日ノ三

目が覚めて初めに気がついたのは、

鏡がバラバラに砕け散っていること。

少女は、せめてもと破片を素手で掻き集める。

最初少女は気が付かなかった。

それを拾い集めている時に、指を切ったこと。

血は地面を紅く染め上げ、

少女が歩く道をなぞった。

一つ一つの赤い雫は、とても脆い宝石のよう。

堕ちればその度に砕け散ってしまう。

最後に斑な模様を残し、染み込む。

その繰り返し。

少女が机の上に破片を置く。

そして、気が付く。

鏡の破片は、赤く染っていた。

赤く染った破片は、

机の上で不格好な蝶をかたどっている。

少女は丁寧に一つ一つを拭き取り、

倒した枠の中にはめ込んで行った。

そして、最後の"peace"をはめ込んだ。

その後すぐに、

少女は疲れたのか眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る