第28話 王族を処刑する

 俺の突然の言葉に困惑の雰囲気が民衆たちを包み込む。

 よし、この程度の声量で話せばほぼ全ての人に聞こえているな。


「いきなり何言ってんだと思うかもしれないが、俺が勇者であることはコイツらに証明してもらおうと思う」


 俺は亜空間収納から王族の者たちを取り出す。

 王族の奴らはいきなり民衆の前に居ることに困惑の表情を浮かべていたが、民衆たちは困惑と言うよりも驚愕といった感じだった。

 まぁ「何でこんな所に王族居るの!?」って思うのは当たり前だろうしな。

 

「コイツらが俺達子供を異世界から勝手に・・・召喚して勇者となれ・・・・・と強要してきた奴らだ。俺は勇者としてこの世界に連れてこられたよな? そうだろお前達?」

「……そうだ」


 その言葉に民衆たちの驚きが伝染していく。

 至る所から「彼って本当に勇者様だったんだ」と言う声が上がる。

 しかしそれと同時にどうして勇者様が国王達を縛っているのかと言う疑問の声が上がった。

 そして必然的に俺の方に民衆たちの目が集まる。

 これで後は爆弾を投下すればいいだけだ。

 俺は激情に駆られたように手を広げて話し出す。


「俺達勇者は、異世界で戦争は勿論、命の取り合いもしたことのない者達ばかりだった。更にはその世界ではまだ大人ではなく子供だった……。それをいきなり家族たちとも離れさせてこの世界に誘拐されたんだ。それだけでは飽き足らず、この世界のために勇者になって魔王を倒せ。でないと家に帰さないぞと脅されたんだ!!」


 俺のその言葉に民衆たちの声が止む。

 皆驚きで声が出ないようだ。

 

 だがそんな事当たり前だ。

 自分たちを救ってくれると信じて疑わなかった勇者達が、実は禄に戦いも知らない誘拐された子供だったんだからな。

 その衝撃は物凄い物だろう。

 

 だが王族の奴らは驚く民衆と違って顔を蒼白させてこれから何が起こるのかとビクビクしている。

 本来であれば今のこの現状を打開しようと策を練らなければならない国王もだ。

 まぁ何万人もの人に物凄い目で見られているのでしょうがないと言えばしょうがないのだが。

 しかし今民衆たちは俺の言葉ではなく国王の言葉を待っている。

 そんなわけないと誰もが思いたいからだろう。


 そんな中で愚王が口を開く。


「……ち、違う! それは誤解だ!」


 予想通りの言葉をありがとう。

 腐ってくれていて助かったよ。

 これで心置きなく殺せる。


「何が誤解なんだ? ん? 根拠を言ってみな? 全民衆と俺を説得できる根拠をさ。説得出来なかったら王族を俺が一人ずつ殺していく」


 まぁ俺は事実をしっかり話さないと殺すのを止めないが。


 その言葉に王族の皆さんが恐怖の表情を浮かべて『嘘だよな?』と言う懇願にも近い願いを込めてこちらを見てくるが、俺は首を振って「本気だ」と、少しの殺気を出して言う。

 そもそもお前達屑を赦すなんて選択は俺にはないんだよ。


 民衆たちも別に国王さえ居れば、他の王族たちがどうなろうと関係ないしな。

 コイツら民衆にも評判悪いみたいだし。


 そんな断罪の雰囲気の中、国王が脂汗をダラダラと垂れ流しながら話し出す。


「……我は勇者達を誘拐などしていな―――」

「まず一人」 

「い、いや――やめっ――」


 俺は愚王の言葉が言い終わる前に王女の首を刎ねる。

 恐怖に染まっている王女の顔は空中を少し飛んだ後に地面に転がった。

 それと同時に王女の体が崩れるように倒れ、血が噴水のように吹き出す。


「ぎゃああああ!? クズリーナちゃん!?」

「ひぃぃぃぃ!! 嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!!」

「や、止めろ!! いや止めて下さい勇者様!!」


 愚王たち王族が叫び出す。

 愚王が懇願しているが、そんな事聞いてやる価値もない。


「で? 早く言いなよ」

「グッ――し、しかし……」

「別に言いたくないなら殺すだけだしいいぞ」


 実際俺が王女を殺してもグロい光景見て吐く人がいるくらいで民衆からは特に批判の声もない。

 まぁ今の王族はただでさえ嫌われてるのに勇者と言う名の子供を誘拐した誘拐犯だし当然か。

 それどころか「早く言えよ!」と国王に向かって催促しているほどだ。


「お前の民がお前の言葉を聞きたがっているぞ? 早く違うと言うなら何か言えよ」

「…………」

「沈黙はただ俺達をヒートアップさせるだけだぞ」


 俺はみっともなく腰を抜かしている王子の下に移動して剣を首に添える。


「後五秒以内に言わなければこの屑を殺す。五……四……三……二……一……」

「…………」


 想像以上の屑だな。


「――零」

「あっ―――」


 俺は何かを言おうとする王子を無視して首を刎ねる。

 今度は王子の首から吹き出た血が王妃と愚王にも降り注ぐ。

 これで後二人。


「さぁ……もう後がないぞ国王様?」


 絶対に逃しはしないぞ。



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 取り敢えず10万字程書いた時点で、人気であれば続けます。

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