第11話 招き

 私は校舎に入ってきたのを確認すると、部屋の扉の前に立った。右側が職員室になっていて、その奥に昇降口があるから、こっちを向けばすぐに来るだろう。

 そう思って待つとすぐに、あいつが見えてきた。何かを喋った気もするけど、遠くて聞こえなかった。すぐにあいつが動いたが、職員室があるからなのか、走らないできた。

「やぁ。待ってたよ」

「何が待ってただ。もっと早くに会いに来いよ」

 私が手に届く範囲になった瞬間、私の胸ぐらを掴んで、静かに怒った。

「まぁまぁ。そんなにカッカしても良いことないし、カップルじゃないんだから、もっと距離をおいてほしいし、会いに行かないよ」

「悪魔とカップルなんてゴメンだ」

 そんなにもカップルが嫌なのかというほど強い力で私を押して離れた。

「私からも願い下げだから、全然いいけどね。それよりも部屋に来てくれない?ここだったら色々と面倒なんだよ」

「そんなん知らねぇよ。それより要件を言えよ。その後に殴ってやるから」

「それは止めときなよ。仮にも私は生徒で、ここは職員室の近く。先生だって来てくれるよ?」

「っち、早く連れてけよ」

「素直でいいね~」

 そっと、私の部屋を開けた。

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