第28話ああ、これで終わってしまった

学際の日がやってきた。




学際でソフィアとユリウス王子が演じるのは「永遠の誓い」という、この国で昔から伝わっているというおとぎ話。


それは簡単にいってしまえばシンデレラに少しアレンジを加えたような話。


この世界がゲームだった時も二人はゲーム内イベントでこれを演じていた。




私は二人が演じるところを観客として見ているところだった。




ナレーターの女子生徒がマイクを持って物語の進行をし始めた。




「――マリーは三人の姉からいじめられていました。家の雑用を押し付けられ、家から一歩も外に出ることを許されなかった。三人の姉たちはそんなマリーをよそに贅沢三昧な毎日を過ごしておりました」




ソフィアはマリー役を演じていた。


彼女はボロボロの恰好をした使用人のような見た目をしていた。




ナレーターの女子生徒が進行をし、演者が演じるといったのを交互に繰り返していった。




この「永遠の誓い」という物語を要約すると、魔法使いの力で華麗な姿に変身したマリーが、舞踏会に行き、そこで王子の目に留まり一緒に手をとり踊る。けれど魔法の効力が切れてしまう時間が近づいてきたので、マリーは王子に別れを告げて王子のもとを去っていった。


そして王子は舞踏会で会ったマリーのことを忘れられず、国そうででマリーを探すことになる。


噂によってマリーのいる屋敷へと行きついた王子。


そこではマリーの他に三人の姉たちが候補に上がる。


物語はそこでいよいよクライマックスへと近づいていた――。




ナレーターが話し始める。




「王子は四姉妹の長女が、その人ではないと分かりました、何故なら長女は、王子の持つ王家の紋章にしか目に入っていなかったからです。彼女は王子の持つ権力にしか興味がなかったのです。次に次女が、その人ではないと分かりました。何故なら次女は、王子の持つ豪奢な宝石にしか目に入っていなかったからです。彼女は王子の持つ財にしか興味がなかったのです。次に三女が、その人ではないと分かりました。何故なら彼女は、王子の持つ容姿にしか目に入っていなかったからです。彼女は王子の持つ容姿にしか興味がなかったのです。次に四女のマリーを見ると、王子は彼女こそその人であると分かりました。何故なら彼女は王子の持つ聡明な目をじっと見つめていたからです。彼女は王子の持つ人間性に心惹かれていたようだからです――」




――王子を演じているユリウス様がこう言いました。




「ああ、あなたのそのガラスのように透き通った純粋な目こそ、まさしくその人である証しだ。


美しい人よ。聡明な人よ。愛しい人よ。どうか私の手を取っては頂けないでしょうか?


もし、私の手をとって頂けるのなら私はあなたを永遠に愛し、裏切ることなくあなたの側にいることでしょう」




そのユリウス様のセリフにソフィアがこう言った。




「はい、王子様。私もあなたを永遠に愛し、裏切ることなくあなたのお側にいることでしょう」




ここでナレーションが入った。




「これは、王子様とお姫様の物語。


聡明な王子様と、純粋なお姫様の愛の物語――」




そして物語はここで終わった――。






――これでユリウス様とソフィアの二人は結ばれることが決まった。

これで結ばれる確定ルートに入ったのだ。

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