第3話 ゲーム大会するなら言ってよ

パーティー会場にはざっと15人ぐらいの人がいた。会場の広さと人数が釣り合っていない。しかし、この高級ホテルを借りれるくらい売り上げは良いのだ。男女比は半々。年齢は高校生から40代くらいまで。

パフェミラのライバーさん達は全員記憶しているが、本人と合致させるのはかなり困難だな。一人一人話しかけるしかないか。


一人目。

可愛らしい、自分とほぼ同年代の女の子。この子はきっと第4期生の『耳猫アリア』。チャームポイントである猫耳を付けているから一発で分かった。アリアは主にイラストを描きながら配信しているねこキャラだ。語尾に「にゃあ」を付けて喋っている。


「第5期生の『如月ぽみ』です。初めまして。」


「あっ、ぽみゅた〜ん!初めまして〜、『耳猫アリア』だにゃ〜。初絡み嬉しいにゃぁ。よろしくねぇ。生のぽみゅたんも超かわいいね〜。」


リアルでも「にゃあ」なのか!あと「ぽみゅたん」って誰やねん!


「ありがとうございます。アリアさんのその猫耳はバーチャルでもリアルでも似合ってますね!」


「えぇ〜、感激すぎるにゃぁ。てゆうか、アリアちゃんって呼んでよ〜。あと、ぽみゅたんって今日の配置どこ?ぽみゅたんの戦う姿見たいにゃぁ。絶対ギャップ萌えだよ〜。」


.....配置?ゲーム大会でもするのか?そんなの書いてなかったが。いや、でも用語的にはやっぱゲームの話だよな。


「基本的には前線で戦います!状況に応じて援護にまわります!」


「そっか、そっかぁ〜。結構使える子なんだね〜。残念ながらアリーは前線じゃないんだよねぇ。死なないでね〜。生きてたらまた喋ろうね〜。」


いや、話が重すぎるやろ。ゲームの死と現実の死が混同してるのか?ラノベの読みすぎかな。


2人目。自分よりも少し年上そうなすらっとしたイケメン。優しいオーラが溢れ出てる。カイにも分けてやってくれ、そのオーラ。黒髪でセンターわけ。服全体は黒に統一してあるけど、銀色のイヤーカフと高そうな腕時計がアクセントになっていて、イケメンそのものだ。


「やあ、初めまして。第4期生の『東城ライト』をしている者です。さっきアリアと話しているのを聞いちゃった。ぽみちゃんだよね。よろしくね。」


「盗み聞きしてごめん」という意味で顔の前に手を合わせて、眉毛をハの字にした。くっそかっこいいな!てか、愛されキャラなのそのままじゃん!「ぽみちゃん」だってさ〜。うれひぃ。顔がとろけそうなのを必死に抑えた。


「ライトくんだったんですか!センター分けなのは変わりませんし、雰囲気も想像通りです!」


「僕のリアルを想像してくれてたんだね。嬉しいよ。僕もぽみちゃんがどんな子なのか予想していたけど、想像以上の可愛さだよ。」


誰か美顔器で私の垂れ下がる頬を持ち上げて!VTuverじゃなくても十分やっていけるわ!顔面の...


「攻撃力強いですね!」


あ。声に出てしまった。終わった。ライト君びっくりして固まってるじゃん。


「驚いたな。まさか会って数秒で見抜かれるとは。確かに、僕の場合は守備や情報収集よりも、圧倒的に戦闘向きだよ。」


は?やっぱ、ゲームするのね、今日。コントローラー持ってきてませんけど!


そこで会場の電気は落とされた。

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