寝取られ主人公に憑依したら優勝した話
けら
寝取られ主人公になったみたいですが...
「は?誰だよこれ?」
俺はある朝、鏡の前で呆然としていた。
当たり前の話だが、
鏡を見たらそこには自分が映るよな?
だが今回ばかりはそうではないらしい。
「てか、イケメンだな?」
鏡の向こうには暗そうなものの、
かなりのイケメンが立っていた。
突然だが俺の本来のスペックを語ろう。
37歳独身。
有名な難関大学を卒業。
在学中に株で大成功し、
若くして億り人となり悠々自適に生きる。
────そして、彼女いない歴=年齢。
その理由は俺の外見が関係している。
そうだな、
あまり詳しく語ると精神へのダメージがヤバいから簡潔に言わせてくれ。
...俺はチビデブハゲブスメガネだった。
身長は152cmから全く伸びず、
髪の毛は中学生で既に薄くなっていた。
更に幼少期から両親に勉強を強要され、
机に齧り付き、持続する体力をつけるのに何故かちゃんこ鍋を食べさせられていて見事なデブに。
勉強の副作用で視力も悪くなり、
更にはメガネを外すと3になるタイプだった。
そして金持ちになっても、痛いのも怖いのも苦手な俺は整形やレーシックをする勇気もなく、そのままだった。
正直ここまでくると
いくら金持ちだとしてもまぁモテん。
学生時代なんか完全に黒歴史だ。
確実に虐められる容姿をしていた俺だったが、前途の通り痛いのも怖いのも嫌なので休み時間は一人で奇声を上げたり等の奇行を繰り返し、虐めるためだとしても関わりたくない人種に擬態していたからな。
...この独白にある通り俺の精神は至ってまともだ。
あれは辛かったなぁ(遠い目)
大学では流石に虐めもないだろうと普通にしていたが、貴重な幼、小年期を勉強と奇声と奇行に費やしていたチビデブブスハゲメガネが普通にしたところで彼女どころか友達ですら終ぞ1人もできなかった。
株を始めた理由も、俺が普通に就職して上司や同僚と上手くやっていける気が全くしなかったからだ。
そんなこんなで金に困らず、生きるのには全く不自由しないものの恐らく誰にも羨まれないだろう人生を送っていたのが俺だ。
だったのだが。
「え、憑依ってやつ?」
俺は何の前兆もなく
知らないイケメンになっていた。
◇◇◇
「ふむふむ、
とりあえず状況を把握しようと家の中を漁り、パソコンや携帯、書類を確認してこの身体...今の俺の情報を得た。
ちなみに人名や思い出なんかは一切思い出せないのにも関わらず何故か一般常識や、果ては暗証番号なんかは知っていた。
「高校には通っていないのか...」
どうやらこの身体の元の持ち主は引きこもりだったみたいだ。
まぁ当面はお金にも困らないだろうし、
高校受験真っ只中に両親が死亡して気力がなくなったってところか。
「とはいえ良い身体してるんだよな」
そう、髪こそ伸ばし放題のボサボサで陰気さに拍車をかけているものの、何故か眉毛は整っているし髭も生えていない。そして高身長の細マッチョイケメン。
伸ばし放題の髪の毛。
高身長。
細マッチョ。
イケメン。
あいあむ高身長イケメンフサフサ細マッチョ。
「やべ、にやける」
外見にコンプレックスを抱き続けた生涯を送ってきた俺からしたらこの現状は正直言って夢なら覚めないでほしい。
二度と。
どうしてこうなったんだとか、
これからどうすればいいかとか。
正直言ってよく考えなければいけないところは沢山あるもののもう何でも良いよ。
だって、
あいあむ高身長イケメンフサフサ細マッチョなんだもん。
「しかも彼女までいるんだよな」
そう、なんと今の俺には彼女がいるのだ。
彼女がいるのだ。
しかもめちゃくちゃ可愛い。
めちゃくちゃ可愛い彼女がいるのだ(迫真)
「まぁ、とは言っても」
そう呟いて目線を操作している携帯に向ける。
そこには彼女からの動画付きメッセージ。
一糸纏わぬ姿であられもない嬌声を発している彼女と思わしき女性と、
「いぇーっい!彼氏さん見てるぅ?
彼女さんの処女もらっちゃいました〜」
コッテコテのテンプレに沿った
色黒ムキムキイケメンチャラ男が映っていた。
「...」
──まぁ、なんだ?
俺が恐らく憑依してしまったこのイケメン君からしたら耐え難い動画なんだろうけど...
正直、その...俺からしたら知らない可愛いリアル女子高生のそう言うAVを見てる感覚で...
恥ずかしながら...ふふっ...
勃起してしまいまして......
「今日はこれでいいや」
最高でした。
◇◇◇
その後、賢者(意味深)になって冷静になった頭で考えてみたが、あの動画は既に開いた形跡があった。つまり俺が憑依した承太郎君はあの動画を観てショック死した可能性がある。
いやアホかって話だけどそう思わなきゃ俺の罪悪感がやばい。
俺が意図したわけではないが結果として17歳の人生を乗っ取ってしまったことになるからだ。
話を戻すが、承太郎君と彼女さんのやり取りのメッセージを見ていて思ったことがある。
「これは寝取られても文句言えないんじゃないか?」
まぁ、なんだ。
承太郎君の気持ちも分かる。
若くして両親と死別して天涯孤独になってしまったんだからマトモな精神状態ではなかったんだろう。
でもだからと言ってこれはないだろう...
「承ちゃん、元気出して!」
「うるさい!お前には俺の気持ちなんか分からないだろ!」
やら、
「ねぇ、今日会いたいな」
「放っておいてくれ!」
やら、
「私今度の体育祭の応援団に入ったんだ〜」
無視
「団長に最近口説かれてる感じするの。
彼氏いるって言っても信じてもらえなくて。
だから承ちゃん1日だけでいいから学校にきてほしいな。彼氏ですって言ってほしい」
「そんなの無視しとけばいいじゃん」
やら...
「いや、これはダメだろう...」
そりゃ彼女なら彼氏がこんな状態になってたら支えてあげろよって思うけど、だからと言って移ろいやすい思春期真っ只中の17歳の女の子がそんな強い気持ちでいれるわけないしな...
「まぁだからと言って動画送るのはどうかなとは思うけど、見た感じ動画送信に彼女気付いてなさそうだしなぁ。正直他人事だから苛立ちもないし」
うん。とりあえず寝よう。
◇◇◇
後日、俺はまず美容室に出向き伸ばしっぱなしの髪の毛を切り、そのまま服屋を巡った。
昔、金と時間だけは有り余っていたから、
自分が高身長のイケメンだったらと妄想して
色々ヘアカタログやファッションについて勉強していたお陰で妄想を現実に出来てホクホクだ。
帰りにモデルにスカウトされちゃったり、
逆ナンされちゃったりもう最高だな!
...まぁコミュ力はゴミのままだから
全然上手く受け答えできなかったが
それでも一切嫌な顔をされずに接してもらえて、イケメン特権を存分に感じた。
そうしてウキウキで家に帰ると家の前にどこかで見たようなとんでもなく可愛い子が...
「あ、承...ちゃん?」
こちらに気付き目を丸くしている女の子...
あ、これ彼女だ。
え、どうしよう...
俺個人としてはこの子に恨みはない。
ないが、なんだか気まずい...
寝取られたてほやほやなんだよな...
「や、やぁ...」
「承ちゃん、その格好...ううん、その、あの...」
「あぁ、動画観たよ。お別れにきたのかな?」
「ち、違うのっ!...ううん、あの、その、あのね...」
「とりあえず、上がる?」
「うん...」
俺の家は住宅街にあるため、立ち話は目立つのでとりあえず家に上がってもらうことにした。
「それで?」
「うん、あのね、あの人が前言ってた団長なんだけどね。承ちゃんのこと相談に乗ってくれてて。あ、勿論学校の中でだよ!それで昨日カフェに誘われてね、あ、勿論二人きりじゃないよ、もう一人女の子の友達もいたの!で、何回か相談に乗ってもらってて断るのも申し訳ないなって思って行ったの。なんか卒業生の先輩がやってるカフェみたいで...それでね、出された飲み物飲んでたらなんかふわふわしてきてね、気づいたら友達もいなくて、先輩の家で二人きりになってて、あんなことになってて...それで私頭真っ白になって、とにかく承ちゃんに会わなきゃ!って
...ごめんね承ちゃん、裏切っちゃってごめん、ごめん、ごめんなさい...」
そう言って泣き出す彼女を見て俺は思った。
こーれ、犯罪の匂いがぷんぷんしますねえ。
いや、気づいたらあんなんなってたて。
酒か媚薬か飲まされとるやろ。
あんなテンプレ寝取り男の先輩がやってる店て。
怪しさしかないわ。
大体昨日はAVだと思ってたから疑問に思わなかったけど処女なのにあの感じ方はどう考えてもおかしいし。
俺童貞だけど。
でも、ほら、
なんとなく雰囲気でわかるじゃん?(震え声)
「うん、わかった、信じるよ」
「...本当?怒ってない?」
「うん、怒ってないよ」
「嬉しい。承ちゃん、あの、ね?
お願いがあるんだけど...」
「どうしたの?」
「私、汚されちゃったから...
承ちゃんに上書きしてほしい」
ふぁ!?!?!?!?
この後めちゃくちゃ上書きした。
◇◇◇
後日談を話そうか。
彼女を上書きして無事に童貞卒業した後は
まずは彼女の動画を持っているであろう先輩をどうにかするため俺は学校に行き、昔金と時間と贅肉を持て余してた頃に培った相撲で団長に1000本張り手をお見舞いし携帯を没収、その後平和的に暴力で脅し団長のお家にお邪魔し全てのデータを確認して消去した。
幸い先輩のお店は団長に協力はしたものの
行為自体は団長の家でしたためそれだけでデータのばら撒きは防げた。
元々のイケメンの原型もないくらいに腫れ上がった団長の顔を見ると哀れになるが、他にも同様の手口でやらかしたであろう他の女の子のデータもあったので自業自得だろう。
勿論それだけでは終わらせずにご両親や学校への報告も忘れない。
彼女のことを報告するのはあれだったので別の被害者の女の子のデータを使わせてもらった。
正直可哀想な気もしたが、見知らぬ他人より身近の彼女だ。悪く思わないでくれ...
まぁこの子、彼女が言っていた一緒にカフェに行った友達だ。
データを盾に脅されていたのかもしれないが、結果的に加害者の仲間入りをしたみたいなもんだからこれくらいはいいだろう。
無事に団長は学校を退学し少年院に入ることになった。
ちなみに団長の先輩のお店も
未成年にお酒や媚薬を出すのはやはり
今回が初めてなわけがなく、少し調査すれば余罪が出るわ出るわでちょっと警察にチクるだけであっさり潰れて逮捕まで一直線だ。
後はそうだな...
「承ちゃん、私にはいって」
「先輩、私も忘れないでください」
「承君、私でいっぱいきもちくなってね」
なんかあれから色々あって彼女の他に
モデルの後輩に高嶺の花の先輩と親密になって現在4Pの真っ最中なのはまぁ、今は説明しなくていいだろう。
〜fin〜
寝取られ主人公に憑依したら優勝した話 けら @kakuyomanaiyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます