月ノ章

月ノ一

私が生まれたのは…

まだ、少女が"堕ちる"前の話。

私は少女と対照の存在で、ずっと影で見守ることしか出来なかった。

私は少女を見守るだけにした。

だけど、私は気がついてしまった。

気がついてはいけなかった。

気が付かない方が良かった。

そうだ、この世界が全部悪いんだ。

そうだ、私は悪くない。

もし、神なんかがいるとしたら。

そうだとしたら。

この手で、直接殺してやる。

その時、鏡に気がついた。

自分は、酷く醜く映った。

それが、とても腹ただしい。

気がつけば、鏡にはヒビが入っていた。

私は、混乱した意識の中。

眠りについた。

明日も、不幸に満ちた世界だと思って。

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