第5話 運命の結果発表
あれから数日が経ち、ついに運命のテスト返却の日を迎えた。
「ふぅ、」
(少しばかり緊張するな...)
ここで良い点数を取ることができれば、学校で麗華との距離を大幅に縮めることができるだろう。
(絶対に生徒会に入ってやる)
そこで、何やら真剣な顔をした西城先生がこちらを見てきた。
「?」
どうやら今時珍しく、この征華学園は順位と名前が張り出されるらしい。しかし、これは学年の上位三名のみ公開される。つまり、この三人はこのテストの恩恵を受けられることになる。
(学年で三人か...思ってはいたが、なかなか狭き門だな)
「ではまず、今回のテストの上位三名を紹介する」
ざわざわとする教室。祈っている人もいれば、さすがに無理だと諦めている人もいる。
(頼む、入っていてくれ...)
「第一位は、いち--」
(俺の名前は一条だ。あるぞ!頼む...!)
「第一位 一ノ瀬麗華」
(そうですよねー。ええ、分かってましたよ...)
「続いて第二位、」
(頼む!手応えは悪くない、ここで決めたい!)
「第二位は、い--」
(あるぞ!このまま一条で押し切れ!!!)
「第二位
(いや、誰だよ)
すると周りから--
「やっぱり一色がくるよなー」
「昨年は一年生の枠が一つしかなかったから、惜しくも一ノ瀬に敗れて第二位だったもんな」
(なるほど。一色とやらは、れいかの次に頭が良いのか...)
(いや、今はそんなことはどうでもいい。次で最後だ。俺はこれにかかっている)
「第三位は、」
(頼む!俺はこのチャンスを逃せないんだ)
ドクンドクンと心臓が強く脈を打っている。
運命の結果発表。
その結果は--
「第三位 一条 湊斗」
「...」
「以上この三人が、学年上位三名となる」
※※※
「ふぅ、」
運命の結果発表を終えて帰宅した湊斗は、この結果に対し、歓喜よりも安堵の気持ちの方が大きく、ほっと一息ついていた。
(なんとか、生徒会への切符は掴めたのかな)
「それにしても、本当にすごいですね」
「いや、まぁ、れいかに比べればそんな大したことじゃないよ」
麗華はこのテストで、征華学園 史上初の二連覇を成し遂げていた。それに比べれば、湊斗はそんなに凄くはないと思っていた。
しかし--
「普通に授業を受けているだけでは、この結果は得られません。それに、高校生の範囲はどこかで勉強していたんですか?」
何度も言うが湊斗は、この春から高校生になった。なので、全くできないのが普通なのだ。しかし、湊斗は日本トップレベルの高校のテストを受けて見事に第三位を獲得した。これは、冷静に考えてみるとおかしいのである。
「え?んー、まぁ、だいぶ昔にな...」
湊斗が複雑な顔をしてそう言うので、あまり踏み込むべきでないと判断した麗華は、すぐさま別の話に切り替える。
「ちなみにこのテストでは、景品のような形で様々な権利や物が貰えるんですけど、それは何にするんですか?」
「あー、それは...」
麗華のために生徒会に入る。
と、言おうとしたが、寸前で止めた。
(俺がいきなり生徒会に入って、れいかをびっくりさせようかな笑)
「それは?」
湊斗が言いかけて止めたので、麗華は気になり反復する。
「秘密だな」
「なんですかそれ、ここまで言っといて酷くないですか?笑」
「後でわかるよ」
「そうですか笑」
こうして湊斗は、無事に生徒会への切符を手にしたのだった--
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