第9話 修学旅行①
陰陽師の彼と河童のコタロー、自然科学研究の父と結菜の四人で住むこととなってから1、2ヶ月が経た。だんだんこの村の平和さに慣れてきた頃。
そんなある日、学校にて--------------
担任の先生から伝えられる、小学六年生といえば修学旅行がある。
「ということで、今度の土日で修学旅行を決行しま〜す!」
いきなり言われた。普通なら前もって伝えられるが、この学校は小学六年生が5人のみだから。一週間前に言われても準備は間に合うのだ。
「行き先は京都で〜す!」
あ、楓くんの故郷だ!っと思った結菜であった。
▪︎
放課後、5人の友達と途中まで一緒に帰ってやっと家に辿り着いた。その間、京都でどこに行くのか計画をお喋りしながらワクワク気分に足運びが軽やかになっていた。何やらたくさん目線を感じたが、それよりも楽しみが勝った。そして、家に帰りすぐに家族に伝えた。
「父さん、今度の土日!京都行くから!」
「京都!?...ああ、修学旅行か?」
「うん!修学旅行でね、京都行くんだ!」
その父との会話を横目で見ている者。
「おい、楓...結菜が京都に行くぞ?」
「俺の故郷じゃないか...戻りたいけど、まだ責務を遂行していないから戻れない。一緒には行けないな。」
「...お前なら信頼できるかもな...」
陰陽師の彼は疑問に思った。
「今、結菜と父が話している。少し結菜の部屋に来てくれ。」
こそこそと小さな声で伝え、ゆっくりペタペタと階段を上がっていった。
彼らに気づかれることなく、楓もコタローに着いて行った。
「なんだ?俺を呼んでさ」
「初めて会った時、城守家の後継が結菜だと伝えたな?」
「ああ、聞いている。そのことについて調べようにもお前が調べるなって言ってきたから調べてないぞ」
「従順だな.........結菜の母、城守零が命を落としてまで、結菜をこの地から逃した。でも、なぜか帰ってきた。」
楓は驚いた。
「結菜を逃した?!」
「ああ、結菜と夫をこの朱鳥村、城守家の管轄から逃したのだ。でも、戻ってきた。ワイは普通に考えればあの父、零の夫が怪しいと考えている。」
「確かに...」
「ワイはコダマらに彼を尾行させた。そしたら、ある夜に城守家の方へ向かったのを見たらしい。ワイらは監視されている。」
「じゃ、じゃあ!今も監視されてるんじゃ?」
「今は、わいの小規模な結界で念の為遮断しようとはしているが、監視の魔の手が届いているかは知らん。」
「...っで、俺に何をさせたい?」
「ワイの呪いはその零が付与した。彼女は呪言の人妖だ。結菜にも妖力が流れている。お前には結菜と一緒に京都へ行き、彼女に妖力を覚醒させてほしい」
「なぜ、妖力を覚醒させる?」
「城守家との対立してしまった時、結菜が対抗するための術を持たせるため...」
「お前はなぜ京都に来ない?」
「ワイは零の呪いでこの地を離れられない。現在、城守家が何を目論んでいるのかまだわからない。でも、いつかは結菜に接触するはずだ。」
「もし俺が京都で彼女を祓ったらどうするつもりだ?」
「...君には祓えない。もし祓えばより恐ろしい畏れがやってくるぞ」
楓はしぶしぶ承諾した。城守家が何やら良くないことを計画していることをコタローの真剣な表情を察したから。本当は戻る必要がないのに、彼は結菜と修学旅行に行く。
ちょうど京都出身のお兄さんとして、
▪︎
「妖天女様、結菜様が京都に行かれるようです」
小天狗らが報告しに来た。
「君たち、零の呪いはまだ憑いているの?」
「はい...かたじけないです」
「ふーん、典道に任せるかしら。人間社会における我々の目を、ね」
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