第4話 愛、そして事実の告白

会場の電気が落とされた。例のゲーム大会か?それともまだ見たことない社長の登場か?


沈黙が続き、およそ30秒後に再び明かりがついた。


私以外誰もいなかった。


え?は?どうゆうこと?もしかして、かくれんぼ大会だったりした?私が鬼ですか?それとも私だけ異世界転生しましたか?なら悪役令嬢になってるんですか?


って、んなわけあるかぁぁぁっ!


え、みんな本当にどこに行ったんですか?結局今までのことは全て夢だったの?結局私には地味な生活しかないの?一人になった孤独を久しぶりに感じた。


私のネガティブ思考加速を停止させたのは会場の入り口付近からの爆発音だった。

白い煙がもくもくと会場へと侵入しているなか、扉の外に人の影が見える。煙でシルエットしか分からないが、男性だろう。


コツコツコツと靴が歩みを響かせて私の方へ近づいてくる。身構えた。転生していないんだから、私のレベルは皆無だ。


コツ、コツ。...コツッ。


「誰だ、まだパーティー気分でいるのは。もう任務は開始しているぞ。」


何度も聞いたことのある声。


「腰でも抜けたか、この愚か者。」


知っている、この威圧感。この気高さ。


「名を名乗れ!」



繊月海斗が煙の中から登場した。



綺麗。好き。画面の中では紫がかった黒髪だったけど、現実ではシルバーだ。距離があってもまつげが長く,鼻が高いと分かる。黒いスーツが体の細さを表現している。白煙がまるで繊月海斗を恐れているかのように薄れていく。ゴールドなホテルに黒いスーツを見にまとった海斗様。美の骨頂だ。


「おい、固まっていないで名前ぐらい言ったらどうなんだ?それとも間違えて入り込んだ一般客か?」


「...好きです!」


「は?お前は何を言って、」


「ずっとずっとあなたのことが好きです。言葉遣い、目線、手の動かし方、ゲームのプレイの仕方、他のライバーとの絡みの時の立ち回りetc!どの場面を切り取っても愛おしいです!」


「さっきから何を言っているんだ!一般客は入らないはずなんだぞ!いくらファンといえど、節度を守れ!」


「はっ、すみません。私は第5期生の『如月ぽみ』です。今日はちゃんと事務所からの招待状をいただいてこの場にいますので、不法侵入とかじゃないです。

それよりみなさんはどこに行かれたのかご存知ですか?それともこの世界は私と海斗様の2人きりになったのでしょうか。」


「ふざけるのは大概にしろ。というか、如月ぽみと言ったな。お前、何も聞かされてないのか?」


「えっと何の話をしているのでしょうか?」


その言葉を発した時、扉からまた人が何人か入ってきた。


「あぁ〜疲れたにゃぁ。もう休んでいいかにゃぁ?」


「リアリ先輩は特に何もしてないでしょ。前線に立ってた俺の方が疲れてるんですけど。」


「はにゃぁ〜?カイ君はライトのお手伝いだったじゃん!」


「まあまあ、カイもリアリも落ち着いてよ。繊月さんいるよ。あ!あとぽみちゃんもいる!」


リアリちゃん、カイ、ライト君だ。安堵、安心、安全。

でもあれ?リアリちゃん達みんな黒いスーツなんて着てたっけ?てか、白シャツの一部が赤くなってる。



繊月海斗が息を細く吸って、口を開く。


「俺たちパフェミラ事務所に所属しているVTuverは皆、」




「スパイだ!」




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