第22話 死の森の王①
———三週間後———
俺とベルはずっと死の森に引き篭もっていた。
と言っても俺はベルが戦闘しているのをただ見ているだけだが。
そして三週間前ですら魔物たちを余裕で駆逐していたベルだったが、ナックルを返却させても多少のミスが増えた以外は常に無双状態だった。
現在のベルのステータスは十分に戦力として期待できるほどになっている。
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ベル
魔族(神魔族) 25歳
称号:神と魔の
歴代最強勇者の最初の弟子
《スキル》
《神魔覚醒Level:0》
《神法Level:0》《邪法Level:0》
【神眼Level:1】《邪眼Level:0》
【魔闘気Level:6】【格闘術Level:8】【気配感知Level:7】
【空腹耐性Level:4】
ステータス
Level:289
総合値:600880(EX級)
体力:110593
魔力:172753
筋力:98420
防御力:94017
敏捷性:125097
*《》は優斗にしか見えない。
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ベルは俺やアリシアほどではないにしろ、成長度合いで言えば最高峰のステータスを持っている。
そして遂に神眼も習得した。
だがまだ使えるのは【暗視】【弱点看破】の二つだけで、その他のものは使えないし、神や悪魔のスキルはレベルが上がりにくいので、彼女が全て使えるようになるのはまだまだ先であろう。
それでも俺の当初の目標――Level:二〇〇――は遠の前に既にクリアしている。
しかし浅層ではこれくらいが限界なのか最近Levelの伸びが鈍化しており、今日から深層に行くことにした。
「……優斗様、どうして魔物たちは襲ってこないのですか? こんなに横を通っているのに」
モンスタープラントの森を突き進んでいる時にベルが辺りを見渡してから聞いてくる。
まぁ先程までは動いていなくとも見つかって攻撃される始末だったから不思議に思うのもしょうが無い。
だが理由はとても単純でシンプルなものだ。
「俺が怖いんだよ」
「…………へ?」
「魔物は本能で生きているから相手の力量を測るのは大の得意で、きっとコイツらは俺が開放した威圧感に怯えて必死に動かないようにしているんだろうな」
「……と言うことはまだ私は舐められているという事ですか!?」
俺の説明を聞いて、ベルがくわっと目を見開く。
自分でも相当強くなったし、そもそも負けていないので少しショックだったのだろう。
確かにベルはこの短期間で物凄く強くなったが、その程度で安心出来る様なぬるい場所ではない。
「舐められていると言うか……脅威と認識されていないだけだ。この森の王にはまだ勝てないだろうからな」
「むぅぅ……頑張って優斗様の様に強くなりますっ!」
そう言って意気込むベル。
その姿は昔とは違い頼もしさがにじみ出ている。
本当に出会った時とは変わってポジティブになっ―――
「―――伏せろッッ!!」
「―――ッ!?」
俺はベルに警告するが、ベルの速度では間に合わない。
「チッ―――クソッ……」
俺は全速力でベルを抱いて倒れ込むように地面に伏せる。
するとその瞬間に俺達の頭上をビームのような物が飛んでいった。
そのビームはモンスタープラントを触れただけで消滅させ、あちこちから魔物の断末魔が聞こえてくる。
「な、何なのですかあれは!?」
「さっき話で出てただろ? …………この森の王だ。クソッ……まだ出会うのが早すぎんだよ……」
「ど、どうすれば……」
困惑気味のベルが聞いてくるが、そんな事は俺も聞きたい所だ。
森の王のLevelは八七〇。
これは俺が死の森に入る前に広域鑑定をして死の森全ての魔物のLevelを確認したので確かな情報だ。
それに比べてベルはまだ三〇〇にすら届いていない。
まぁベルのステータスならばLevel五〇〇位までならなんとかなると思うが……コイツは無理だ。
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ケルベロスデビル
魔物 ???歳
称号:???
《スキル》
【狂化Level:11】
【地獄の業火Level:10】【炎化Level:10】【再生Level:10】
【咆哮Level:10】【魔闘気Level:10】
ステータス
Level:870
総合値:1250000(GOD級)(1500000)
体力:250000(狂化により300000)
魔力:250000(300000)
筋力:250000(300000)
防御力:250000(300000)
敏捷性:250000(300000)
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先程のビームの様な物は、【地獄の業火】の能力の一つだ。
大方業火を凝縮して発射しただけだろうが。
しかし如何しようか……このまま逃げてもいいのだが、もしコイツが死の森から出れば確実に魔族に被害が出る。
それでは本末転倒になってしまう。
「……これは奥の手を使うしかないかなぁ……」
本当はこの手は使いたくないのだが、今のベルには幾ら神話級の武器や防具を与えた所で勝てないだろう。
レベル一の勇者がレベル五〇〇の敵に勝てないのと同じだ。
幾ら強力な武器を持っていようが当たらなければ意味がない。
なら———
「ベル、少し離れていてくれ。それとこれも装備しておくんだぞ」
「え? ですが……」
「これは命令だ。とっとと下がっていろ」
俺はぐずぐずするベルに命令を下し、亜空間収納からナックルだけでなく身体を守る防具も取り出してベルに装備させる。
そして装備したのを確認したら俺はベルを転移で此処が見える所で尚且つ攻撃の被害が出来るだけ少ない所に強制移動。
どうせ納得していないだろうから本人の意思は取り敢えず無視だ。
俺は立ち上がって服についた土を払う。
少し離れた所には涎を垂らし、見るからにイカれているケルベロスデビルが睨んでいる。
本来のケルベロスは頭が良く、人間よりも高次的な考えをしているので、結局何を考えているのか分からないのだが、この様に周りの被害を考えずに攻撃をしてくることなどない。
魔界では人間界で言う神獣と同じ立ち位置のモンスターで、勿論強い。
しかし俺にとって神獣などペットと一緒。
「さて……久しぶりの神獣調教といきますか」
俺は脚に力を込め、地面を踏み込む。
その瞬間に地面は爆ぜ、俺の体が一気に加速する。
「はぁああああ!!」
俺は拳を握り、ケルベロスデビルに殴りかかった。
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取り敢えず10万字程書いた時点で、人気であれば続けます。
なので、☆☆☆とフォローをよろしくお願いします。
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