月ノ三

目が覚めると、ヒビの入った私が

私を覗いている。

不思議と、今までと違い…

私でない気がする。

そっと、それに触れる。

’’温かい…‘’

ずっと覚えてた。

この感覚。

それに手を絡め、自分は引き込まれた。

と同時に日が差し込まれる。

境界が砕け、赤く染まった白きキャンパス。

そして、時が止まった。

私を引き込んだ私は、倒れていた。

私はそれを抱え、協会の奥へ進む。

この世界の理は、''鏡''が割れた時のよう。

今日の日は恒久を手に入れた。

一日一日散りゆく命が。

儚く脆い一日だけの命が。

固く閉ざされた、宝石箱の中。

今日という永遠を歌っている。

少女を、建物中央の塔最上部。

そこにある、必要のないたった一つのベット。

そこにそっと寝かせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る