山本、赤木の3人は昼休みに入る。


直樹は春香に正式に調査報告をして依頼は完了した。

「それでは以上となります」

「はい、お世話になりました」

春香と夏海は帰って行った。


一方、M、神坂、六ツ木の3人が密会していた。

「おい!あのふざけたコソ泥野郎の居場所はどこだ!!」

六ツ木はイライラしている様子で大東の居場所を聞いていた。

「私達も知らないのですよ……彼の居場所まではね……」

Mが冷静に答える。

「だったら……彼の方から来させれば良いのでは?」

神坂がそう言って来た。

「あん?どうやって来させれるってんだ?」

六ツ木が聞き返す。

「彼は怪盗……お宝ある所に必ず現れる……」

「……なるほどなぁ……お宝をエサに誘き出すって訳か……」

「そう言う事なら……私も協力しますよ……」

Mも話に乗って来た。

神坂は黒沢グループの力で大東を誘き寄せる宝石を用意した。


それから数日後……。

神坂は用意した宝石を黒沢グループの所有する美術館に展示。

Mはその宝石を盗み出して欲しいと大東に連絡した。


Mの連絡を受け大東がやって来た。

「黒沢グループの美術館から宝石を盗むなんて、どういう事だい?」

「やぁ、大東君……実はね……」

Mは大東に説明を始めた。


今回用意された宝石は時価数百億の巨大なダイヤモンド。

それ故に多額の保険金が掛けられており、その持ち主は保険金の為にあえてダイヤモンドを盗んで欲しいと言い、盗んだ後でダイヤモンドを返してくれれば持ち主はボロ儲けと言う訳だ。

その為に昔から取り引きのある黒沢グループに協力を依頼し、一芝居打って欲しいと言う事だと説明。


「なるほど……その持ち主は相当金に汚いと見えますね……」

「まぁ、そう言わないでくれ……私にとっても上口のお客様でね……」

「ふ~ん……で、セキュリティはどうなってんだ?」

「それはこのリストに纏めてある……盗んで欲しいと言ってもセキュリティが甘過ぎたら怪しまれてしまうからね……君にしか頼めないんだよ……」

そう言いながらMは大東にセキュリティの情報が事細かに書かれた資料を渡した。


大東はその資料をペラペラと捲りざっくり読んだ。

「なるほど……芝居と言っても一筋縄じゃ行かないって訳か……決行は明日。準備をしておくよ……」

そう言って大東は帰って行った。

「ええ……楽しみにしていますよ……あなたの最後のショーを……」

Mは不適な笑みを浮かべた。


大東は早速セキュリティの資料を読み攻略法を検討していた。

その資料によるとダイヤモンドを展示してあるケースの半径1m以内に入ると警報器が作動する仕組みになっていた。

更にケース自体にも少しの振動でも警報器が作動する装置がついていた。

「う~ん……この警報器じゃ近付いてもダメ……振動を与えてもダメ……さてどうするか……」


そして、翌日には美術館に警察が警備の為に集まった。

そこには勿論、花森警部の姿があった。

花森警部は相変わらずエクスライザーを捕らえる事に燃えている。

気合いは十分だ。

「いいか!改めて確認する!今日この美術館にエクスライザーが現れると予告状が届いた。我々警察の誇りに掛けて必ずダイヤモンドを守るんだ!!」


相手がエクスライザーである以上担当する部署が違っても赤木は待機している。

(あれが噂の花森警部か……声のデカい人だな……)

「赤木!」

呼ばれた声に振り向くと直樹と美紀がやって来た。

「工藤……お前達何しに来た?」

「相手がエクスライザーなら俺も協力するぜ」

「バカな……これは警察の仕事だ……」

「まぁ、そう固い事言うなよ、仲間だろ?」

「あのな……」

そんなやり取りをしてる間に時間が来た。


「時間だ……奴め……どこから来る?」

花森警部が警戒を強める。

するとエクスライザーは空から現れた。

「皆さんお待たせしました!本日のショータイムの始まりです!」

そう言ってエクスライザーはボールを撒いた。

ボールが地面に落下し破裂。

すると催眠ガスが辺りに充満した。

「くっ……催眠ガス……奴のいつもの手だ……」

花森警部はこの事を予測しガスマスクを用意していた。

警察官達はガスマスクを装着し催眠ガスの影響を受けない。

「そんないつもの手に引っ掛かるか!」

だが、ガスが晴れるとそこにはもうエクスライザーの姿は無かった。

「何っ!?奴め何処に!?」


少し離れた場所に居た直樹、美紀、赤木は催眠ガスの影響を受けなかった。

「くっ……催眠ガスも囮だったか……」

「行くぞ赤木」

「お前が命令するな!」

直樹と赤木は揃って『変身』

エクスカイザーとダッシュライザーが美術館に向かう。


しかし、2人の前に突然ファイヤーヴィランが現れる。

「何っ!?」

「邪魔はさせん」

ファイヤーヴィランが2人に襲い掛かる。

ファイヤーヴィランの火球が2人に向かって飛んで来る。

「くっ……工藤、奴は俺が引き受ける……行け!!」

「え?でも……」

「いいから行け!コイツは……俺の敵だ!」

ダッシュライザーはファイヤーヴィランに一人で立ち向かう。

「赤木……わかったぜ……エクスライザーは任せろ!」

エクスカイザーは美術館に向かう。


その頃、エクスライザーは既に美術館に侵入していた。

エクスライザーはダイヤモンドを展示してある部屋まで到達。

「やれやれ……ここまでこんなに警備が手薄とは……」

エクスライザーは『オクトパスキー』を使って手足にタコの能力を身につける。

吸盤を利用し壁を伝い天井へ貼り付く。

そのままダイヤモンドの展示ケースの上まで行く。

「よし……後はこのケースを……」

だが、そこでエクスカイザーが到着。

「エクスライザー!そこまでだ!!」

「何っ!?」

エクスカイザーはそのまま突っ込んで来る。

「なっ!?バカ来んな!?」

エクスカイザーがダイヤモンドの半径1m以内に入り警報器が作動。

「うぉっ!?何だ!?」

エクスカイザーはそれに驚く。

「チッ……もう一緒か……」

エクスライザーは降りてエクスカイザーと戦う事にした。

だが、エクスライザーが床に降りた次の瞬間。

床が抜けエクスライザーとエクスカイザーは纏めて落下して行った。

「何っ!?」

(バカな……こんな仕掛けあの資料には無かったぞ……)

エクスカイザーとエクスライザーは地下まで落下。

「ぐあっ!?」

「ぐはっ!?」

そして、天井の穴が塞がる。

「クッソ……どうなってんだこりゃ……」

気付けば2人は檻の中に居た。


「フッフッフッ……エクスライザーを捕らえたと思ったら、エクスカイザーのオマケ付きとは実に愉快……いやぁ、ラッキーでした」

「誰だ!?」

エクスカイザーが振り向くとそこに居たのはMだった。

「M!」

「エム?」

「初めましてエクスカイザー……あなたのご活躍はかねがね……私はM……犯罪コーディネーターを生業としております」

「犯罪コーディネーターだと!?お前!何のマネだ!!」

「とある方から依頼がありましてね……エクスライザーを殺す手伝いをして欲しいと」

「何っ!?」

「その方はあなたに大事な『キー』を盗まれたと大変お怒りでして……」

「じゃあまさかこの盗みの依頼は!?」

「ええ……それ自体があなたを捕らえる為の罠だったのですよ……」

「くっ……」

「おい!どうゆう事だ!?」

エクスカイザーがMを問い詰める。

「今お話した通りですよ……ダイヤモンドを盗むと言うのはエクスライザーをこの罠にハメる為の口実……あなたはそれに巻き込まれた事になりますね」

「ふざけんな!!ここから出せ!!」

「フフッ……確かにあなたが現れるのは想定外でした……しかし、私も仕事柄あなたの存在が邪魔なので一緒に消えて貰いますよ!」

「何だと!?」


「処刑は明日の正午……それまで残りの人生を楽しんで下さい」

そう言ってMは去って行った。

「おい!待て!!クソッ……こんな檻ぶっ壊してやる!」

エクスカイザーは『エクスキー』を使用。

『ストライクフィスト』

エクスカイザーの必殺技が炸裂。


しかし、檻に触れた瞬間激しい電撃がエクスカイザーを襲った。

「ぐわぁぁぁぁ!?」

エクスカイザーは大ダメージを受け変身が解除。

「クソッ……なんなんだこれ……」

「無駄だ……この檻はMが万が一の時の為に対ヴィラン用に作っておいた特殊な檻だ……俺達の力をも想定して作ってるから俺達の力じゃ脱出は不可能だ」

「何っ!?おいおい、それはまずいだろ!!お前怪盗なんだからこういうの得意だろ!?何とかしろよ!」

「だから無理だって言ってるだろ」

そう言ってエクスライザーは変身を解除。

大東の姿に戻った。

「お前……」

「俺達はこれから運命を共にするんだ、もう探偵も怪盗もないだろ……」


その頃、ダッシュライザーはファイヤーヴィランと激闘を繰り広げていた。

「くっ……このー!!」

ファイヤーヴィランはダッシュライザーを回し蹴りで蹴り飛ばす。

「うわっ!?」

「お前は弱い……お前の家族も弱かったな~……」

「何っ!?」

「お前の事を調べさせてもらった……お前、15年前に俺の事を追ってた刑事の息子だろ?」

「やはりお前が……父さんを……母さんを……妹をー!!」

ダッシュライザーは怒りに身を任せてファイヤーヴィランに攻撃を仕掛ける。

「だから……お前は弱いんだよ……」

ファイヤーヴィランは最大火力でダッシュライザーを攻撃。

「うわぁぁぁぁ!?」

ダッシュライザーへのダメージだけでなく周囲にも火災が発生。

「ちょっとー!?これは流石にまずいでしょ!?」

美紀は慌てて避難する。


ダッシュライザーは大ダメージを受け意識が朦朧とする。

だが、それでもファイヤーヴィランをめがけ前に進もうとしていた。

「お前……だけは……この手で……」

ファイヤーヴィランは炎の中に消えダッシュライザーはその場で倒れ込んだ。


今、エクスカイザー、エクスライザー、ダッシュライザーの3人にそれぞれ最大のピンチが起こっていた。


彼らの運命はどうなるのか?


続く……。

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