第7話

 郭淮は、長期戦に備えて、涼州に兵糧を溜め込んでいた。

 まあ、魏は蜀漢の十倍くらいの収穫があるんだ。兵士を養うのにも、これくらいは必要だったんだろう。


 王平が、天水に残って、姜維と司馬昭が、潼関に向かった。

 食料輸送は、諸葛瞻に任せる。長安と潼関に運ばせた。

 後は、成都に連絡して、兵士をできる限り集めた。

 楊儀が、出陣許可を求めて来たけど、却下する。呉の備えなのだ。それと、楊儀は、戦争の指揮権を持ったことがない筈だ。


「これで、できることは終わったかな~」


 斥候を放って、各地の戦況を収集する日々が始まった。





 魏軍は、三軍に分かれた。上庸と長安と潼関に攻め込んで来たのだ。

 アホとしか言いようがない。戦力は集中させるべきだろうに。

 でも、こちらも分散して兵力を配置している。空いた軍は、敵の背後を突く予定だったんだけど。


「こうなると長期戦だな~」


 そう思ったんだけど、呉が動いた。合肥城を落としてくれたのだ。そのまま、洛陽に攻めかかる。陸遜は、やっぱ優秀だな~。部下に欲しいよ。

 背後を取られた魏軍は、慌てて撤退だ。

 蜀漢は、その背後を大いに撃った。


 戻って来た将軍たちは、自慢げに手柄を報告する。

 もうね、劉家の宝物を全部吐き出したよ。

 俺の財産は、スッカラカンだよ。嬉しいので、いいんだけどね。


 呉軍は、洛陽を落とせなかった。流石に兵力差があり過ぎたか。でも合肥城を取ったので、魏としては、戦略上かなり痛いだろう。

 守るべき城が、大量に増えてしまったからだ。


 蜀漢は、涼州を完全に掌握した。

 それと、楊儀は襄陽を落とした……。まあ、洛陽に兵を送って、ほぼ空だったんだけどね。空き巣戦法と言っていい。

 楊儀を荊州牧に任命すると、忠誠心爆上がりだったよ。宝物はなかったけど、許してね。





「う~ん。兵を失い過ぎたね~」


「……攻め時なのですが、こればかりは、どうしようもありませんでした」


 司馬昭君がいなければ、守れなかったのは、誰もが知っている。


「別に、責めてないよ? 魏も呉も継戦は無理だろうし。魏延将軍は、徴兵と練兵をお願いね」


「承知っす。お任せを」


 これからは、国力の回復次第だな~。三国の内どの国が一番戦力を整えるのが早いか……。


「朕は、成都に帰るね~。防衛はお願いね~」


「「「はっ!」」」



 まあ、攻めなければ、兵が大幅に減ることもないだろう。唯一の懸念は楊儀かな~。

 でも、そんなに兵士を預けてないし、荊州を統治してくれるのであれば、任せてみよう。諸葛丞相が目をかけていた人物なんだし、隠れた才能があるかもしんない。





 成都に帰って来た。

 何年ぶりかな~。


 董允・蔣琬・費禕は、生きていた。これも、正史と違うな~。

 もしかして、劉禅がストレスだった?


「長い間、留守にしてゴメンね~。それと、救援は助かったのよ~。ありがとうね~」


「「「はっ! ありがたき幸せ!」」」


「これからは、内政に力を入れるから、引き続き協力をお願いね~」


「「「もちろんっす!」」」


 いいね、いいね。蜀漢って人がいなくて、諸葛丞相ワンマン国って思われてたけど、有能な人材がいたんじゃん。


「陛下? どうかなされましたか?」


 にやけてしまっていたか。


「皆が頼もしくてさ~。とても嬉しいのよ~」



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