片割ノ三

それは、体に咲いた茜い宝石。

それは、心臓を貫いて咲いた花。

それは、緋き根を細く体を辿い地に堕ちた。

それは、大理石に紅の月を描いた。

それは、命を吸い続けた。

そして、立っていられなくなった。

倒れれば、月は砕け星を創る。

星は弧を描いて輝く。

最後には、ゆっくりと全てが輝きを失う。

ゆっくりと、星たちの紅い輝きが消える。

暑い、体が燃えている。

寒い、体が凍っていく。

世界は、収縮し始めた。

暗く儚く。

ゆっくりと。

その一瞬に、"私ノ笑顔"が見えた。

そして、世界は闇に閉ざされた。

魂だけが、体に残留する。

光も、暑さも、寒さも、今は意味を亡くした。

嗚呼、これが死か…

夢などは、最初から無かった…

全て私が見た幻覚だったのだろう。

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