第7話
郭淮は、長期戦に備えて、涼州に兵糧を溜め込んでいた。
まあ、魏は蜀漢の十倍くらいの収穫があるんだ。兵士を養うのにも、これくらいは必要だったんだろう。
王平が、天水に残って、姜維と司馬昭が、潼関に向かった。
食料輸送は、諸葛瞻に任せる。長安と潼関に運ばせた。
後は、成都に連絡して、兵士をできる限り集めた。
楊儀が、出陣許可を求めて来たけど、却下する。呉の備えなのだ。それと、楊儀は、戦争の指揮権を持ったことがない筈だ。
「これで、できることは終わったかな~」
斥候を放って、各地の戦況を収集する日々が始まった。
◇
魏軍は、三軍に分かれた。上庸と長安と潼関に攻め込んで来たのだ。
アホとしか言いようがない。戦力は集中させるべきだろうに。
でも、こちらも分散して兵力を配置している。空いた軍は、敵の背後を突く予定だったんだけど。
「こうなると長期戦だな~」
そう思ったんだけど、呉が動いた。合肥城を落としてくれたのだ。そのまま、洛陽に攻めかかる。陸遜は、やっぱ優秀だな~。部下に欲しいよ。
背後を取られた魏軍は、慌てて撤退だ。
蜀漢は、その背後を大いに撃った。
戻って来た将軍たちは、自慢げに手柄を報告する。
もうね、劉家の宝物を全部吐き出したよ。
俺の財産は、スッカラカンだよ。嬉しいので、いいんだけどね。
呉軍は、洛陽を落とせなかった。流石に兵力差があり過ぎたか。でも合肥城を取ったので、魏としては、戦略上かなり痛いだろう。
守るべき城が、大量に増えてしまったからだ。
蜀漢は、涼州を完全に掌握した。
それと、楊儀は襄陽を落とした……。まあ、洛陽に兵を送って、ほぼ空だったんだけどね。空き巣戦法と言っていい。
楊儀を荊州牧に任命すると、忠誠心爆上がりだったよ。宝物はなかったけど、許してね。
◇
「う~ん。兵を失い過ぎたね~」
「……攻め時なのですが、こればかりは、どうしようもありませんでした」
司馬昭君がいなければ、守れなかったのは、誰もが知っている。
「別に、責めてないよ? 魏も呉も継戦は無理だろうし。魏延将軍は、徴兵と練兵をお願いね」
「承知っす。お任せを」
これからは、国力の回復次第だな~。三国の内どの国が一番戦力を整えるのが早いか……。
「朕は、成都に帰るね~。防衛はお願いね~」
「「「はっ!」」」
まあ、攻めなければ、兵が大幅に減ることもないだろう。唯一の懸念は楊儀かな~。
でも、そんなに兵士を預けてないし、荊州を統治してくれるのであれば、任せてみよう。諸葛丞相が目をかけていた人物なんだし、隠れた才能があるかもしんない。
◇
成都に帰って来た。
何年ぶりかな~。
董允・蔣琬・費禕は、生きていた。これも、正史と違うな~。
もしかして、劉禅がストレスだった?
「長い間、留守にしてゴメンね~。それと、救援は助かったのよ~。ありがとうね~」
「「「はっ! ありがたき幸せ!」」」
「これからは、内政に力を入れるから、引き続き協力をお願いね~」
「「「もちろんっす!」」」
いいね、いいね。蜀漢って人がいなくて、諸葛丞相ワンマン国って思われてたけど、有能な人材がいたんじゃん。
「陛下? どうかなされましたか?」
にやけてしまっていたか。
「皆が頼もしくてさ~。とても嬉しいのよ~」
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