私だけのサンタクロース。
神石水亞宮類
第1話 私だけのサンタクロース。
私には、私だけのサンタクロースがいるの。
とっても優しいサンタクロース。
私は、子供じゃないんだから! “私のパパとか言わないわ!”
私だけのサンタクロース。
12月25日にだけ会える、私だけのサンタクロース。
『今年の欲しいモノは? 私だけのサンタクロースと会える事。
それだけでいい! 1年に一回だけ会える私だけのサンタクロース。
大きな体に、真っ白の長い髪とお鬚さん! 私に会いに来て!』
私だけのサンタクロースは、去年の12月25日に私に会いに来た
時に、私を心から愛しているって言ってくれたわ!
無愛想で、口下手のサンタクロース。
去年、私とサンタクロースとの会話は、、、?
『今年も! クリスマスに私に会いに来てくれたんだね?』
『メリークリスマス! “君だけのサンタさんだよ!”』
『もっと、あなたとずっと居たいのに、、、!』
『君は、僕から何が欲しいの?』
『“二人だけの時間が欲しいな~”』
『今が、そうじゃない? 二人の時間を楽しもう!』
『・・・そうじゃないよ! ずっと二人で居たいって事だよ。』
『ごめんね、僕は君だけのサンタクロースだけど! 君と会えるのは?
12月25日の今日だけなんだよ。』
『・・・他の日には、会えないんだ?』
『うん! でも、今日だけは君の願いを叶えてあげられる? 君は
何が欲しいの?』
『じゃあーあなたの【愛】が欲しいわ!』
『それなら、もう叶っているよ! 僕は君を愛しているからね!』
『私も、誰よりもあなたを愛しているわ!』
ほんの僅かな時間だけど? 私たちは、愛をちゃんと育んでいる。
サンタクロースの彼が、私の前に現れるようになったのは、、、?
私が、ズタズタに付き合っていたと思っていた男に捨てられた時だった。
その日は、“12月25日、クリスマスの日。”
私は、恋人たちが幸せを感じている時に、男に捨てられる。
私は泣き崩れていると? 彼は私に唾を吐いて私に最後の言葉を残して
別の女と人混みに消えて行った。
あの男の最後の言葉は、今でもはっきりと憶えている。
『消えろ! ドブ女!』
・・・私は、少し“嫉妬深い”だけ。
今までだって、こういう事は多々あったの!
ゴミのように、最後は彼に捨てられる。
何かあるたびに、彼を疑う。
他に女がいるんじゃないか? 今、浮気をしているんじゃないか?
私に隠れてコソコソと女遊びをしてるじゃないかと?
そう思うと? 彼の携帯を無断で見たり、彼の携帯にGPSのアプリを
勝手に入れて、彼の行動を監視したり。
彼の男友達にも、彼の周りで怪しい女がいないか確かめたり。
全く、彼の事を信用していない私の身勝手な行動に彼が気づいてブち
ぎれてしまう。
最後はいつも、雑な扱いをされて捨てられる。
【もう、うんざりよ!】
どんなに、彼を愛しても! 私の想いを彼は理解してくれない!
“恋愛”なんて! もうしないわ!
こんなに何度も何度も、誰かを好きなっても上手くいかない恋愛なら
しない方がましよ!
・・・私は、恋愛に疲れきっていたの。
そんな時、3年前の12月25日。
初めて、私の前に私だけのサンタクロースが現れる。
私が、子供の時でもサンタクロースに会う事は1度もなかったのに。
そんなサンタクロースが今! 私の目の前にいるのよ!
『どうしたの? こんな日に、君は雪の中泣き崩れて泣く事があるの?
みんなが幸せを感じるこの日に、君を泣かせる奴は誰だ?』
『・・・私ね、彼に今日! フラれたのよ。消えろ! ドブ女ってね!』
『君は何が欲しいの? 今日は、サンタクロースの僕に何でも欲しいモノ
を言っていい日だよ!』
『・・・私が欲しいのは? “私だけのモノが欲しいわ!”』
『“じゃあー僕が君だけのサンタクロースになろう!”』
『えぇ!? ホント!?』
『あぁ! 毎年、12月25日の日に君だけに会いに行くよ!
僕は、君だけのサンタクロースだ!』
『・・・ううん。』
私と私だけのサンタクロースは、12月25日のその日だけ。
彼が私に会いに来てくれるの!
まるで、【遠距離恋愛】みたいな私たちの関係。
遠距離恋愛だから、彼を疑う事もないし! 嫉妬もしないわ!
1年に一回だけ! 私と彼が会えるこの日、、、。
私の願いは、いつも同じ。
【私だけのサンタクロースと二人で会える事。】
この日だけ! 私にとって特別な日で、幸せな日なのよ。
私だけのサンタクロース。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru
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