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目を覚ましたら、知らない場所。

ここはどこ?これは、私?

…体が動かない。

鏡があった。私の体は、そっちへ歩いていく。

あれ?「これは、私じゃない。」

私じゃない私は少しボロボロの黒い服を着た人形を抱えている。

違う。これが私なんだ。

この人形が私なんだ。何故か、見たことがある気がする。

私が最後に抱いていた筈の人形。

何度も何度も取り繕ってツギハギの人形。

私は、少女につられて外に出た。

そこには少女に似た容姿の人がいた。

『私だ……』

声は出なかったが、はっきりそう言えた気がする。

彼女はこっちを覗き込んでいる。

不思議そうな目で。

そして、怯えている。彼女に。

彼女は何も言わずにこっちに近づいてきている。

それに伴い、私たちは後ろへ下がる。

同じ距離を保ちながら、ゆっくりゆっくりと。

彼女は、口を開いた。

「それを渡せ。」

少女は首を振った。

まだ1歩1歩近づく。

その時、気がついた。

大穴が空いていることに。

少女は気がついていない。

そして、堕ちた。

その時少女は私を手放してしまった。

私を捕まえようと手を伸ばすも、届かない。

雲に入って何も見えなくなる。

そして、雲を抜けて気がつく。

『私だ。』

今度は声が出た。

また同じ。

思い出した。

何度も落ちている。

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