第6話
俺は、漢中でお留守番だ。
総大将は、王平とした。張翼と廖化は上庸のお留守番だ。
王平は、文字も読めない欠点もあるけど、土地勘がある。参謀に司馬昭だ。それと、蜀漢で登用した、他の雑将軍も同行させるけど、文字数的に割愛。
糧道の確保に、
「う~ん。大丈夫かな~」
少し、心配だ。
「我も行きましょうか?」
魏延を見る。
こいつ、命令違反すんだよな~。戦端を広げ過ぎると防衛が薄くなり過ぎる。
それに、父の劉備は、魏延を守備の要にした。
「一応、援軍の準備をしておいてね~。臨機応変に出て貰うから」
「はっ!」
嬉しそうだな。でも、漢中の安定には、魏延が最適なんだよね~。練兵も上手いし。
◇
一ヵ月後、長安と潼関が陥落したと連絡があった。
「マジ?」
木簡を見て、驚いた。都を落としちゃったの? マジで?
さて、どうしようかな~。
魏延、張翼、廖化が、援軍として挙手して来た。
兵力は、まだ十分にある。長安に援軍を一万人送れば、そうそう落とされることもないだろう。
ここで、成都より
蔣琬当たりの采配だな~。
「趙統君。長安と潼関に行ってくれる?」
「OKっす。任せてください」
まあ、彼に任せてみるか。
三人の将軍は、不満みたいだけど、多方面から攻められてもいる。不満を口には出さなかった。俺は、皇帝なんだしね。
◇
魏は、混乱の極みだとか。魏の都の鄴は、騒乱状態みたいだ。
内乱なんかしてるから、長安を落とされちゃうんだよ。それと、幽州での反乱はどうなったのかな? 対応できてるんかね? 公孫淵君は、実は優秀だった?
「洛陽に攻め込むべきです! 今しかありません!」
司馬師からの提案だった。
う~ん。地図を見る。
『呉が裏切って来たら、楊儀では止められないよな~。それに天水には、郭淮がいる。背後が怖い。戦端を広げ過ぎだよな~』
少し考えた。後顧の憂いを断つべきだ。
「司馬師君。悪いんだけど、天水城を攻略してくんない? 姜維と王平に合流して欲しいんだけど」
戦略を否定して、別な場所を攻めさせる。魏の張郃将軍は、これで袁紹を裏切ったんだよな~。
「委細承知! 郭淮を捉えて来ます!」
おう? 大丈夫そうだ。
戦略に明るいんだね。
◇
一ヵ月後、天水が落ちたと連絡があった。
マジに、司馬家は、麒麟児だな。
王平と姜維は、涼州南部と長安までの都市の平定に尽力してくれた。異民族も多いので、時間をかけて交渉して貰おう。
そうすると、魏が軍を起こした。
総勢、五十万人だ。曹叡も本気を出して来たな。
でもね~、時間をかけ過ぎ。こちらも、戦略を練ってんだよ。
呉に援軍を要請する。今なら、合肥城も落とせるだろう。陸遜も優秀だし、理解していると期待しよう。
「魏延君、張翼君、廖化君。天下分け目の合戦になりそうだ。司馬兄弟が兵法に明るいんだけど、従ってくれないかな~」
「「「もちっす。実績十分だし、信頼できるっす!」」」
いいね、いいね。味方が厚い信頼で結ばれている感じがするよ。これ、勝てんじゃない?
「朕も行くね。跡継ぎは長男の
劉璿は……、遊び人だったけど、蔣琬と費禕に命令して、内政を学ばせた。騎射を嗜みたいと言って来たら、上庸に派遣して、本物の戦争に参加させる。
すると、人が変わったように真面目に内政を学んでくれた。
「「「ダメっす。漢中で吉報をお待ちください」」」
え~。俺も兵法とか使ってみたかったのに……。
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