第3話 この気持ちは今も変わらず


“コン、コン、コンッ”


「はい?」


「夜遅くにごめん。いま、少しいい?」


時計の針が夜の11時を回った頃、湊斗は隣にある心白の部屋を訪ねていた。なんだろう?と思いながらも心白は部屋のドアを開けた。


“ガチャッ”


「みーくん、どうしたの?」


「あー、いや、その...俺たちってもう付き合ってるんだよな?ごめん、俺だけなんか勘違いしてたら恥ずかしいからさ...笑」


こっちは好意を向けられていると勘違いして、舞い上がったまま告白したものの、肝心のお相手は実は全然自分のことは好きじゃなかった

パターンには、恥ずかし過ぎてそんなのは絶対に嫌だし、湊斗は心白とひとつ屋根の下で生活しているので、なんか最近距離近いんですけど。なんて思われたら、この先一緒に暮らす上ですごい居た堪れないので、念の為に確認しておこうと思った次第である。


「へっ、?あー、えーっと、私はもうそのつもりでいるんだけどな.....」


オレンジの太陽のような目で瞬きをしながら、生まれながらの透き通った、その純白の頬を桜色に染めながら心白は小さな声で言葉を紡ぐ。


(なんだこの可愛すぎる女の子は...)


こんな可愛い子を目の前にして惚れない男はこの世にいないだろう。いや、仮に何も思わないのだとしたら、それは男ではない。それに、同性ですら心を奪われる程の魅力がそこにはあった。気がつけば湊斗の手は自然と心白へと伸びていた。


「えっ、!?ちょっ、みーくんっ...」


“バタンッ”


誰も居ない薄暗い廊下に心白の声が響いた。


※※※


“ギシッ--”


「.....」


「あ、あのー、み、みーくん?」


ふたりは心白の部屋のベッドの上で横になっていた(?)よく見なくとも分かることだが、今の状況を説明すると、心白“が”ベッドに仰向けになっており、湊斗“は”その無防備な心白の上におおい被さるような体勢になっていた。


「ごめん、でもこんな気持ちにさせたのは全部しろのせいだからね」


心白の瞳に映る湊斗は、いつにも増して魅力的に見えた。しかし、一方で自分では気づいていないだろうが、心白も扇情的な表情をしており、湊斗の抱いている気持ちに拍車はくしゃをかけた。


「みーくん、それってどういう--」


「いいから、目を閉じて」


「っん、!?」


そのとき、心白の言葉は湊斗の甘いキスによって塞がれた。それと同時に心白の何かが、幸せで満たされるような。そんな感動を覚えた。


「ぷはぁっ、はぁ、はぁ、はぁっ、」


唇を離すと近くでは見えなかったが、心白の顔は緩みきってトロンとしており、オレンジ色の瞳は既に潤んでいて今にも涙があふれそうな涙袋に湊斗の指を添わせる。すると、つうっと涙がつたってくるのが分かった。


「しろ、自分でも俺は本当に幸せ者だと思うよ」


「うん。わたしも今すごい幸せ...」


こんな幸せなひと時がずっと続きますように。

いま目の前にいる最愛の人といつまでも隣に居られますように。、最愛の人をこの手で守れますように。


だって、この気持ちだけは今でも変わらないんだから--

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