第12話 平行線?

「そこにでも座ってて」

「…座んねーよ」

「改造してないから、大丈夫だよ」

「そういう問題じゃねぇ。テーブルに座りたくねぇんだよ」

 私の部屋には、ゲーミングチェアしかないから、私はそれをこいつの前まで持ってきて、座った。

 椅子を取りに行ったついでに先生の確認をすると、先生は、ホワイトボード近くのテーブルの後ろに隠れていた。まぁ足じゃなくて台みたいなテーブルだから、別にいいか。

「…意外と真面目なんだね」

「お前を殺したいと思ってるだけで、普段は普通だ!」

「それならいいんだけどね~」

 私は近くに用意しておいた機械を動かして、空の画面を見せた。

「これは普通って言えるのかな?」

「…なんでこんな動画があるんだよ」

「なんでだろうね」

「っち、気にくわねぇ」

 そういってこいつは扉の方に向かった。

「どこにいこうとしているんだい?」

「お前なんかに当たった所で良いことがねぇ。帰らせてもらう………っち」

 そういってドアノブをガチャガチャ回した。

「無駄だよ。もう既に施錠済みだからね」

「………もういいよ。どうせお前なんかがわかるはすがないんだから。帰らせてくれ」

「そうだよ。私は今のその気持ちをわからないと思うよ。けど、それはそっちだって変わらないんだからね?」

「道徳があれば少しはわかるはずだ」

 私はロックを外すと、すぐに出ていってしまった。

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