第3.5話 夜の勉強会

洗い物も終わって一息ついた頃、湊斗と麗華はリビングで明日のテストにむけて、仲良く?勉強していた。


「「.....」」


(あれ、思ったより静かだな...)


お互い真面目というのもあり、賑やかな雰囲気にもならず、ふたりは黙々とペンを紙に走らせていた。


(でも、この際れいかとの距離を縮めたい)


隣の麗華を少し見てみる。


「...」


(あ、めちゃくちゃ集中してる...)


さすがに一生懸命勉強している麗華を邪魔するわけにもいかず、結局湊斗も自分の勉強に集中したのであった。


※※※


それから少しして、程よく頭が疲れてきたので湊斗は気分転換のため立ち上がった。


「どうされたんですか?」


「少し気分転換をしようと思って」


「れいか、はちみつ大丈夫?」


「?」


「別に大丈夫ですけど...」


「ん、わかった」


湊斗が何をしようとしているのか、いまいち分からないので麗華は首を傾げた。


キッチンに向かった湊斗が、少しして戻ってきた。


「はいどうぞ」


「え?あ、ありがとうございます」


麗華が渡されたのは、はちみつ入りのホットミルクだった。牛乳やはちみつには、気分を落ち着かせてくれたり、安眠効果があるので、このようなささやかな気配りができる湊斗は、実はなかなかに良い男なのである。


「な、なに見てるんですか」


「ん?マグカップをそんな風に持つれいかが、可愛くてつい見てた」


麗華は、まだほんのりと温かいマグカップを、両手で優しく包み込むような形で持っていたので、湊斗はその様子をとても愛しく思った。


「あ、あんまり可愛いとか言わないで下さい...」


「え、なんで?」


(こんなに美人でスタイルも良くて優しいのに)


当然のように湊斗が疑問を浮かべるので、麗華は少し驚いた。


「今まで悪魔だの化け物など言われてきたんですから、可愛いわけないじゃないですか...」


今までは確かにそう言われてきたかもしれない。でも、それは過去であり、これから歩む未来は違う。これからは、俺が麗華を支えて幸せにする。


「れいかはすごい魅力的だよ」


愛のこもった一言が、静寂に満ちたこの部屋に響いた。それはもしかすると、麗華の心にもほんの少しは、響いたのかもしれない。


気がつけば、時計の針は23時を回っており、明日のためにも、この辺りで切り上げることにした。


「れいか、明日もあるしもう寝よう」


「そう、ですね...」


「?」


なぜか麗華が俯いたままなので、不思議に思った湊斗であった--

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