3章 揺れに揺れるこの想い
駅前の噴水広場の前で流れて行く人を見ていた。
自分と同じように立ち止まっている女の子も男の子もすぐに待ち人が来ては去っていく。
自分の待ち人が来ないのは不満だが、それも仕方がない。つかさは今日のことが楽しみすぎて、朝はいつもより早く起きてしまい、同居しているのだから一緒に家を出ればいいものをドキドキが止まらず、いても立ってもいられないので先に家を出てしまっていた。
新も気を使って早く来てくれればいいのに。
つかさは文句を言いながらも、どこか嫌じゃないこの気分を楽しんでいた。それでも、改札から人の波が押し寄せるたびに待ち人の姿を探した。数分毎に心拍数は上がり、心臓に悪い。
つかさは初めてのこの感情がなんなのかを知らないほど幼くはない。この気持ちが心の奥からにじみ出てくるのに、そう時間はかかっていないが、自分は半端な気持ちじゃない。ただ、空気に流されたわけでもない。
この気持ちは自分の意思だ。誰かに言われたからではない。
確信していた。
つかさは時計に目をやる。約束の時間はゆっくりではあるが確実に近づいていた。
時間が進むにつれて、どうでもいいことまで気になってくる。
この格好はかわいいだろうか、楽しく会話できるだろうか。
ドキドキが膨れ上がり、思わず自分の心音に「うるさい!」と叫んでしまいそうになる。
平常心、平常心。
つかさが自分に言い聞かせている最中に「お待たせ」と、自分の待ち人が不意に声をかけてきた。
「ぴゅあい!」
ずっと周囲を見渡していたはずなのに、少し目を離した瞬間の出来事に、つかさは自分でも聞いたことのない高音で未言語の悲鳴を上げる。
「………」
声をかけた新も相手のあまりな驚きぶりに二の句が継げない。
新が来たら、羨ましく見ていたカップルのように、仲睦まじく出発しようと思っていたが、あまりの恥ずかしさに、「お、遅いぞ」という照れ隠しの文句を口にすることしかできない。
「いや、遅いって」
新は腕時計の時間を確認し、首を傾げた。
「まだ約束の時間より二十分も前じゃないか」
「女の子よりも先にくるのが常識じゃないか」
本当は二時間以上も前に到着し、待ちに待った瞬間でもあるのだが、つかさは素っ気ない態度を継続してしまう。
「そうだな。お前が先に出て行ったことをもっと気にかけるべきだった。悪い」
「違う」
頭を下げる新につかさは頭を振る。
「お前じゃない。昨日、つかさと呼んでくれと言ったじゃないか」
いきなりの他人行儀な呼び方に思わずムッとする。
「そうだったな。ごめんな、つかさ」
「ふ、ふんっ。わかればいいんだ、わかれば。で、他にいうべきことはないのか?」
つかさはにやける口元を必死に引き締めながら、もう一つ、新に質問を投げかけた。
「他? 髪切った?」
「違う。わかるだろ?」
つかさは鈍感な新のために、ヒラヒラしているスカートを軽くつまんでゆっくりと一回転した。
黒を基調とし、機能性を無視したその服装は街の中ではとても異質であったが、不思議の国であればなにも問題はない。
「か、カワイイだ、ろ?」
つかさはテレリテリと新に感想を求める。新は数秒、つかさを見つめた後、「うん、似合ってるよ」と声をかけた。
「そ、そうか!」
今日の朝から鏡の前で悩みに悩み、これ以上悩んでも堂々巡りになってしまうことに気づいて、鏡の前から離れた。自分のセンスを問われる場面だっただけに褒められるのは素直に嬉しい。
「けど、近場へ行くにしては目立ちすぎじゃないか?」
「え? だって、今日はデートに」
「当面の生活雑貨を買いに行くだけだろ?」
新の言葉でつかさの頭に疑問符がつく。たしかに新の格好はいつもと同じでゴミだしやコンビニに出かけるようなラフな格好だった。
「小雨からはなんて言われてたんだ?」
自分からアプローチしたわけではないためか、二人の間に温度差がある。
「えっ? ただ買い物に行けっていうメールが届いただけだけど。ほら、これ」
新は小雨から送られてきたメールの文面を見せる。
液晶画面には、無題のまま、「明日、お嬢様と買い物に行ってきて下さい。午前十一時に噴水前でお願いします」と、飾り気のない、用件だけが書かれた文面があった。
「日用品の買い出しに男手が必要なんだろ。そのぐらい、お安い御用だ」
小雨からの買い物をという言葉をそのまま飲み込む新につかさは思わず肩を落とす。ドキドキしていたのは自分だけだった。
「このあたりはホームセンターや百円ショップもあるから揃わない物はないと思うぞ。あと、帰りに薬局寄っていいか? 今日はティッシュがお買い得なんだよ」
新は今日の新聞に折り込まれていたチラシを取り出し、嬉々としている。その笑顔につかさは思わずイラッときた。素早い動作で新からチラシを奪い取り、近くのくずかごへ力一杯、投げ入れた。
「なに? えっ、なんか怒ってる?」
ショッピングが悪いとは言わない。たまにホームセンターへ行くのも目新しくてそれはそれでいいだろう。
けれど、今日は男女二人でおでかけ。自分たち二人にとっては初めてのおでかけ。
新はそう思っていなくても、自分は意識していた。だから、少しくらいは、今日くらいは日常の延長線上でなくて、思い返せば綺麗な思い出になるものが欲しかった。
「きょ、今日はデートだ。もっと、ロマンチックに行こう」
「お、おう」
つかさのすさまじい剣幕に新もたじろく。
二人は人目のつく、待ち合わせ場所から離れるが、目的地は決めていない。だからこそ、当然の疑問が新の口を吐く。
「けど、これからどこにいくんだ? 俺はなんも予定なんて立ててないぞ」
新の質問につかさの動きが止まる。昨晩、妄想の世界に耽っていたが、そこでは新とイチャイチャすることが思考を占めていたので段取りなんてものはまったく立てていなかった。
「あ、新はどこか行きたいところはないのか?」
どうせなら男の子にリードして貰いたい。そんな希望を暗に伝える。
「それなら、コーナ」
「それは却下だ」
心の準備もしてないデートならば、予定していた買い物に行こうとしたが、それは許してくれなかった。
新はそれならばと考えるが、中々案が出てこない。デートの定番でもある遊園地や水族館は今から移動するならば場所的に時間がかかりすぎる。
周囲を見渡せば、カップルたちは各々の目的地へ楽しそうに向かっている。
彼女らは今からどこにいくのか? 彼らについていけばそれっぽいところに連れていってくれるような気がしたが、それはダメだろう。
「あ、あんまり考えないでいいぞ。新がいつも行ってるところでも僕は満足できる」
自分の希望はさっき却下されたじゃんみたいな文句は言わない。新は自分の日常を振り返り、「それならいい場所がある」と、一つの場所が思い浮かんだ。
待ち合わせ場所から歩いて二十分ほど。新に連れられてきたのは、市民の憩いの場、森林公園だった。
「なんでこんなとこ?」
入口に差しかかったところでつかさは聞いた。
「不満か?」
「いや、そんなことない。ないけどさ」
新と二人ならばどこでも楽しめると思ったのは嘘ではない。
けれど、この場所が真っ昼間に若い男女がいるべき場所とは思えない。周りには老夫婦や家族連れがちらほらと見受けられるが、自分たちと同じ年代はいない。
新はつかさを気にせず、公園の奥へ進んでいき、ハイキングコースと書かれた緩やかな坂道をスタスタと登っていく。
「どこまでいくのさ」
会話らしい会話もないままにかれこれ一時間近くも上り坂を歩かされ、つかさは思わず文句の一つも言いたくなった。
「もう少しだよ」
「さっきからずっとそればっかりじゃないか。新のよく行く場所でいいとは言ったけど、ちょっと疲れてきたよ」
「まぁまぁ。きっと、つかさも喜んでくれると思うな」
「本当だろうな。もし、そうじゃなかったら」
つかさは下を向きながらぶつくさと文句をいっていたが、前を歩いていた新が立ち止まったので、自分もそれに倣う。
「どうしたんだ?」
「目的地に到着だ。ほら、登ってみろよ」
つかさが顔を上げて、新が指差す方向を見てみると、そこには木でできた十段ほどの階段と景色を展望するための櫓があった。
つかさは言われるままに登った。たった十歩。今までの道のりにくらべれば一パーセントにも満たない歩数ではあるが、新に促されるとどこか緊張した面持ちで歩を進めた。
櫓の頂点に到達すると、眼前に広がる予想以上の眺望に思わず息をのむ。
街全体を見渡せる大パノラマ。見通しがよくなったおかげか、今までは感じなかった心地いいそよ風が肌を刺激する。
「ほえ~」
つかさは手すりにつかまり、景色を満喫しようと見惚れていた。
新はその反応に満足し、つかさの隣に並びたち、「俺、ここから見る景色が好きなんだ」と呟いた。
「昼間に来ると清々しい街の姿が、真夜中に来ると怯えるほどに暗い街並みが、朝に来ると日に照らされる神々しい情景が見れるんだ。たまにはいいだろ、こういうゆっくりとした時間の流れが感じられる場所っていうのも」
つかさは黙って聞いていた。
「ここが俺の紹介したかった場所なんだけど、気にいってくれたか?」
「もちろんだ」
「なら、ここで少し休憩するか」
「そうだな。けど、僕はもう少しこの景色を見ていていいか?」
「かまわないよ」
つかさは手すりから身を乗り出して、景色を堪能していた。新はつかさの横顔を見ていた。
壮大な景色はいつ見ても、どれだけ見ても飽きることはない。
「遅くなりすぎたけど、そろそろ、昼にしようか」
新は放っておけばいつまでも景色に見入っていそうなつかさのために、休憩所近くの山小屋みたいな売店でサンドイッチや缶コーヒーを購入してきた。
つかさもさすがに空腹に気づかされたのか、振りかえって、「うん」と頷く。
二人は階段を下り、脇に設置されたベンチに腰掛けると、買物袋を敷物がわりにその上に食べ物を置いた。
「好きなのをどうぞ」
新に促されつかさは玉子サンドを手に取った。
「こういうところに来るなら、前もって僕がお弁当の準備でもしたのにさ」
玉子サンドの包装をペリペリはがしながら、つかさはまったく怒気も不満も含まれない文句を言う。
「仕方ないだろ、急なことだったんだから。けど、こういう食事もたまにはいいもんだろ」
「たしかに、悪くない」
お世辞にも売店のサンドイッチはおいしいとは言えない。これなら、自分で作った方が数倍はおいしいはずだ。それでも、楽しい食事と感じてしまうのは自然の中で、なにより、新と一緒だからか。
食事中、特別会話が弾むことはない。木漏れ日の間から聞こえる風の音、たまに聞こえる小鳥のさえずり。そのBGMだけで、満ち足りた雰囲気の中にいた。
本当は、オシャレなカフェで昼食を取り、街中で楽しくショッピングをし、ロマンティックな海辺なんかでいい雰囲気に、なんてことを期待していた。
今もいい雰囲気に違いはない。二人で一緒にでかけて、二人で一緒にご飯を食べて、二人で一緒に景色を眺める。想像していた未来とそう違わないが新の横顔を盗み見ると、その表情からは学生が異性と二人っきりでいるという緊張やらドキドキは読み取れない。それが熟年夫婦であれば、互いに膨大な月日を過ごしていたならばその表情もにこやかに見ていられるだろうが、そうではない。
もしかして、自分を女の子としてみていないんじゃないか?
そんな不満も出てくるが、今はこののどかな空間を自分から壊したくはない。
だから会話もあまりなく、時間の浪費に見えなくもないこの時の流れも、つかさは居心地が悪いとは思わなかった。
今までの張りつめた雰囲気とは違う、どこか弛緩した日常。
ずっと、こんな時が続いてもいいかなと、思い始めたところで、その空気を一瞬で切り裂く言葉が投げられた。
「お前はなにをしてるんだ?」
低い、威圧感のある男の声がはっきりと耳の内側に響く。その声に、つかさの表情はみるみると強張り、怯え、震えが全身を支配していく。
新は声の方へ向き直った。年の頃は四十を超えたくらいか。純黒のスーツを身にまとった百八十はあろうかという男が落ち着いた顔で怒気をにじませている。いくらニュースをあまり見ない自分でもこの男くらいは知っていた。
「……お父様」
つかさは父親に視線を向けられ、完全に硬直してしまった。
「お前はなにをしているんだ?」
声の主は、険しい目つき顔で鉛のように重い声色をこちらへ向けてくる。
「あ、新とデートをしていました」
つかさは声を絞り出す。
「デートか?」
「そ、そうです」
男は二人の距離を見つめながら、そっと溜め息を吐く。
「この後はどうするんだ?」
「か、考えていません。新に任せようかと。そ、それよりも、お父様はどうしてここに?」
「湊川からお前たちが出かけると連絡を受けてな。親心から見守るつもりだったんだが」
男は実の娘に対して、あろうことか侮蔑の眼を向けた。
「お前の役目はなんだ?」
「長田の能力を三宮にいれることです」
つかさは男の質問に対して、矢継ぎ早に答える。コンマ一秒でも彼の時間を無駄にすることは許されなかった。本人が横にいることも忘れ、あまり聞いてもらいたくない理由も簡単に口にする。
「それにしては、いささか時間を無駄にしていないか?」
「すみません」
男の低音につかさはびくつく。つかさはしゅんとなり、下を向いて蚊の泣き声の細さで謝った。
「謝罪の言葉を聞きたいわけじゃない。お前の段取りを聞きたいんだ」
「すみません」
「もうちょっと考えて行動してくれないか?」
「すみません」
男は軽く舌打ちをした。つかさの態度が気にくわないのだろう。
「私の時間を無駄にするな」
「すみません、すみません、すみません」
つかさは呪詛の如く謝罪の言葉を連呼する。男の時間を無駄にしてはいけないが、今の自分には謝ることしかできない。
「………」
謝る時間があれば使命をまっとうしろ。男はそう言っているように見えた。
その間、新は押し黙り、相手を睨む。相手は世界のVIP。自分なんかがどうこう物言える立場ではないと自分に言い聞かせなければ、手が出てしまいそうだった。
男は新の方を向き、社交的な笑みを浮かべてくる。
「はじめまして。紹介が遅れて申し訳ない、長田新くん。私は、つかさの父である三宮源一郎だ。名前と顔くらいは知っているかな? よろしく頼むよ」
三宮源一郎は、そう言って、右手を差し出してきた。相手は自分が視界に入っていなかったわけではないようだ。
「はじめまして、長田新と申します。飛ぶ鳥落とす勢いの三宮さんにお会いできて光栄です」
新は頭を下げながら、しっかりと握手に応じた。姿勢と言葉は下手であっても、交わした握手は対等の気概で応じた。新はつかさに対する威圧的な態度になにも思わなかったわけでない。
源一郎はその態度に「ほうっ」と感嘆の声を上げる。
「今どき珍しくきちんとした若者だ。あの男の息子とは思えないな」
「父をご存じで?」
「古い知り合いだ」
つかさとの婚約話が話に上がるのだから、まったくの他人ではないと思っていたが、改めて本人から聞かされると驚いてしまう。放浪癖のある自由奔放を地で行く父親の交友関係の広さには唖然とする時がある。
「挨拶のすぐ後で申し訳ないが、私もなかなかに忙しい身でね。今日は顔合わせだけで失礼することを許してほしい」
新がなにかを聞こうとする前に源一郎は話を収束に向かわせる。源一郎はこの場で強引にでも、二人の婚姻関係を結ばせようとしていたが、つかさの雰囲気、新の顔つきに今は機でないと判断した。
「今度は公式に時間を作ろう。その時にいろいろと積もる話をしよう。そう、いろいろね」
「三宮さん。時間がないのは百も承知ですが、いくつか質問させて欲しいことがあります」
源一郎が背を向ける前に新が呼びとめる。源一郎はその呼びかけに苦笑いをしながら応えた。
「私から勝手に邪魔をしたんだ。許可しよう」
「ありがとうございます。では、まず、一つ。なんで私、なんですか?」
今回の件の始まりに、自分たちの意思はない。首謀者の本音を聞きたかった。
「それくらい、私の口から聞かなくても知れるだろう?」
源一郎も相手の能力を確認したいのか、新を挑発する言葉を取るが、それに乗る新ではない。
「これはむやみやたらと乱発していいものではありませんので」
新の言葉に源一郎も好感を持った。この齢で自分の価値を知っているのはなかなかできるものではない。
源一郎は素直に言葉を続ける。
「君は特別な人間だ。君は自分のことをどう思っているかは知らないが、君の市場価値は高い」
ならば、別にそんな手段でなくても。そんな言葉を口にしようとして、遮られる。
「君個人も有能に見えるが、私は、君の血が欲しい。三宮の成長には君の血が必要だ」
理由は簡単なものだった。源一郎は自分一代で築いた三宮をそこで終わらせる気がないらしい。
さすがは天下の有名人といったところか。源一郎の口からは打算めいたもののない、直球の言葉が出てくる。
これなら、自分の能力を見せる必要もないのだが。
「………」
下を向き、泣いている女の子が横にいて、黙っているなんてことは男のすることじゃない。
新は相手の胸に勢いよく右手の平を突き付けた。
無礼を承知の行動であったが、相手は気に留めることもしない。だから、どんどんと新の脳内に相手の考えが流れ込んでくる。
いつまでも相手の思考を読むことはできたが、新は自分からその手を離した。
「………」
そして、言葉に詰まる。
三宮源一郎のことを傲慢な男だと思っていた。つかさのことなんて、一族を繁栄させる道具にしか思っていないと感じた。
「もういいかな」
源一郎は分の本心を知られたというのに、まったく動揺もせずに新を見た。
「では、私はこれで失礼させてもらおう」
要件が済んだのか、源一郎は踵を返し、歩を進めていく。二人はただ黙ったまま、その後ろ姿を見送った。
声をかけた方がいいのか、これは自分が間に入っていい問題なのか新は悩む。
先ほどまでのほのぼのとした空気、楽しい雰囲気は霧散してしまったが、これでいいはずはない。
しかし、「どうして」と、沈黙を切り裂き、最初に言葉を発したのはつかさだった。
「どうして、そうなことを言うんですか」
つかさは下を向き、父親に言いたかった言葉が地面に落ちる。
「僕の、僕の意志で動き出した恋も、自由にはさせてくれないのですか」
新はポツポツとこぼれ出る言葉になにも言わなかった。ここで言葉をかけてもすべては嘘くさくなる。今はつかさのそばにいることが最善だった。
「……帰る」
どれくらい時間が経っただろうか。いつのまにか、日も傾いてきた頃に、ようやくつかさは新に話しかけた。声こそ気丈であったが、目元は赤い。
「そうだな」
新はなにも言わず、つかさに従う。
「………」
つかさはそっと新の手をにぎり、新もその手を離さない。
「……ありがとう」
その優しさが、つかさに一つの決意をさせた。
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