第8話「犯罪コーディネーター」

エクスライザーの正体……それは大東勝也と言う人物だった。

そして、大東に由美を連れて来させた人物とは一体!?


「この人が?」

由美が尋ねる。

「ああ……君に会いたがってたMだ」

大東が紹介する。

そして、Mは由美に名刺を渡す。

「初めまして、私、犯罪コーディネーターのMと申します」

「犯罪コーディネーター?」

「そう……私は犯罪者のお手伝いを生業としております……有能な詐欺師である由美様に是非ともお会いしたいと思いまして」

「へぇ~少なくとも犯罪者の味方って訳ね」

「ええ……もしよろしければ契約を……あなたが犯罪で得たお金の3割を頂ければ最高の犯罪をコーディネート致します。勿論、警察に捕まらない為のサポートも……」

「面白いじゃない……詳しく聞かせて」

Mは1本の『ヴィランキー』を出した。

「まずはこれ……ヴィランキーと呼ばれる物で、人間に超人的な力を与える夢の様なアイテムです……。これが1本あれば警察など相手じゃありません」

「へぇ~超人的ね……」

そして、Mは由美に詳しく説明を始めた。


その頃、直樹は中村から出来るだけ詳しく由美の情報を聞き出していた。

「ありがとうございました調査を続けますので何かわかったらご連絡します」

「よろしくお願いします」

そう言って中村は事務所を去って行った。


「また、本田由美の被害者が……」

「ああ……許せねぇ……明日から本格的に調査を始めるぞ……今日は帰って休め」

「はい……それじゃあ失礼します」

美紀は帰って行った。


しかし、直樹はそのまま事務所に残り中村の情報と葉山の情報を見比べていた。

見直してみると葉山からの情報にも由美はエステの受付の仕事をしているとあった。

この共通点は由美に繋がるかも知れない。

そう思った直樹は由美が仕事をしているかも知れないエステを探す事にした。


その頃、Mからヴィランキーを受け取った由美は早速ヴィランキーを試してみる事に……。

由美は体にヴィランキーを差す。

由美は怪人の姿に変身。

アロマヴィランとなった。

アロマの香りを放ち近くに居た男達を骨抜きにしていく。

「フフッ……さぁ、バカな男達……私に全てを捧げなさい」

アロマの香りを嗅いだ男達はアロマヴィランに付いて行く。

このアロマ、どうやら女性には効果が無いらしい。

女性達は警察に通報をした。


直ぐに警察が駆けつけアロマヴィランを包囲した。

そして、警官達がアロマヴィランに向けて拳銃を構える。

「動くな!!」

しかし、アロマヴィランに操られた男達が盾になる。

「くっ……これじゃあ撃てない……」

そして、アロマヴィランは更にアロマの香りを放出。

男性警察官は骨抜きにされる。


その様子を離れた場所から見ている大東とM。

「男をここまで利用するとは……恐ろしい女ですね……」

大東がMに話し掛けると……。

「ああ……あの手の女はアロマヴィランキーと相性が良い……だから金になる……」

Mはそう言って怪しく微笑む。


サイレンの音で外が騒がしくなった事に気付いた直樹は車で様子を見に行く。


アロマヴィランは操った警察官を使い邪魔な数人の女性警察官達を襲わせた。


直樹が到着した頃には現場は騒然となっていた。

「クソッ……やっぱりヴィランか……」

直樹は変身アイテム『エクスチェンジャー』を取り出す。

「変身!」

エクスカイザー登場。

アロマヴィランの前に現れる。

「真実を見抜く正義の眼!エクスカイザー!」

「私の邪魔をするなら容赦はしない……」

アロマヴィランは警察官達を操ってエクスカイザーに向けて拳銃を撃たせる。

「うわぁぁ!?」

エクスカイザーが避けたら周りの人間に弾丸が当たってしまう恐れがある。

だから、エクスカイザーはその場で撃たれ続けた。

「ぐっ……この……」

「フフッ……やれ!」

今度は他の男達もエクスカイザーを襲い始めた。

「クソッ……これじゃあ攻撃出来ない……ってか、むさ苦しい!?」

このままではエクスカイザーは手が出せずやられてしまう。

エクスカイザーは男達を振りほどき高くジャンプ。

その場を脱出。

「クソッ……何とかしなきゃ……何とか……」

しかし、今のエクスカイザーにはなす術は無かった。

「仕方ない……出直すか……」

エクスカイザーは撤退した。


「フフッ……逃げたわね……まぁ、いいわ。ちょっと疲れたし……私も帰りましょう」

アロマヴィランも男達を引き連れて姿を消す。


直樹は事務所に戻った。

「クソッ……あのヴィラン……どうすれば……」

直樹はソファーに倒れ込んだ。


-翌朝-


「直樹さん……直樹さん!」

事務所にやって来た美紀が直樹を起こした。

直樹はソファーでそのまま眠ってしまっていた。

「ん?……ああ……美紀か……おはよ……」

「昨日泊ったんですか?こんな所で寝てたら風邪引きますよ」

「ああ……ちょっと調べ物しててな……ハックション!!」

「ほら~……風邪移さないで下さいよ?」

「ああ……わりぃわりぃ……風邪引いたか?ん?……風邪……風……そうだ!風だ!!」

「え?」

直樹は何かを閃いた。


とりあえず直樹は急いで支度をし、早速車で出掛ける。


その頃、由美は男達に金を貢がせていた。

「フフッ……いいわ……最高よ!何もしなくてもお金がこんなに手に入る……折角だし、海外にでも旅行しようかしら……」

「その前に代金のお支払いをお願いしますよ……」

そこにやって来たのMだった。

「M……そうね……まだ支払いが残ってたわね……でも……残念だけど、あなたに払うお金はないわ!これはぜ~んぶ私のお金……」

由美はお金を払う気などなかった。

「それは困りますね……こちらもビジネスですから……」

由美はアロマヴィランに変身しアロマを放出。

「くっ……この女……」

Mは慌てて鼻を塞ぐ。

その隙にアロマヴィランは逃走。

「やってくれますね……でも逃がしませんよ……ジョーカー頼みます」

Mの指示でジョーカーが現れる。

「ああ……殺してもいいんだろ?」

「構いません……」

「フフフッ……楽しみだなぁ」

そう言ってジョーカーはアロマヴィランを追う。


その頃、直樹と美紀は新宿で手分けをして由美の仕事先のエステを探していた。

直樹は5件目の店に行くと……。

「この女性こちらで働いてませんか?」

受付の女性に尋ねる。

「ああ!理穂ちゃんね!3ヶ月位前までは働いてたんだけど……辞めちゃって……」

「理穂?この女性は理穂と言う名前なんですか?」

「ええ、斉藤理穂……なんでも親御さんの面倒を見る為に実家に帰るって言ってましたけど……」

本田由美も偽名だった。

直樹は斉藤理穂について更に詳しく聞いた。


仕事を辞める時、理穂は地元の福島に帰ると言っていたらしい。

しかし、それ以上の事はわからなかった。

店を後にした直樹は美紀に連絡して合流する。

「これからどうします?」

「とりあえず、住所はわかったから行ってみよう」

直樹と美紀は理穂の家に向かう事に。

しかし、その途中街が騒がしくなった。

「ん?なんだ?」

アロマヴィランが逃走し、ジョーカーに追われていた。

ジョーカーのナイフがアロマヴィランに命中。

「ぐっ……」

ジョーカーがアロマヴィランを追い詰める。

「あいつら……」

直樹は車を降りる。

そして、その場を離れる。

「ちょっと!?どこ行くの!?」

美紀は置いて行かれる。

直樹は物陰に隠れる。

「変身!」

エクスカイザー登場。

アロマヴィランとジョーカーの前に現れる。

「お前……」

ジョーカーがエクスカイザーを睨み付ける。

「ジョーカー……仲間割れか?両方纏めて倒してやる!」

エクスカイザーがジョーカーに殴り掛かる。

ジョーカーはそれを受け止めナイフで反撃。

エクスカイザーはそれをかわす。

エクスカイザーはジョーカーを蹴り飛ばし今度はアロマヴィランに向かう。

エクスカイザーはアロマヴィランとも戦闘を繰り広げる。

アロマヴィランは再びアロマを放出する。

「喰らうか!」

エクスカイザーは体を丸め空中で回転する。

しかし、この技はアロマを吸わない為のその場しのぎでしかなかった。

しかし、そこにジョーカーが攻撃をしてくる。

「ぐっ……流石にニ対一じゃ不利だな……」


現場の近くに大東が来ていた。

「やれやれ……今回だけは手を貸してやるか」

大東はエクスライザーに変身。


ジョーカーに苦戦するエクスカイザー。

そこへ一本のキーが飛んで来る。

「ん?これは?」

エクスカイザーはそのキーを拾う。

それは柄の部分に《風》と書かれたキーだった。

「一体誰が……?」

そして、エクスカイザーは辺りを見回してエクスライザーを見付ける。

「あいつ!まさか……奴が……?」


「フンッ……」

エクスライザーは去って行った。

そして、エクスカイザーはそのキー『ウィンドキー』を左側の鍵穴に差し込んだ。


すると、エクスカイザーの右腕が緑に変わりその拳は風を纏った。

「なるほど……風の力を引き出せるキーか……」

エクスカイザーはジョーカーに風のパンチを喰らわせた。

ジョーカーは吹き飛ばされる。

「おおー!使えるぜコレ!」

今度はアロマヴィランに向かう。

「くっ……喰らえー!!」

アロマヴィランはアロマを放出。

「もうそれは効かないぜ!!」

エクスカイザーは再び風のパンチを繰り出す。

その拳圧で突風が起こりアロマを吹き飛ばした。

「何っ!?わ……私のアロマが!?」

「フッフーン……そうだな……名付けてサイクロンフィストだ!」

必殺技命名『サイクロンフィスト』

「ぐっ……アイツ……どっからあんな力を……」

ジョーカーは立ち上がり逃走する。

「あっ!待てっ!……クソッ……」

「私は……私は負ける訳には……捕まる訳には行かないんだー!!」

アロマヴィランが攻撃を仕掛けて来た。

「悪いがここまでだ……」

エクスカイザーは必殺技『サイクロンフィスト』をアロマヴィランに叩き込む。

アロマヴィランは倒されヴィランキーが折れた。


変身が解けた斉藤理穂がその場で両膝を着いた。

「!本田由美……いや、斉藤理穂だな……あんたには罪を償って貰う」

理穂は涙を流していた。

「私は……私は……捕まる訳には行かなかったのに……」

「罪を犯した者はその償いを受ける……それがこの国の法であり世の中の常識だ……だが、一度犯罪を犯しても立ち直らせようとするのもこの国だ……じゃあな……」

エクスカイザーは去って行く。


その後、変身を解除した直樹から警察に通報が入り斉藤理穂は詐欺並びにヴィランキー使用による罪で逮捕された。


後日、直樹は報告書を作成し、依頼人の葉山と中村にそれぞれ調査報告をした。

詐欺の被害に遭った2人と過去の被害者の稲垣には斉藤理穂の裁判の結果次第で返金されるだろう。

まぁ、有罪はかなり有力なので間違いなく返金されるだろうが。


「それにしても、なんで理穂さんがジョーカーに追われてたのかしら?」

美紀にはまだ謎が残っていた。

「さぁな……だが、嫌な予感がする……」

そう直樹は言う。

探偵としての直感がそう感じさせてるのだろう。


ここは、犯罪コーディネーターMが贔屓ひいきにしているbar。

Mはお気に入りのカクテルを片手に誰かと話している。

「まさか驚きましたよ……風のエレメントを持つキーを奴が手に入れるなんて……」

そうMが語る。

「エレメントキーはたったの4本しかないレアなキーだ。その一本を誰が奴に渡したのか?」

そう言い出したのは黒沢会長。

「なぁ、大東君……君はどう思う?」

Mが大東に話し掛ける。

「さ、さぁ?僕にはわかりませんよ……」

大東は店を出ていく。


そして、店に残っているMと黒沢会長は……。

「風のエレメントキーは直ぐにでも取り戻しましょう」

Mがそう言うと……。

「いや……まだいいさ……ゲームは……その方が面白い」

黒沢会長は不適に笑う。


続く……。

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