第6話 防犯カメラ

「えっっと、これをこうでこっちがこう」

私は職員室にある防犯カメラのデータを取りに来た。きっと原因はあいつだ。だとすると学校なんだろうけど、まぐれでも写っていてくれないだろうか?各教室のカメラまでやると時間がたりないんだ。

「やっぱり感づくですね」

「いつもにもまして早かったじゃない?もしかして待ってた?」

職員室の奥から、あの人の声が聞こえてきた。

「ええ、多分勘違いをしてるんじゃないかと思って」

「勘違い?この時点であいつ以外に思い当たらないんだけど?」

「その時点で勘違いをしてるって言ってるんですよ」

先生はため息まじりに言って、話を続けた。

「今回の件はあの人じゃないですし、そもそもあの人はまだ知らないはずです」

「そもそも知ってる口振りだけど、知ってるなら話してよ」

「そうですね。まわりくどい言い方は止めます。この人ですよ」

そう言ってとある写真が飛んできた。そこには一人の男子生徒が写っている。

「その生徒がやったんですよ。動機はあの大会の参加者に、兄がいたことでしょうか?」

「兄がいたからってなんだって話じゃないの?それより現場は?」

「いや、流石にそれは無理じゃないの?何やったか覚えてるはずですよね?現場は四階コンピューター室側の男子更衣室です」

「………あぁ酷かったな。ごめん」

 本当に自己中な人間なのだろう。勝手に広告して、法律を破ってるのに罰せられずに、良いように誉められるよう嘘を言って。いつからこうなってしまったのだろうか。

「……またネガティブになってるんですか?悪い癖ですよ」

「……そうだな。こんな事してる場合じゃないな」

 やる気を取り戻した私は元に戻し始めた。更衣室のカメラがにあったら盗撮し放題だ。四階全てに二ヶ所ずつに男女両方あるのもおかしな話なのだが…

「怪我させないで下さいね。これでも二人の担任ですから」

「……へっ?二人の担任?じゃぁあいつの存在も!」

 帰って行く先生は、その言葉を置いていくかのように、

「はい。最初から知ってました」

と、答えて行ってしまった。

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