第2話 部室?

「とりあえずここが研究室ね。」

僕たちは置いてあった物をかばんに入れて研究室に入った。

そこは研究道具のみっちり入った棚が三個ほどあり、押し入れがついている部屋だ。

綺麗と言えるほどではないが、テーブルが片付けてあり、快適に過ごせるだろう。

「とりあえず、好きな時に来て良いよ。

実験の邪魔さえしなければ遊んでていいし、実験をしてもいいよ。あぁただ失くなったら言ってね。買いに行くから。」と言うと、ミキ先輩は椅子に座り、ホワイトボードに何か書き始めた。

「とりあえずここについて聞きたいんですが、いいですか?」

僕は質問したいことが沢山あるのでそう問うと、

「ちょっと待ってね~。それの概要とか書くから。逆にここを知った事聞かせてくれる?」

ミキ先輩はノールックで会話をしながらホワイトボードに書いていく。

「やりたい事がなくて高校を何処にしようか迷ってるときにここの紙を見てここに入りたいなってなったのが理由ですね。特に科学が好きとかじゃなく、惹かれて来た感じです。」

「そっかー。あの紙を見て来たのね。」

と、なぜかようやくわかったみたいに、何度も頷いてる。

「そんなにここ有名じゃないんですか?紙を見た感じ有名だと思ったんですけど。」

「いや。そんなことないよ。大会で優勝って少し盛ってるからね。実のとこ優勝出る前に止められちゃったんだよね。レベルがおかしいとかあいまいな理由で。」

と、少し笑いながら頷いている。

「レベルが違うとは?」

するとミキ先輩はおもむろに振り返った。

「見たい?」

「見てみたいです!」

「じゃあ待っててね〜」

と言うと、立ち上がり、押し入れを漁り始めた。

押し入れの中は結構詰まっていて、手を入れるスペースもなさそうだ。

それを先輩はさも当然のように崩れないようにどかしながら奥へ手を入れていく。

あったあったと言いながら巨大な物を取り出した。

「これを出したら止められちゃって…」

と、言いながら引金を引くと、先端部分と思われるところから火が出てきた。

「もしかして放火機ですか?」

「そうだよ。本当に作れるかわからなかったから作ってみたらいけちゃって、でもあの時は大変だったな。火をつける部分や燃料を入れる部分で悩んで…。

まぁこんな危ない物入ってるからいじらないでね。」

「本当に凄いですね!本当あなたに会えて良かったです!」

いとも簡単に作った話を聞いていたら興奮してしまった。

しかしさっきみたいにひくような事をせず、過去を見るように下を見ながら椅子に座り、

「まぁ これのせいで活動出来なくなったんだけどね。その代わりにこの部屋を貰ったり、ある程度の危険の実験ができるようになったから良かったよ。」と、言った。

触れてはいけない気がして、興奮は収まったが、好奇心は倍増した。

「まぁ 過去の話よりこれからのルールについて話すよ」

先輩はくるっと体を向けてホワイトボードをひいた。

「ここは私の物置みたいなとこだからあんまりあさらないでね。次にここの研究を外に漏らさない事。外部の者が作ったら危ないしね。後ここの場所も漏らさなければ良いかな。学校側しか知らない場所だし、ここを知られるとここも封鎖されるかもだし。このことを守ってくれれば実験してもいいし、遊んでも良いよ。」

と、すらすら先輩は説明してくれる。思ってたより少ないが、封鎖という言葉が気になってしまった。

「ここも封鎖ってどこか封鎖されたんですか?」

「前は理科室の隣の教室やってたんだよ。だけどさっきの放火機を作った大会の審査で危なすぎて止められた情報が出回ってそこの教室に物を投げ込んだり、机を壊そうとする奴が増えて場所を変えられたんだ。」

と、淡々と喋ってくれるが、どこか嬉しそうだった。

何かここじゃないといけないことでもあったのだろうか?

「学校側は続ける事に反対しなかったんですか?」

「それが発想は危ないが、才能はあるって事でここを使わせてくれてるんだよ。本当に狂ってる学校だよ。」

先輩はふっと笑う感じで狂ってると言った。まるでこの学校が何かを隠してるかのように。

「あぁ そうだ。君が入ること上に言ってないから言いに行かなくちゃ。」

と、椅子から降り、ドアに向かった。

「上って先生ですか?」

「そうだよ。それじゃあルールは守ってね。」

と、言い残し、去って行った。

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